【脚本】閃光
○オフィスビル・窓越しに見る社内
パソコンに向かって仕事をしている人
達が並んでいる。
上司の男の机の前に立ち、怒られてい
る亜紀子。
○同・非常階段
踊り場で缶コーヒーを片手にため息を
つく亜紀子。
亜紀子「がんばってるのにな」
狭い路地を挟んだ向かいのビルでダン
ス練習をしている様子が見える。
とぅーしが何度も同じところで止まる。
亜紀子「がんばってるのにね」
しばらくその様子を見ているが
亜紀子「ここでふてくされてても終わらない
しな。やるかぁ」
会社に戻る。
○同・窓越しに見る社内(深夜)
亜紀子が一人で仕事をしている。
○同・窓越しに見る社内(日替わり・朝)
亜紀子が出勤してくる。
席に着いた亜紀子に上司の男が近寄り
指示をしている様子。
ほっとしたような笑顔でうなずく亜紀
子。
○同・非常階段(夕)
缶コーヒーを片手に、手すりに寄りか
かる亜紀子。向かいのビルのダンスス
タジオの様子を見ている
とぅーしが同じところを繰り返し踊っ
ている。
亜紀子「(小声で)がんばれー」
とうーし、亜紀子の声が聞こえたかの
ようにこちらを向く。
亜紀子、驚いて手すりに隠れるように
すばやくしゃがむ。
亜紀子「やば!覗いてるのバレたかな?」
そろそろと手すりから顔を上げてスタ
ジオを覗くと、とぅーしはもう真剣な
表情で練習をしている。
亜紀子、残念そうにビルに戻る。
○向かいのビル・ダンススタジオ(夕)
ネス、ゾマ、とぅーしが練習中。
とぅーし、何度も同じところで振りを
間違える。
ネス「とぅーし!」
とぅーし「ごめん・・・・」
ネス「とぅーし、何回も言ってるけど、もっ
と音ちゃんと聴けって」
とぅーし「ごめん、ネス」
非常階段に目を向けると、亜紀子がこ
ちらを見ている。
悔しそうなとぅーし。
ゾマ「大丈夫かとぅーし?休憩するか?」
ネス「謝んなくていいからちゃんとやれよ」
とぅーし「ごめん・・・」
ネス「(舌打ち)」
とぅーし「(しゅん)」
ゾマ「おい、ネス!」
マロン「ちょっと休憩したらどう?」
あつき「そうだね。3人ともちょっと頭冷やしてさ」
ネス、スタジオの外へ。
とぅーし、ダンスを続ける。
○オフィスビル・亜紀子の会社(夜)
社内には亜紀子一人。
仕事の手を止めてスマホを見る。
待ち受け画面には戦隊ヒーローの姿で
ポーズをとっているとぅーしの写真。
亜紀子「まさか隣のビルにいるなんて」
さらにスマホのカメラロールを開く。
すべてとぅーしの写真。
亜紀子「やっぱカッコイイな(ニヤニャ)」
窓の外、隣のビルを見る。ダンススタ
ジオの灯りは消えている。
亜紀子「覗いてるの、気づかれちゃったかな」
○同・非常階段(日替わり)
雨が降っている。
○同・社内
仕事をしている亜希子。
雨を見ながら寂しそう。
○隣のビル・ダンススタジオ
練習中のとぅーし。
ネスが入ってきて一緒に練習を始める。
○オフィスビル・非常階段(夜)
雨上がりの非常階段で休憩する亜希子。
ダンススタジオの灯りは消えている。
とぅーしの声「こんばんは」
亜紀子「!?」
とぅーし、非常階段を上ってきて亜紀
子の目の前に立つ。
とぅーし「はじめまして?とぅーしです」
亜紀子「(驚いて声も出ない)」
とぅーし「ごめんなさい。俺、あなたがいつもここで休憩してるの見てて」
亜紀子「あ。すいません。覗いたりして」
とぅーし「いや。謝るのは俺のほうで」
亜紀子「?」
とぅーし「あなたが非常階段で休憩しながらため息ついてたの見てました。俺、うまくダンスできなくて。いつも怒られてて。で、あなたが怒られてるの、スタジオから見えちゃって」
亜紀子「・・・」
とぅーし「なんか、勝手に同志っていうか、がんばってる仲間みたに思っちゃって、俺もがんばろうって・・・」
ポケットから缶コーヒーとチケットを出して。
とぅーし「俺、いまリアルアキバボーイズってダンスグループに入ってて。今度ワンマンライブやるんです。よかったらまた応援してもらえますか?」
亜紀子、ぎこちなく受け取る。
じゃあと言って立ち去るとぅーし。
呆然とする亜紀子。はっとして
亜紀子「ずっと応援してました!チケットありがとう!絶対行きます」
向かいのビルに戻っていくとくーし。
うれしそうに笑って手を振る。
○隣のビル・ダンススタジオ
灯りが灯る。
〇タイトル「閃光」
エンディング曲
[Alexandros]「閃光」
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