佐藤凪

大学生です。書評、論考、雑記、コラム等を書いています。よろしくお願いします。(過去のH…

佐藤凪

大学生です。書評、論考、雑記、コラム等を書いています。よろしくお願いします。(過去のHN:s/n)

最近の記事

《書評》AIによる激変の時代に備える│「生成AIで世界はこう変わる」今井翔太

 昨今、生成AIが凄まじい。我々の生活に確実に影響を与えだした、この画期的なツール。一体、世界をどのように変えてしまうのか?本書は、東京大学松尾研究室に所属している、工学博士の著者による、AI論である。 ────────────────────  皆さんは、「Detroit Become Human」で仮想されたような、AIロボットが人間と同じように街中を歩く社会が実現すると聞いたらどう思うだろうか?  「近代の情報技術の急速な発展により、段々と感覚が麻痺してきたので、

    • 《書評》人権というフィクションを暴くな│「「オピニオン」の政治思想史」堤林剣・堤林恵

       現代において、「国家が死なない」のは何故か?二十世紀後半以降、国家は殆ど消滅しなくなった。国家とは、そもそも、言葉によって作られたフィクションであるのだが、それが死ななくなったのは一体何故なのか?本書は、こうした問いから始め、権力に支配権を与えるオピニオンから歴史を捉えようとする。  まずは、本書を、メインの論旨のみ分かるように、こちらの判断でかなり省きながら要約する。※非常に長くなったので、あまり時間が無い方は、目次欄から、感想のみ閲覧するのをお勧めします。 要約

      • 《書評》イエスが言う、私を踏めと│「沈黙」遠藤周作

         神が存在するなら、なぜこの世は辛い事だらけなのだろうか?そして、なぜ神は信徒を救ってくれないのか?こうした、神学上の問題に対して、本書は問う。遠藤周作の「沈黙」は、江戸時代初期のキリシタン弾圧化で、迫害される信徒を通して、神の沈黙の謎を我々に問いかける。  本書は書簡という形式で、窮地に立たされた日本の信徒を救う為、来日した司祭ロドリゴの視点で描かれる。ロドリゴは来日する事に対し他の司祭の反対に合うが、信徒達を放っておけないという思いと、神の助けも期待し、結局向かう事にす

        • 《コラム》フリースタイル時評│川勝知事・冷笑・「AI丸投げ記事」について

          有料note  有料noteの書き方を、有料で売っている人が非常に多い。そういった記事を書くのも楽しそうなので、今後やってみたい気持ちはある。ただ、私の文章は、一般的に言われる「分かりやすい文章術」といった類のものではない。なので、その手のフォーマットに適していない可能性がある。  代わりと言ってはなんだけれど、あまりオープンに公開したくはない記事を一旦有料で出してみようと思う。具体的には、政治的オピニオン、社会評論である。こういったものは、私の個人的思想を開陳していて、

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        《書評》AIによる激変の時代に備える│「生成AIで世界はこう変わる」今井翔太

        • 《書評》人権というフィクションを暴くな│「「オピニオン」の政治思想史」堤林剣・堤林恵

        • 《書評》イエスが言う、私を踏めと│「沈黙」遠藤周作

        • 《コラム》フリースタイル時評│川勝知事・冷笑・「AI丸投…

          佐藤凪のサイトマップ

          初めましての方は初めまして。 書評、論考、雑記、コラムなどを書いています。現在大学生の佐藤凪です。 思考的・批評的文章を心掛け、独特な筆致を目指しています。 自己紹介現在、心理系の学部二年生。 純粋な知的好奇心と、「学問を究めたい!」という欲求から、本をちょっとずつ読んでいます。 将来はライター、或いは執筆で食べれる職全般になってみたかったりします。 それに役立たせる為に大学院進学も考えています。 実は、本を読む事以外にはダラダラインターネット見る事ぐらいしか趣味がなかった

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          《書評》相対主義vsソクラテス│「テアイテトス」プラトン

           本書は、プラトンの中期対話篇。ソクラテスが、少年のテアイテトスに対し、知識とは何かを尋ね、それを論駁していくというもの。具体的には、知識は「感覚」「真なる思いなし」「真なる思いなしに言論を加えたもの」であるという3つの説が順に提示され、それらはソクラテスによって全て否定される。そして、知識とは何であるかは示されないまま、ソクラテスは役所に向かい、彼らを後にする。  この対話篇のあらすじだが、既にWikipediaにて極めて優れた要約が乗っているので、そちらを参照して欲しい

          《書評》相対主義vsソクラテス│「テアイテトス」プラトン

          《書評》批評は知識ゼロでも書けるか?│「僕が批評家になったわけ」加藤典洋

           本書は、早稲田大学名誉教授で、批評家の加藤典洋による批評論。非常に多くの著作(批評家によるものや、小説家によるもの)を引用し、そこから批評の真髄を導き出そうとする。  本書は、根底にひとつの論旨がある。が、引用部分が非常に多く、主張も壮大な広がりを持つ為に、著者の主張を追うのがやや難しい。この書評においては、そうした広がりをバッサリ切り落とし、論旨において重要だと思われる箇所だけを論じたい。 ────────────────────  まず、第一章では、著者の執筆の契

          《書評》批評は知識ゼロでも書けるか?│「僕が批評家になったわけ」加藤典洋

          《書評》佐藤正午における特殊な「謎」│「ジャンプ」佐藤正午

           本書は、佐藤正午氏によるミステリー小説。朝食の林檎を買いに出かけたまま、ガールフレンドの南雲は失踪した。彼女はなぜ東京の自宅に帰ってこないのか?行方と失踪の謎を、不本意ながら失踪された三谷純之輔が追うというもの。  本作は、ミステリー作品であり、当然、解決すべき謎がある。その謎とは、「彼女は何故失踪したのか?」である。本書評においては、この本を通して、「鳩の撃退法」(佐藤正午による長編小説,2014年出版)にも見られる、佐藤正午作品における謎の性質について論じようと思う。

          《書評》佐藤正午における特殊な「謎」│「ジャンプ」佐藤正午

          《雑記》瞑想と体幹トレーニング/習慣化3×3日目│個人的な話

           瞑想とプランクがあれからずっと続いている。3月31日から始めたので10日である(現在4月9日)。瞑想の方の効果は今の所まだ感じられていない。プランクの方は、筋肉は確実についているのだろうが、脂肪もそれなりである。習慣化2×3日の記事は頓挫した。なぜなら、この本文の方を書くのに3日で書けなかったからである。  「意味が分からない。習慣化だけの記事を上げればいいではないか?ちゃんとやったんだろう?」と思うかもしれない。ただ、僕は何かしらのコラム的な文章とセットにしないと気が済

          《雑記》瞑想と体幹トレーニング/習慣化3×3日目│個人的な話

          《コラム》なぜ私は「書評」を書くのか?│(「僕が批評家になったわけ」)

          ※この記事は、書評記事として執筆を始めたものの、冒頭だけであまりに長くなったので、単独コラムとしたものです。書評記事は近日中に投稿予定です。 ────────────────────  私は、現在、noteに「書評」と題した記事を5本投稿していて、今後もしていくつもりである。しかし、なぜ「読書感想文」ではいけないのか、という疑問がある。というのも実際、noteでは、「#書評」の着いた記事より、「#読書感想文」の着いた記事の方が多い。人によっては、書評など「何様だよ」と思う

          《コラム》なぜ私は「書評」を書くのか?│(「僕が批評家になったわけ」)

          《書評》誰でも実践出来る仏教│「ブッダが説いたこと」ワールポラ・ラーフラ

           本書は、僧侶でもあり、セイロン大学哲学博士号を持つ、仏教精神に極めて通じた著者による、仏教の概論書である。原始仏典を用い、仏教における基本的な教えを抽出し、解説する。私は、真理を探究している上で、仏教も含め複数の宗教を比較検討しているので本書を手に取ったのだが、新しい発見が幾つもあった。 基本的な考え方  まず、仏教ではいわゆる「信仰」というものは存在しない。これは目から鱗であった。ブッダの教えに対し、信じてはいけない。疑いを除去し、「理解」しなくてはならない。他宗教で

          《書評》誰でも実践出来る仏教│「ブッダが説いたこと」ワールポラ・ラーフラ

          《書評》建設的な対話の為に|「独学の思考法」山野弘樹

           私は、暇潰しに独学をしている事が多いので、気になり本書を手に取った。本書は、独学と言っても具体的な学問について云々するのではない。自ら問いを立てて探求するような学びをする際に役立つ、「考え方」に関する書籍である。一部は「考える技術」について、二部は「対話的思考」について述べている。  独学というと本を読む事を想像する方は多いだろう。筆者も実際に学生時代には乱読したそうだ。しかし、そういった学び方(知識をやたらめったら取り込む)ではダメだそうだ。なぜダメか。それは「他人の走

          《書評》建設的な対話の為に|「独学の思考法」山野弘樹

          《コラム》言語論の初歩について(「独学の思考法」)

           ※本記事は、「《書評》「独学の思考法」山野弘樹」の記事に挿入される文章を、記事が長くなりすぎた為に個別記事にしたものです。よって、そちらの記事と合わせてお読みください。 ────────────────────  とあるが、この記述に私は引っかかった。なぜなら、この文章は、前提として、言葉は文脈によって意味を確定させるもので、共有された一意の本質的意味はないという前提があるからである。しかし、私は、漠然と、言語において本質が存在しており、その本質によって一つの言葉が成立

          《コラム》言語論の初歩について(「独学の思考法」)

          《雑記》瞑想レポート/習慣化1×3日目│個人的な話

           瞑想とプランクをかれこれ5日間ぐらい続けている。瞑想の方は、恐らく継続しないと効果はないのだろうが、即席で効果があると思い込むようにしている。プランクは確実に即効性がある。やった後すぐに腹部の筋肉が立派に硬くなっているのを確認出来る。  瞑想に関してだが、最初はマイナスな感情が噴出する事が多く、苦労した。小学生の頃、夏休みに半強制で通わされていた寺でやっていたように、座禅でやるようにすると、だいぶマシになった。さて、瞑想→プランクの順でやり、その後に読書をすると、瞑想の効

          《雑記》瞑想レポート/習慣化1×3日目│個人的な話

          《コラム》考える事を考える|AIと一緒に哲学

           「独学の思考法」という本において、改めて読書とは別に思考する事の大切さを考えさせられる羽目になった。ショーペンハウアーが指摘するように、本を読むのに思考はいらない。これは体感的にも正しい。思うに、過去の偉人は体感を言語化する能力が優れていたので偉人となったのだ。ショーペンハウアーの指摘は、誰でも指摘しようと思えば指摘出来る、極めて直感的な話だと思う。  という事で、本を読むついでに何か思考し、記事にしてみたい。思考の題材としては、「考える事とは何か」を選ぼうと思う。なぜな

          《コラム》考える事を考える|AIと一緒に哲学

          《書評》画期的な古典を読む│「精神分析入門 上」フロイト

           本書は、精神分析学の大家であるフロイトが、ウィーン大学で行った初学者向けの講義を記録したものである。上巻は、錯誤行為、夢、神経症総論の三部から構成されている。それ故、本書評は、それぞれのテーマを概説した後に、私見を述べる形をしたい。 錯誤行為《概説》  まず、フロイトは錯誤行為について解説する。錯誤行為とは、言い間違いや、書き間違い、ど忘れ、物の置き忘れなどである。精神分析では、これに意味を見出す。しかし、反対者は、「こんな些細な事に何の意味があるのか」と反発する。フロ

          《書評》画期的な古典を読む│「精神分析入門 上」フロイト