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娘の本棚から「ちいさなちいさな王様」

「ちいさなちいさな王様」という本を知ったのは、娘が幼稚園の頃。

その頃、とある細胞を発見したとして、一躍注目の的となった女性がいました。研究内容を超えて、身に着けているもの、乗っている車、あれやこれやとテレビで取り上げられている中で私の目に留まったのが、彼女が中学生のころに書いたという読書感想文でした。

読み上げられる感想文を聞いて、「有名になったら昔の作文まで読まれるのか」「ちょっと恥ずかしいな……いや、読まれて恥ずかしい作文しか書けない人は有名にはならないか」などの邪念も浮かびましたが、「元になった本、面白そうだな。今度読んでみようかな」と思ったのです。

それが「ちいさなちいさな王様」でした。

最近、音沙汰を聞かないあの女性は、実は私と同い年なんです。
注目されていたその時、親しくしていた同い年のママ友と「同い年なのにすごいよねー」「私たちは子育てする人生を選んだけど、優秀だとやっぱり違ったのかねー」など、当時は彼女の活躍に思いを馳せたものです。

それはさておき、この本に出てくる王様の世界では、生まれたときには既に体が大きく、いろんなことを知っているが、成長するにつれて体が小さくなり、やがて見えなくなるという。

サラリーマンの主人公の家に突然現れた人差し指くらいの王様。話によると、王様の父親もある日小さくなりすぎて姿が見えなくなったので、王様が王位を継承したとのこと。
見えなくなることが死なのか、死というものが存在するのか、王様にはわからないみたい。

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文字の大きさや挿絵はこんな感じ。
ミヒャエル・ゾーヴァの絵が非常に魅力的で、ファンも多いです。

話はサラリーマンと王様が暮らしているそれぞれの世界の違いを話しながら進んでいきます。それがかみ合っているのかいないのか、なんだかシュールな感じなのですが、読むたびに考えさせられる内容になっています。

きっと、娘も2~3年生のころに読んで「ふーん変わった話。王様の挿絵が可愛いね」くらいにしか思わなかったはず。高学年になった今、中学生高校生になった未来にも思い出して読んでもらいたい本です。

もちろん、大人のあなたにも。


記事を読んでいただき、ありがとうございます。