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【MLBトレード】ジョーダン・モンゴメリー、クリス・ストラットンのTEX入り

 TEXがSTLからジョーダン・モンゴメリー(残り半年)とクリス・ストラットン(残り半年)を獲得しました。STLはテコア・ロビー(残り6年)、トーマス・サジェーシー(残り6年)、ジョシュ・キング(残り3年半)を獲得。


〇ファーストインプレッション

 TEXがシャーザーに続いて先発陣を補強し、さらにリリーフも獲得しました。相場が上がっている印象の中、比較的安価に抑えられた印象です。一方、STLはレンタル選手を売るブリッジイヤームーブ。見返りはやや安めに見えます。

〇TEXサイド

 29日にシャーザーを獲得したのに続いて先発投手を補強しました。STLで最もパフォーマンスがいいモンゴメリーを獲得できたのは大きいと思います。優勝経験が豊富なHOUを振り切るうえで、ローテ上位を2枚獲得したことはチームの士気を上げる意味でもプレーオフで戦う意味でもプラスが大きいでしょう。ストラットン獲得でリリーフに厚みを持たせた点もコンテンダーとして巧みな立ち回りと言えるでしょう。

 モンゴメリー自身は勝敗こそ負けが先行しているものの、デッドラインまでのスタッツはキャリアハイ。チェンジアップの回転軸のバラツキが減り、三振率、ハードヒットレートいずれも改善しています。また、ストラットンも何気にキャリアハイ。今季は回転数がMLBでも上位のフォーシームを多投し、三振率を上げています。

 見返りは思ったよりは少ない印象でそもそも2人合わせて4~5人は放出不可避だと思っていたので意外な結果だと感じました。

〇STLサイド

 レンタル選手を売って翌年度以降に再度勝負という意味では、理に適った動きだと思います。一方、対価という意味では物足りない印象です。私はSTLのデッドライン記事でモンゴメリーの見返りを「想定見返りは、TOP100クラスのプロスペクト1人+1~2人。2017年デッドラインTEXによるダルビッシュ有放出、2018年デッドラインTORによるJ.A.ハップ放出と同程度を想定。」と予想しました。モンゴメリーのfWARは2.4でジオリトを上回っており、単体でもTOP100プロスペクトクラスの見返りが必要だったと思うのですが、やや見返りは物足りなかったという見方はできそうです。ストラットンも同記事でTOP30クラスを1~2人としていたので、合わせて4~5人は対価としてもらえたのではないかという気はします。

 ただ、プロスペクトの評価は短期間で大きく変わりますし、ロビーはFanGraphsが非常に高く評価しているようです。94-97mphのファストボールに加え、80mph台前半のカーブがプロスペクトの中でも上位のようでたしかにマシュー・リベラトーレのようなスペックを思わせます。しかし、肩の痛みで6月3日を最後に登板していません。メインチップが怪我持ちでよかったのか疑問です。

 個人的にはスタッツ的にも動画で見た印象でもサジェーシーはこれから上がってくるのではないかという印象を抱きました。打球の質を見てもハードコンタクトできているように見えますし、アプローチもよさそうです。21歳AAでこれだけの成績を残しているので、ある程度のフロアーは確立されていそうです。AAA以降で躓いても最低限MLBロスターに残る程度の選手にはなるでしょうし、アップサイドも小さくないと思います。

 ジョシュ・キングはオマケ的な存在に見えます。しかし、MLBで経験のあるコントローラブルな選手を獲得するためにプロスペクトの対価が抑えられたのだとすると、STLは育成に相当の成算があるのかもしれません。2022年シーズンも悪くない成績でしたし、今季も防御率は悪いながらxERAはそれほど悪くありません。奪三振は少ないものの、打球角度が極端に低く、ゴロ率も高いという点でハイレバレッジリリーバー化ける要素は少なくないと思います。

〇総評

 TEXは先発投手陣のさらなる強化を行えたうえに傘下のプレミアムなプロスペクトを守れました。今夏はチャップマン獲得から非常に上手くいっており、コンテンダーの中では最もコスパの高い補強を行っていると思います。一方、STLはレンタルとはいえいずれもキャリアハイのモンゴメリー、ストラットンを放出して、TOP100レベルのプロスペクトやコントローラブルでレギュラークラスの若手を獲得できなかったのは痛いように見えます。ただ、STLは組織的に育成力があるので、STLフロントの見立てがプロスペクトウォッチャーを上回っている可能性は十分にあると思います。

※画像はMLB公式


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