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だるまさんが転んだは、トラブルだらけ

だるまさんが転んだ、ハンカチ落とし、フルーツバスケット…大人にとっては懐かしき集団遊びの数々。このような遊びは、子どもにとっても楽しい遊びであることが多いですが、一方で、勝敗がある遊びとなると、多少のトラブルは付き物です。特に集団行動を苦手とする、幼児期の発達障がいのお子さん達にとっては、辛い経験に繋がることもあるようです。今日は、だるまさんが転んだを例に、集団遊びの中のトラブルと対応について考えます。


※この記事は、小児科医石川道子先生と言語聴覚士ももさんとのInstagram Liveの内容を引用しています。発達障がいの子がみな下記のトラブルに陥るわけでも、トラブルに陥っていたからといって発達障がいというわけでもない点は、ご理解下さい。ライブ全編はこちら⇩

https://www.instagram.com/hattatsu.hoiku.gakkou/


だるまさんが転んだで、ありがちなトラブル

「だ〜る〜まさんが、こ〜ろんだっ!」この掛け声とともにある、集団遊びは、誰もが1度は経験したことがあるのではないでしょうか。

一連の流れの中で出てくる「声かけと共に立ち止まる」という動作は、とても簡単なように見えますが、発達障がいのお子さんにとっては、必ずしも簡単にできる動作ではないようです。

簡単ではない理由として、かけ声と動作のテンポのズレに気が付きにくい、ということが挙げられます。また、鬼の子は「だるまさんが転んだ!」の掛け声を急いで言うため、大体の子が「もう来るぞ…」と予測して止まりますが、発達障がいのお子さん達は、その予測が弱く行動が遅れる可能性もあります。

そのため、発達障がいのお子さんによく起こるトラブルとしては、鬼がかけ声を終えたタイミングで「今動いたよね?」という非難を浴びることです。他のお子さんたちも真剣勝負なので、少しでも動く子に対して敏感になります。実際よく見ると、確かに「止まれていない」ことが多いのですが、本人にとっては「止まっているつもり」なので、周囲から非難を浴びると、「止まっていたのに、どうして責められるの?」となってしまいます。

また、ある保育園での、少し気になるエピソードがあります。その園では、先生がだるまさんが転んだのお手本を、あえて“大げさに“見せていたんです。その後ゲームが始まると、どのタイミングで見ても、いつも止まり方が同じ子がいました。それは、まるで先生のお手本そのままで、右手右足の位置がいつも同じだったり、「よいしょっ」と大袈裟に踏み込むところまで完全再現されていました。通常は、走りながら鬼のタイミングに合わせて止まる遊びなので、動きの形は変わってもいいのですが、形をコピーする方に注力しすぎていたのです。結果的に、動きが遅くなってしまうので、動いたor動かないというトラブルに巻き込まれてしまっていました・・・

中には、怖すぎて1歩も動けない子もいたりします。そういう子は、ドッジボールのようなゲームでも、動かず安全なところで隠れているうちに、なぜか最後まで生き残ってしまうタイプです。

なぜ動けないかは、子どもの説明能力がつくまでわからないため、あくまで推測ですが、おそらくみんなの動きが読み切れないので、下手に動かない方がいい、という学習をしてるのではないかと思います。

鬼になっても、なぜか非難される

発達障がいの子が鬼になった場合も、うまく立ち回れないことがあるようです。例えば、「だるまさんが転んだ!」をはやく言おうとしすぎるあまり、他の子から「聞こえない!」と指摘されたり、言い終わっているのにいつまでも振り返らなかったりする点を指摘されたりします。

リズムの障害といって、行動のリズムだったり、言葉のリズムだったりが、なんとなくおかしいことに起因している可能性があると思います。

トラブル時の大人の対応

年齢にもよりますが、いつも同じ理由で揉めて、全体が楽しくない感じで終わる場合は、子ども同士で話し合いをさせたら良いと思います。「全然動いてるつもりはないけど、他の人から見て動いたように見える時は、どうしたらいいかな?」を考えてもらいます。当の動いている本人は、話し合いに参加できるかは置いておいて、みんなでルールを設定していきます。

また、動いてしまう子が気持ちを言葉で表現できる子だったら良いのですが、言えなくて異様な形で爆発しやすい場合は対応が必要です。例えば、地団駄を踏んで大泣きするとか、場が凍りつくほど暴れ回るなどです。

大人は、「みんな楽しくゲームに参加してもらいたい」と思うものの、他児がいる手前、ゲームのルールをその子のためだけに変更するといったことは、他の子が不平等を感じることにも繋がりやすく、対応としては取りにくいのが現状です。

その場合は、妥当な気持ちの表現を覚えていく機会と捉えても良いかもしれないです。先生が横について、「あんなに言われたら悔しいよね。」「味方がいなくて悲しくなっちゃうね。」のような言葉を、シチュエーションごとに代弁していくと良いと思います。

「まだこれ遊ぶ?」「気分悪いなと思うなら抜けるのもありだよ。」と教えていくのもありだと思います。小学校に入ってから、学習の場面で嫌なことがあって、暴れたから抜けるということは難しいことも多いです。そこで、幼児期の遊びだからこそ、大人が本人の選択を許容したり、離脱しても復活できることを学ぶ場にできると思います。





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