【電子帳簿保存法はシステム導入が必須ではない件について】
皆さんこんにちは!
会計ソリューショングループマネージャーの藤井です。
※注意※
当記事は個人的解釈を含みます。
実際の運用にあたっては担当の税理士や所轄税務署へ必ずご確認ください。
今回は【電子帳簿保存法】のお話です。
「もう聞き飽きたよー」
「いろんなサービスがあって決めかねている」
「そもそも何もわかっていません!」
といろんな状態の方がいらっしゃると思います。
私も自分のクライアントさんたちに「電帳法」対応どうですかー?
と聞いてもやはり人それぞれですね。
で、色々話を聞いていると、どうやら勘違いされている方が多いな。
と思ったことがありますので書きたいと思います。
それが
「どのシステム/サービスにしようか迷っている」
という回答です。
何が言いたいかというと、
「システム/サービス導入ありきになってない?」
ということです。
もちろん、電帳法をきちんと理解し、きちんと業務運用を検討した結果、
「システム/サービス導入を行った方がメリットだ」
という判断を下したのであれば何も間違っていませんが、
電帳法に対応しなきゃ→まずはどのシステム/サービスにするか考えよう。
↑これがまずいというお話です。
★★ここからかなり個人的解釈が入りますのでご注意ください★★
まず、【電子帳簿保存法】って何のため(目的)の法律でしょうか?
「電子帳簿保存法は、情報化社会に対応し、国税の納税義務の適正な履行を確保しつつ納税者等の国税関係帳簿書類の保存に係る負担を軽減する等のため(以下略)」
ということで、
「紙保存って大変だから電子保存もOKにして負担軽減させてあげるよ!ただ納税は今までの紙と同じようにちゃんとしてね!」
です。みんなを楽にするためにやってくれている法律なんですよね。
ここで注目したいのが、後半に書いている
「納税は今までの紙と同じようにちゃんとしてね!」の部分。
これをさらに分解するとどうでしょうか。
まず1つは「納税はきちんとしてね!」です。
では正しく納税していることを証明するにはどうしましょう?
「税額は本当に10万円なんです!」とそれだけ言っても誰も信じないですよね?
税額が事実に基づいて嘘じゃないって証明するためには、
その計算元である日々の取引内容・金額が正しいと証明するしか方法はないわけです。
ですので、国税に関する法律(法人税法・所得税法・消費税法等)では、
帳簿(税額計算のための根拠)と書類(その帳簿を作成した根拠)を保存する義務を課しているわけです。
※帳簿:国税関係帳簿。仕訳帳、総勘定元帳、売上台帳、仕入台帳など
書類:国税関係書類。決算関係書類(貸借対照表、損益計算書など)と取引書類(請求書、見積書など)
この記事では書類は取引書類を指しています。
2つめは「今までの紙と同じように」です。
紙保存での証明方法については、上記1つめでお話した通り各国税に関する法律で定められています。
電子帳簿保存法は「データと紙の差異をなくすためには?」のためのものです。
つまり、
データ ⇒ (電子帳簿保存法) ⇒ 紙 ⇒ (各税法) ⇒ 目的
という段階を踏んでいるので、
電子帳簿保存法だけ見ても片手落ちどころか「紙とデータの差の埋め方」という何のためにやっているかわからないものだけになってしまいます。
少し話が横にそれましたので本題に戻ります。
では「紙とデータの差」は何でしょう?
それは「加工・複製」が極めて容易なことです。
ですので、電子帳簿保存法では「加工・複製」が出来ないような仕組みを作れば、紙と同じような効力(証明)になるよ!と規定しています。
※紙と同じ効力ってなんだっていうと、それは各税法が規定している。という流れです。
ただ「加工・複製」が出来ないような仕組みと言われても具体的にどうするの?
という話になりますよね。
そこで電帳法では真実性の要件として以下の①~④を具体的な要件としてあげています。
①タイムスタンプが付された後、取引情報の授受を行う
⇒タイムスタンプ(改ざん防止証明印)が付いた書類を貰う
②取引情報の授受後、速やかに(又はその業務処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付すとともに、保存を行う者又は監督者に関する情報を確認できるようにしておく
⇒書類を受領した後、タイムスタンプ(改ざん防止証明印)を付ける
③記録事項の訂正・削除を行った場合に、これらの事実及び内容を確認できるシステム又は記録事項の訂正・削除を行うことができないシステムで取引情報の授受及び保存を行う
⇒改ざんできない仕組み(システム/サービス)を使う
④正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規定を定め、その規定に沿った運用を行う
⇒改ざんできない規則(ルール)を作り、それに従って運用する
①が一番証明が簡単(こちらで証明するための労力が少ない)で、
④に行くにしたがって難しく(こちらで証明するための労力が多い)なっていきます。
で、色んな方とお話をしていると、この電帳法の真実性の要件だけが独り歩きしているように見受けられるのです。
極論を言えば、最終目的である納税義務をきちんと履行している(かつそれを証明できる)のであれば、税務当局としては何の文句もないわけです。
④でいえば、システム投資はゼロでもいいわけです。
ではなぜ①~③(タイムスタンプやシステム/サービス導入)の話ばっかり聞くのかというと、
【ネガティブ要素】
・サービスベンダーの稼ぎ時だから
※悪い言い方をするとセールストークに引っかかってる
【ポジティブ要素】
・手運用④より外部サービスを利用した方が結果安くするから
※システム投資/サービス利用料 < 人的コスト
・このタイミングを機にDX化を進めて他の業務も効率化して運用コストを下げる
とくに【ネガティブ要素】になってしまっている方を危惧しています。
きちんと全体像を理解し、電帳法の目的である
「負担を軽減する」 ≒ トータルコストを抑える
を実現できるように今一度理解・検討を進めていくことが大切です。
弊社会計グループでは、色々な会計システム/サービスの販売・導入を行っていますが、それはあくまで目的を達成するための手段(ツール)と考えています。
ですので、目的(業務効率化等)を達成するにあたって、既存のシステム/サービスを継続利用し、活用するという提案も行っています。
今後も皆さんのお役に立てるような記事を書いていきますので、
ぜひこれからもご覧ください!
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