RIZINがケージを導入するべきかリングで継続するべきかについての個人的な見解
最近RIZINが開催されると毎回話題になるRIZINはリングではなくケージにすべき問題について考えたことを綴りたいと思います。
まずRIZIN代表の榊原社長はケージ導入について否定的です。
その理由は先日You Tubeで公開されたダナ・ホワイトとの会談でも語られています。
個人的にはリングよりケージのほうが試合のストップも少ないし、ロープを掴む行為のような試合後に悪い意味で話題になる要素が減るので良いと考えています。
ただここで語りたいのは個人的な感想ではなくどちらのほうがRIZINの未来を明るくするのかという視点です。
そこで考えるべきなのはRIZINが今後拡大するにあたりどういう戦略を練っているのかです。
簡単には以下の2種類が考えられると思います。
①海外進出して外国人のMMAファンを増やして売上を伸ばす
②日本国内でまだMMA、RIZINに興味のない層を取り込んで売上を伸ばす
①と②では成功すれば大きく儲かるのは①です。
しかし①は実現が相当難しいと思われます。
②は実行はしやすいでしょうが大きな利益が出るかはなんとも言えません。
年始の榊原社長のインタビュー記事を見た限りでは①をやりたいようです。
先日のアメリカ出張もその一環でしょう。
一旦コロナで外国人選手が日本に呼べない状況であることは別として外国人ファンを増やす場合リングで良いのかについて考えます。
まず榊原社長の言い分としてケージのMMAはUFCが圧倒的な王者として君臨しており今から導入してもそれはUFCのマネごとにしかならないという点とリングで行われるMMAはRIZINのみでぱっと見てすぐにRIZINだと認知できる点がリングに拘る理由としてあげていました。
しかしこれについて考える必要があるのは外国人のファンが仮になんかのきっかけでRIZINを見てくれたとしてその後リピーターになってもらわないといけないという点です。
リングでのMMAはストップが多かったりロープの問題、場外転落など試合進行にフラストレーションが溜まる事象が多いです。
それは毎回Twitterでも日本人MMAファンが指摘しているところです。
つまりわざわざ遠く離れた日本のMMAイベントを見てくれる熱狂的な外国のMMAファンも同じ点に不満を持つ可能性が高く、いちいちストップする試合を何度も見てくれると思えません。
日本人はRIZINが国内のメジャーイベントだから不満を口にしながらも次がありますが外国人だと次はないです。
そういった意味では①を実現するにはケージが必須であると考えます。
また、アメリカの事情は詳しくはわかりませんが世界的にMMAは金網の中で行われるスポーツであるという認識が強いのではないかとも思います。
例えばボクシングが四角形のリングで行われることに疑問を持つ人やその他の可能性を考える人はほぼいないと思います。
それと一緒でMMAファンは今更リングかケージかなんて考えすらしていない可能性があります。
だからリングの中でMMAを行うのは極端に例えれば土俵の上でボクシングの試合が行われているような風に見えてしまうかもしれません。
また別の観点で①を実現すると考えたときに向き合わなければいけない問題は外国人ファイターの参入です。
コロナ禍の状況では外国人を多数呼ぶことは難しいですがRIZINはPRIDEとは異なり日本人が引っ張ってきたイベントです。
ヴァンダレイ・シウバやミルコ・クロコップ、エメリヤーエンコ・ヒョードルのような存在はRIZINにはいません。
例えばオーストラリアのMMA団体があったとしてオーストラリア人対オーストラリア人の試合を日本人のRIZINファンが見たいと思うでしょうか?
よほどコアなファンでなければ見たいと思わないでしょう。
だから外国人がもっと参戦する団体にしないと①の実現は難しいと考えます。
しかし仮に外国人を多数呼べてもケイプやプロハースカのように優れた選手はUFCに行ってしまうケースが多いのも事実です。
だから外国人が簡単に流出しない方策も考えないといけないのですが、金ではUFCどころかベラトールやONEにも太刀打ちできないと思います。
そこで考えたのが外国人ファイターには日本のファンになってもらうのはどうかということです。
つまり試合をしてさよならではなく、RIZINも日本も素晴らしいと思ってもらうような働きかけをして金以外の面で参戦を継続する理由をなにか作れないかということです。
具体的には榊原社長が一緒に参戦する外国人ファイターと試合後に京都を観光するとかで良いと思います。
これはK-1の石井館長がピーター・アーツやスタン・ザ・マン、アンディ・フグを連れて京都を観光していたときの写真を見て有効なんじゃないかとおもいました。
実際旧K-1の選手ではピーター・アーツやジェロム・レ・バンナは日本への思い入れを話しているし、アーネスト・ホーストは日本語学校に通っていたこともあります。
もっと言えばその選手が日本を日本を好きになって参戦を継続してくれるだけでなくその選手がSNSに観光したときの写真を上げてくれれば勝手に日本、RIZINのPRに繋がるとも考えられファンもRIZINに合わせて日本に旅行してくれるなんて可能性も出てくると思います。
話がかなり脱線しましたが①を実現するのならばせっかくRIZINを見てくれた外国人ファンが試合に不要なフラストレーションを溜めないためにケージにすべきと考えます。
ちなみに榊原社長がリングならキックボクシングもできると言っていましたがそもそもRIZINキックボクシング部門は那須川天心のボクシング転向と共におそらく終了するあるいは今まで以上に小遣い稼ぎの脇役になると予想されるのでキックの試合がやりづらくなるか否かは考える必要はないでしょう。
次に②について考えます。
②は①に比べ取り組みやすいと思います。
フジテレビで地上波中継されているし、朝倉兄弟のような人気YouTuberも参戦しているので素人が見るきっかけは簡単に作れると思います。
あとは余計なことをせず今年開催されているバンタム級トーナメントのようなことを繰り返していれば少しずつ拡大するのではないかと思います。
実際に国内の団体でこれをやっているのは新生K-1でまず存続することを第一に考えた現実路線と言えるでしょう。
ただ、榊原社長がやりたいのは①みたいなので②のようなことに特に力を入れることはしないのかなと思います。
ちなみに①をやろうとしたときに意外な障壁となりそうなのはフジテレビで視聴率を考えるとどうしても日本人の対決が優先されるし、ケージ、リング問題でもケージはバイオレンスな印象を受けるとしてリングが採用されたままになると思います。
フジテレビからすれば外国でどれだけRIZINが見られているかなんてどうでもいいことですからね。
②であればむしろケージよりもリングのほうが良いと思います。
日本人の価値観では金網の中で人が戦い合う格闘技に馴染みがなく特に普段MMAにさほど興味がなく大晦日しか見ない人からすると金網で人が殴り合っているのはスポーツとは思えないでしょう。
もちろんRIZINだけでなくMMAそのものが好きな人からするとイライラするでしょうがそこは大衆の数の力が勝るだろうしフジテレビが許しません。
RIZINがケージ、リングどちらで試合をすべきかという点についてまとめるとRIZINが世界的に普及させたいのであればケージ、国内で地道にファンを増やすのであればリングということになります。
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