RIZINメガイベントにどうしてもモヤモヤする理由

2020年4月時点で全く興行を開催できる見込みのない格闘技業界にとって唯一の光が夏に開催が噂される格闘技メガイベントです。

RIZIN榊原社長が口に出してからいろんなところでいろんな人が夢のカードをぶち上げています。

しかし個人的にはなかなかこのイベントが成功する気配が見えません。

それはなぜなのかと考えたときに榊原社長はYouTubeで朝倉未来に過去にDynamiteというイベントがあって国立競技場に9万人集めたことがある。今回はその規模でやりたいということを言っていました。

Dynamite2002が成功したのは9万人動員したことだけでなく、その日の興行が盛り上がったからだとも言えます。

では、なぜ盛り上がったのか?それを探りましょう。

前回の対戦カードは以下の通りです。

ヴァンダレイ・シウバ(PRIDE) 対 岩崎達也(極真) MMAルール

ジェレル・ヴェネチアン(K-1) 対 松井大二郎(PRIDE) MMAルール

ゲーリー・グッドリッジ(PRIDE) 対 ロイド・ヴァンダム(K-1)MMAルール

アーネスト・ホースト(K-1) 対 セーム・シュルト(PRIDE) K-1ルール

ジェロム・レ・バンナ(K-1) 対 ドン・フライ(PRIDE)K-1ルール

アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(PRIDE) 対 ボブ・サップ(モンスター) MMAルール

吉田秀彦(柔道) 対 ホイス・グレイシー(PRIDE?柔術?)特別ルール

桜庭和志(PRIDE) 対 ミルコ・クロコップ(K-1) MMAルール

さて、対戦カードを並べて気づいたことを述べたいと思います。

・9万人動員したイベントなのに試合は8試合しかない。(RIZIN20は15試合、Kfestaは20試合)

・K-1はホースト、バンナ、ミルコ、PRIDEはシウバ、ノゲイラ、桜庭と当時のトップファイターを派遣する豪華なメンツだが、直接交わったのはミルコ桜場のみ

・ 前年のミルコ藤田戦から大晦日イベントではテーマがK-1対猪木軍でDynamite2002でも聖火をエリオ・グレイシーと一緒に点火させたアントニオ猪木要素のあるファイターがいない

・純粋なK-1、PRIDEの試合がない(すべて他流試合)

この中で一番大事なのは一番下のすべてが他流試合ということだと思います。

なぜならK-1が好きでPRIDEに興味がない人でもミルコと桜庭の試合はミルコに勝ってほしいと応援するでしょうし、実際この日の興行でバンナとK-1ルールで闘うドン・フライは多くの歓声を集めていました。

そしてDynamite2002はいきなり大爆発を起こしたような言われ方をしていますが、この興行に至るまでにストーリーは確実に存在していました。

2001年8月のK-1JAPANGPの中でミルコ対藤田戦からミルコ対高田、大晦日のイノキボンバイエ、PRIDE20でのミルコ対シウバ、K-1福岡大会のセフォー対ギルバート・アイブル、あるいはアビディ対ランペイジ・ジャクソンなど1年間に渡って他流試合を興行を壊さない程度にやってきました。

今回は天心対武尊、未来対パトリシオと団体が異なるだけです。

まだ天心対武尊は良いです。4年間も語られているカードだからです。

いきなり未来対パトリシオをやっていろんな人を巻き込めるのかというのは疑問です。

それなら朝倉未来対木村ミノルのほうがよっぽど盛り上がります。

もっと言えば、K-1対RISEなんてのはもってのほかで、RIZINファンが多く集まるであろう当日の会場で団体の違うキックボクサー同士が闘って果たして多くの人が興奮するでしょうか?

逆にK-1、RISEのファンがMMAファイター同士の闘いを見て何を感じるのでしょうか?

Dynamite2002のうまかったところはいつもK-1ファン、PRIDEファンが見ている世界観と完全に違う世界を見せたこととすべての試合に皆が感情移入しやすいカードを組んだことです。

興味のないK-1ルールであってもPRIDEファンはドン・フライを応援するために熱くなり、よくわからないPRIDEルールであってもK-1ファンはミルコを応援します。

だからもしメガイベントをやるのであれば、普段からもう少し世界観を共有する必要はあると感じます。

ただ、今のK-1とRIZINの関係がこんな感じなので少なくとも今年の夏は間に合わないでしょう。

 もっと言えばK-1はそもそも他流試合に興味すら無いようにも見えます。

RISEも然りでRIZINと組んでもっと盛り上げるならRIZINファイターにRISEのリングでキックボクシングマッチをやってもらうとか、RIZINのリングでRISEファイターがMMAをやるとかしないと分断されたままでしょう。

白鳥対大雅だって良いカードのはずなのにRIZINでは脇役扱いにしかなっていないです。他のキックボクシングマッチは天心を除けばそれ以下の前座、プレミナリーファイト扱いです。

であればK-1対RISEの対抗戦はどうかという話ですが、じゃあキックファンに逆に聞きたいのがメガイベントで修斗対パンクラスの対抗戦をみたいですか?という話です。MMAファンは良いかもしれませんがキックファンはどうでも良いだろうし、それなら個別にやってと言いたくなるでしょう。

ここまでメガイベントを成功させるために団体間の交流を普段からもっと深めるべきと書きましたが、まぁ正直難しいと思います。

ルールを超えた闘いもタックルさえ切れればMMAでもキックボクサーが勝てる時代はもうとっくに過ぎており今はK-1の元王者が柔術をバックボーンとするファイターに打撃でKOされる時代です。

RIZINファイターがいきなりK-1ルールに参戦してなんとかなる時代でもありません。だってムエタイの強豪でさえK-1ルールにアジャストするのは難しく、いまK-1で活躍しているのは若い頃からK-1ルールで戦ってきた選手たちです。

RIZIN、K-1、RISE以外にもUFCやONE、ベラトールにも声をかけると社長は言っていましたが、それをやると更にややこしいことになって、それであればアメリカでやろうということになる可能性のほうが高いと思います。

理由はかんたんでアメリカのほうが視聴者が多くて金になるからです。

あれだけ待った那須川天心対武尊が日本時間の深夜に場所はアメリカでメインでない順番のカードになるのを日本人のファンは果たして耐えられるでしょうか?

さらにファンの間で言われている朝倉未来対コナーマクレガーだって確実に実現しないでしょう。

アメリカ人からしたらミクル・アサクラなんて絶対知らないので。

だからまとめになると今の状況が落ち着いたとして日本が大ダメージを受けて元気がなくなったとしても、大きな打ち上げ花火で元気になろうではなく、マイナスからでも地道にやるしかないということだと思います。

元々K-1は試合の映像など細かくYouTubeにアップしていました。

RIZINやRISEもこの状況になってからようやくYouTubeで本格的な発信を始めましたが、これはこの騒動が終わっても続けるべきで自分から特に情報を集めに行かないライトなファンの目に毎日RISEやRIZINが映る状況を作りつづけることが大事だと思います。

そしてそれぞれ団体がもっとおおきくなったら対抗戦でなくて自分たちの世界観だけでも大きなイベントが開催できるようになると思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?