♡=? あとがき 「好き」とは何か? その正体

※本記事は拙作「♡=?」のあとがきになります。
本作の核心に触れる部分があります。未読の方はご注意ください。




あとがき

いつもお世話になっております。徒然みぞれです。この度は「♡=?」をお手にとって頂きありがとうございます!

突然ですが、だれかに「人を好きになるってどういうこと?」と訊かれたら、あなたは何と答えますか?

本作の動機は、マッチングアプリに疲れを感じたときに「恋を通らない愛を探すのって新鮮で面白いな」とシニカルな感情を抱いたのがきっかけです。うん、疲れてますね。
それならば「人を好きになるってどういうこと?」という少女漫画で百万回見てきたような問いと、私も創作という行為を通して向き合うことにしました!

主人公「鳥海ゆう」と一緒に、「『好き』とは何か?」をじっくり考えてきましたが、やっぱり「好き」という感情を言葉にするのはむずかしいですね。「ゆう」は「 好き」の意味を検索していましたけど、辞書的な意味で満足する人はいないですよね。このお話におけるメンターである「川野琴」に対して「ゆう」も反発してましたが、「好き」というのは人それぞれですし、答えを知りたいけど簡単には理解されたくないという複雑な感情と結びつく傾向にあります。特に、十代の頃は。

「人を好きになる」というのは、結局のところ無意識的なものなのでしょうね。「試着室で思い出したら本気の恋だと思う」という最高タイトルの小説がありますが、つまりはそういうことですね。関係のないところでその人の影がよぎる、気づいたらその人のことを考えてしまう。無意識レベルに刷り込まれるほど意識してしまう状態、きっとそれが「好き」という状態なのだと思います。

つまり「ゆう」は恋は盲目であるがゆえに、意中の男性「島崎くん」ひいてはクラスのみんなと線引をして、好きになればなるほど孤立してしまうというジレンマに陥っています。でも自分では何も問題にしていないどころか、すべてを理解したような気分になっている。その辺りの苦々しい青さも書きたかったポイントなので、書ききれて満足です!

「『好き』とは何か?」という問いを、わかったようで何もわかっていない、でも可能性に満ち溢れている思春期の女の子と一緒に考えることができて幸せでした。
「ゆう」と同じ中学生の頃に戻れたら、私は自分に何とアドバイスをするかな、と考えながら書きました。

「♡=?」という人生の命題とも言えるテーマと登場人物たちへの愛を込めて書きましたので、少しでもなにか読んでくださったあなたの心に何かを残せていたら幸いです。お読み頂きありがとうございました! またどこかでお会いできましたら嬉しいです!

2024.5.19 徒然みぞれ


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