見出し画像

2021.07.19

気付くと走らないと間に合わない時間になっていたが、とてもじゃないけど急ぐ気にはなれず自転車で駅に向かった。案外余裕でいつもの急行に間に合った。汗が引いたタイミングで降車駅に着く。駅の改札からつながった半屋内のエスカレーターを登って地上へと出た瞬間、大きな熱源に放り込まれたように汗が噴き出した。人が活動する気温ではない。

信号に引っかかってしまうと炎天下で1分は待たなければいけないが走るのも当然暑いしどちらの方がマシだろう、と考える間もなく点滅が始まる。立ち止まると首筋に当たる日がジリジリと痛い。肌の表皮、皺で囲まれた小さな面積ひとつひとつが確実に炙られているのを感じる。

お昼、気分は冷たいうどんだったけど帰路でバテて夕飯が喉を通らないのがわかっていたのでメンチカツの方を選んだ。在宅になってからますます食べなくなってる白米。何かを祝福するように粒立っていて甘かった。

上司が午後休で珍しいなと思ったらワクチンを打ちに行くとのことだった。普段会社に属しているような気持ちでいるが、こういう時に分断を感じる。所詮違う立場なのだと思い知らされる。雇用形態が同じで外からはわからない分、派遣の時よりもたちが悪い。誰も明言しないだけで私たちには見えない序列がつけられている。より社会に有益な方、無害な方から生き残っていいことになっている。それを決めているのは誰だ?

朝からTwitterのタイムラインでいくつも感想を見かけていたルックバックを昼休みに読んだ。
何かを言いたく(書きたく)なったけど、書こうとして書くものなんて大したことじゃないのでやめた。かわりに流れてくる人の感想を見ていた。人がどう感じたかを知るのが好きだなと思った。自分が何を考えているのか知りたいのだと思っていたが、どうやらみんなが何を考えているかも知りたいみたいだった。人と話したいと思う時、自分が話したいだけじゃなくて人の話を聞きたいって場合も結構あるってなんの歌詞だっけ。

だからリアルタイムで大勢の人が同じ作品に触れ、あちらこちらに感想放流されている今日みたいな状況は楽しかった。
「朝からボロ泣きした」「この伏線回収すごくない!!??」「この日に公開して世間を騒がせましょうと企画した人がいるってだけでゾッとする」「自分にも才能があるはずだと何か努力して叶わなかった人には必ず刺さる」「ルックバック読んだ後に何か書けって言われる方が無理ある。」

怒りであり祈りであり、藤野のような人に向けた救済のようにも感じた。喰らったという感じはなくて、薄々気付いてはいたけど自分はやっぱり作る人じゃないのかもなと思った。ちゃんと正面から向かっていって負けたのっていつが最後だっけ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?