夫は当たり前の日常を粗末にしない人
湯上がりの温かさが残った身体のまま、和室にある寝室に向かう。
つい20分前まで一緒に入浴していた夫が、畳の上にひいた布団に仰向けになり、喉のあたりまで掛け布団がきていた。布団からちょこんと頭だけ出ていた姿がふすまから見えて、夫に気がつかれない大きさでフフッと笑った。
夫は「女ってものは時間がかかる」と言いたげな表情をしながら、目をつぶっていた。私がお風呂場から出てからというもの、化粧水を塗ったり、薔薇の精油入りのお気に入りのボディオイルで身体を手入れしたり、髪を乾かしてい