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470GOTO減税ではどうか

コロナで旅行関連事業者が苦境にある。新規感染が下火になったのを見計らって、国民に旅行に行ってもらおう。そして関連事業者の売り上げ増につなげようではないか。それ自体はいいことだし、政治マターである。
だが、そのためにおカネをバラまくという発想がよろしくない。霞が関の政策立案能力が落ちているのではないかと、友人の論客山口智君が訴えている。同感だが、政治にも責任がある。政策マンは与えられた条件の中で、最善の方法を考え出すのが使命である。財政法は赤字国債発行を認めていない。カネがないから知恵を絞り、国民の行動パターン変革を促す方策を考えた。わが国が成長していた時代の政策立案の常態だった。
旅行関連業界に元気を出させる方法を考えよう。政府が用意するのがGOTOキャンペーン。仕組みがとても複雑で、普通の人に利用は無理ではないかと思える。ネットには「Go To Travelキャンペーン」「Go To Eat キャンペーン」「Go To Event キャンペーン」「Go To 商店街キャンペーン」と並んでいたが、いずれも仲介業者を通じての予約が必要で、時間的にもコスト的にも無駄。
バラマキ禁止。カネを使わずにやれというであれば、提案はまったく違うはずだ。財政支出ではなく、税制を活用する。臨時の「GOTO減税」を実施である。その場合、政府がすることは、①GOTO減税用の統一領収証の規格を決める、②その領収証の有効発効日を設定する(例えば今年の12月から来年の5月)の二つだけ。余分な中間経費はいっさい要らない。
GOTO減税に該当する支出をしたと考える者は、来年度の納税申告でこの領収証を添えて税額控除を申し出ることで、一定割合(20%などとケチらず半額と奮発すべきだと思う)の税額控除を受けられる。そして③実質を伴わないカラ領収証を出している疑いの宿泊業者などに対しては、後日、税務調査をかければよい。
驚くほどのアイデアではない。現に実施されている住宅ローン減税の変形である。ローン残高の1%相当分を税額控除するものだが、これによって住宅需要を維持され、住宅業界の維持になっている。そしてローン金利が1%を割り込んでいることから、逆ザヤになっており、縮減が予定されている。それとの引き換えでのGOTO減税であれば、税収減も抑えられる。
霞が関の官僚を働かせるには、制約を明確にすることだ。財政支出の歯止めをかけなければ、よほどの変わり者でないかぎりバラマキに走る。政治家がこぞって、歳出規模の大きさを要求するようではなおさらだ。
岸田総理の「新しい資本主義」とは、政府財政の肥大化とその先の大増税である。国の借金返済の最終財源は詰まるところ増税しかあり得ない。MMT論者が何を言おうが、借金には限度があるのだ。
財政規模を増やして、返す刀の重税で国民経済を管理するのが「新しい資本主義」の正体である。このことが知れ渡れば、要するに岸田さんは「社会主義化への志向者」だったのかとなろう。そして代わるべき政党を見渡せば、より強く社会主義的政策を主張するところしかない。だれが考えても、国民の経済活動はいっそう落ち込むだけである。


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