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【ぐるっとパス7】東京都美術館「クリムト展」へ行ってきた

東京都美術館で行われている「クリムト展 ウィーンと日本1900」に行ってきました。思えば東京へ引っ越してくる前は、用事があって東京に来るたびに美術館に立ち寄るようにしていたのですが、東京都美術館に入るのは初めてです。

入口は地下なんですね。中も落ち着いた暗さでいい感じです。

たくさんの展示室がある中で、クリムト展は一番奥の企画展示室。いざ出陣です。美術展めぐりが好きですが、とりわけ絵画や美術史に詳しいわけではありません。今回は音声ガイドを借りることにしました。

ナレーターが稲垣吾郎さんだから、というのは内緒なのです(大好き)。

展示を見た後に図録を買って読み込むということをしていた時期もあったのですが、図録は少々値が張るし、どんどん増えると収納にも困る。ということで、最近は音声ガイドで理解を深めるようにしています。

作品はウィーンの工芸美術学校で机を共にしたフランツ・マッチュの作品を交えて展示されています。2人の高いデッサン力には驚かされるばかりです。マッチュの描いた「女神(ミューズ)とチェスをするレオナルド・ダ・ヴィンチ」は、立ち止まって見つめる人が多くいました。

私個人はクリムトが姪を描いたとされる「ヘレーネ・クリムトの肖像」が印象に残っています。ボブヘアでパフスリーブの白いドレスを着た少女が横を向いている絵です。ドレスも白く、背景もシンプルなベージュのため、人物が引き立ち、凛とした雰囲気が感じられます。

グッズになっているものも多く、迷ってしまいましたが、結局無難にポストカードを1枚連れて帰ってきました。

展示は私生活を取り巻く女性たちや手紙、日本芸術との出会いに移っていきます。クリムトは生涯独身であったということですが、複数のモデルの女性と関係し、生まれた子どもにはそれぞれ同じ名前を付けるなど、プライベートは趣味が悪い男だったのかしら。アトリエには常時服を着ていない女性が数人自由にくつろいでおり、クリムトがウインクをすると静止してモデルになるという日々だったそうです。

万博をきっかけに日本芸術がヨーロッパに広まったことは私でも知っていることですが、クリムトもこの影響を強く受けています。メインヴィジュアルになっている「ユディトⅠ」や「女の三世代」をはじめとする多くの作品には、金箔を用い、着物の柄を連想する幾何学模様を取り入れています。初期の高いデッサン力を誇る作品もすばらしいですが、日本芸術の影響を受けた鮮やかで華麗な作風には心底魅了されました。

一方、数々の華やかでテーマ性のある女性像を描いてきたクリムトが、晩年は自然の多い別荘地で多くの風景画を描いていたとは意外でした。しかし浮世絵の技法を取り入れた遠近感を感じない鮮やかな作品は、風景画であってもクリムトの雰囲気を感じる個性的なものでした。

会期も中盤に差し掛かり、ちょうど空いていたりしないかと期待していましたが、なかなかの混雑でした。絵を展示順に目の前で見るには列に加わって流れに身を任せなければなりませんが、私は自分のペースで見ていかないと後半まで集中力が持ちませんので、多少後ろから鑑賞しました。本当は5月15日(水)に行くはずでしたが、時間を確かめるために前売りチケットの裏面を見るとその日はシルバーデーで混雑すると書かれていました。

次回のシルバーデーは6月19日(水)とのこと。

シルバー以外のみなさんはご注意くださいませ。

今回紹介しきれなかった中にも心に残る作品はたくさんありました。「クリムト展 ウィーンと日本1900」会期は7月10日(水)までとなっていますので、お時間のある時はぜひ上野へ。

クリムトの没後100年と日本とオーストリアの友好150周年を記念して、クリムト展以外にも様々な企画が開催されています。

ウィーン・モダン クリムト、シーレ世紀末への道」 国立新美術館

映画「クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代」 6月8日公開

「クリムト展」で魅力にどっぷりハマったあなたはこちらもぜひ。

実はスタンプ収集が趣味。意外とかわいい系です。  

(2019/05/17)  

記事を読んでいただき、ありがとうございます。