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ヒッチハイカーを乗せて帰省した話

東京から静岡への帰省途中に、ヒッチハイカーと出会った。

年末年始の帰省ラッシュだから、きっと渋滞するしなぁと思って、同郷の友達を誘って一緒に帰ることにした。友達と一緒に帰れば、いつもの渋滞も飽きずに楽しめる。

朝8時に妻と、友人と3人で車に乗って裾野を目指した。

首都高も東名も思っていたほど混んではいなくて、スムーズに海老名まできたところで、休憩。
犬たちを連れてきていたので、ドックランで遊んだあと人間もトイレへ。

妻と合流すると、妻はニヤニヤしながら隣の男子2人を指差した。

そこには、

" 静岡方面 ほんまにお願いします‼︎ 少しでも西へ one team で‼︎ "

と書かれたスケッチブックを掲げた男子が2人いる。

「いいよねっ!」

という妻。

…何がかな?何がいいのかな?
なんて困惑してるうちに妻は彼らに、

「静岡方面なので、乗って行きませんか?」

と聞いていた。

名前も知らぬ、サービスエリアのトイレの前でたった今出会った人を車に乗せることなんて初体験。あたふたしてしまう状況の中、とりあえず、自分たちの目的地を伝え、1番近いサービスエリアに一緒に向かうことになったのだけど、僕らはまだ朝食を済ませていなかった。

出会って3分の名前も知らない2人に、犬二匹を預けて、僕らは朝食の買い出しに走った。

内心こんなに簡単に人を信用してよかったのだろうか…犬たち、連れていかれてしまっていたらどうしよう…と不安で仕方がなかった。

とにかく目に入ったパンをトレーに乗せ、お会計は妻に任せて犬たちのところへ戻ろうとしたら、妻も同じことを考えていて、やっぱり心配だから戻って!!と言った。
そりゃそうだよな。

人混みをかき分けて犬たちのもとへ走った。

いた。男子2人は犬を抱えて笑顔で待っていた。

(犬たち、いきなり見ず知らずの人に預けられて不安だっただろう。ごめんね。)

犬たちを連れ去らわなかった彼らのことはかなり信用できた。お互いに心を開き、話をした。

・・・

彼らは大学3年生で、実家に帰省するために名古屋までヒッチハイクをしていた。用賀からスタートしたのだけど、用賀にはライバルがいるようで、遠い距離だとなかなか乗せてもらえないから、とりあえず海老名を目指し、たどり着いたとのこと。

妻と友人も戻ってきて、車に乗り込み出発。


大人5人と帰省荷物、そして犬2匹が乗るにはギュウギュウの車内。
東名も混み出して車はゆっくりと進む。

彼らはとにかくよく喋った。
なかなか進まない車のなかでは会話がビュンビュン進む。

車内で東京に生まれた江戸っ子は妻のみ。
男4人は青春を過ごした故郷を離れ、東京に住みついている。そんな4人が共に故郷へ向かっている。共感できることがたくさんあって、とにかく楽しい話がたくさんできた。

時間にしては1時間半くらいあったのだろうけど、
体感ではあっという間に足柄サービスエリアに着いてしまった。

記念にと写真を撮らせてもらって、彼らと握手をして別れた。


彼らの年齢と同じ頃の僕はヒッチハイクをしようと思い立つことはなかった。
思い立っていたとして、行動に移していたとも思えない。
それに、妻とでなければ、ヒッチハイカーを受け入れることもなかっただろう。

面白いほどに、人に勇気付けられた。

なにをやるにも、日常生活の中でも、いつもの自分をちょっと超えようとすることがこんなに楽しいことだなんて、あーぁ、もっと早く体験して気付いておきたかったなと悔しくも思った。

・・・

友達と帰省したほうが、渋滞も楽しくなるよなって思っていたら、ひょんなことから友達が増えて、あの時の車内は確かに one team だった。

今年はなんだか、人生におけるプロローグの終わり感があった。
自分の人生のなかで、新たな段階にこれから進むんだよなっていうよくわからない覚悟が芽生えてきて、ちょっと行動を変えてみたりして、嬉しい結果が得られることもあった。

でも、まだまだ、これからだぞ、と突き付けられた今日の楽しい出来事。

プロローグは終わっちゃう。(ということにして自分を奮い立たせている)

来年に向けて、いいきっかけを彼らにもらった。
ありがとうございました。

無事に名古屋に着いたかな。


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