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「障害」って何?

「障害」という意味を考えたことはありますか?

 障害のある人たちとの関わりは自分の日常だけど、最近社会的少数派だと改めて実感したことと、何でその仕事をしているの?と聞かれることが多いので、経験を振り返りつつ自分が今考えることを書いてみようと思う。

1.障害のある人との出会い



 私の兄は、生まれつき目が見えず話せず歩くことができない。知的の遅れもある。頻繁に頭を床に打ち付けるので頭を守るヘッドギアはかかせない。急に泣いたり笑ったりする。
 生活をおくるためには、食事、排泄、入浴、移動全てに介助を要する。そのため小さい時から重症心身障害を扱う病院に入所し、長期休暇の時に自宅で過ごす。

 小さい頃は、兄が病院で入院することで、風邪が治るように兄の不自由な部分も治り、一緒に学校に行ったり遊んだりできる日がくると思っていた。
 その夢は叶わなかったが、兄のためにピアノを弾いたり、どう押したら快適か考えながら車いすを押したり、手を握ったりマッサージをしたりして表情が柔らぐと、兄と心が通じた気がしてとても嬉しい気持ちになっていた。

 小学生の時、通学路のバス停に特別支援学校に通う高校生が毎朝並んでいた。歩き方や大きい独り言を聞いて、周りの小学生が「うわ身体障害者だ。にげろー!」と言っていた。
 小学生たちは、理解不能な行動に怖さを感じていたり、嘲笑したりしていた。それ以来、兄の存在が後ろめたくなり、友達に兄がいることを言えなくなった。

 高校は、保育園の頃から優しくて明るくて憧れだった先輩と同じ学校だった。
 長期休みの時に、先輩が特別支援学校近くの放課後等デイサービスでボランティアをするというので友達と一緒に参加した。

 そこでは知的に遅れがある子どもたちが、迎えに来る時間までそれぞれ好きなことをして遊んでいた。
 ひたすら好きな絵を描いている子、ふれあい遊びを求める子、繰り返し同じ音楽を聴いている子、みんな興味深くて面白かった。
 事業所で働いている先生のことを子ども達はとても信頼していて、優しくて大きな愛をもっている先生の姿に憧れた。

 同時期に戸部けいこさんの「光とともに」という漫画に出会った。自閉症の光を理解し、きめ細かく指導する青木先生がかっこよすぎて、私も障害のある人の理解者になりたいと泣いた。

 大学では福祉と教育を学び障害について理解を深めるとともに、「きょうだい児」という言葉を知った。双子の弟達もいたため、親に負荷がかからないように遠慮し、甘えることができなかった自分は常に孤独を感じていたんだと知った。
 その頃には(大学で理解者が多かったこともあるが)普通に周囲の人に兄のことを話せるようになっていた。

 現在は「光とともに」の青木先生や、優しくて愛に溢れていた事業所の先生みたいな大人になりたくて、知的障害の子ども達が通う特別支援学校で働いている。

ボランティアでこれまで小学校、障がい児、タイ、イギリス、カナダの子どもたちと出会ってきた。子ども達の出会いは宝物。

2.障害とは


ここからは自分のつたない知識と言葉で障害についてまとめていきたい。

・「障害」とは何?

しょう‐がい〔シヤウ‐〕【障害/障×碍/障×礙】 の解説
[名](スル)
1 さまたげること。また、あることをするのに、さまたげとなるものや状況。しょうげ。「旧弊が改革の―になる」「―を乗り越える」「電波―」
2 個人的な原因や、社会的な環境により、心や身体上の機能が十分に働かず、活動に制限があること。「胃腸―」「言語―」
3 「障害競走」の略。

goo辞書

 大学生の時に障がい児の放課後等デイサービスで支援員をしていたが、療育の研修で学んだことが今でも腑に落ちるので自分の考える障害の定義を書き留める。

①生理学的障害→回復困難な損傷(inpairment)
 (例)足が不自由
②能力的障害→①に基づく、能力の不全、機能的制限(disability)
 (例)走れない
③適応行動的障害→②のために生じる社会的・行動的不利(handicap)
 (例)運動会に参加できない

障害は本人の特性ではなく障害=生活上の困難であり、社会と人との間に生まれる「生きにくさ」のことである。

 生活や社会参加が阻まれることが障害であるならば、生活上の困難(生きにくさ)を減らし、当たり前の生活を送るためのサポート、教育をしていけば、障害のある人の生活が広がり、社会との接点が増える。
 社会的・行動的不利を障害と捉えるならば、障害をなくすために私たちにできることはたくさんあるのではないか。

3.自分も障害のある人たちも自分らしく生きてほしい

 私自身を振り返る上で、障害のある人との関わりは避けて通れない。障害のある人の支援に使命感さえ感じているが、自分を構成する一部に過ぎないとも思う。
 障害のある人の支援以前に、自分の感情や甘えを抑え続け、相手の表情に敏感で疲れやすい自己肯定感の低い自分をまず救う必要性を感じている。
 障害のある人たちは、進路や社会参加などまだまだ選択肢が少ないように感じる。病院で過ごしている兄や関わっているこども達が自分らしく生きるとは何か、まだまだ考え続けていきたい。

 みんな笑顔で過ごせたらいいな。




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