454当落予測は有権者愚弄
10月31日衆院選の結果が出た。昨夜の開票双方に見入った人が多かったと思う。国の将来を憂うる人も、特定の補者の当落に感心を持った人も速報状況に一喜一憂したことだろう。筋書き見え見えのおざなりドラマより数段興奮させる。
記憶が薄れないうちに記録にとどめておこう。
1点目はマスコミの予測記事の弊害だ。投票日の何日も前から、結果予測が報じられる。何億円もの巨費を投じて電話やネットで有権者の投票意向を調査し、高度の統計技術で科学的に分析した結果なのだそうだ。そんなことを言われれば、有権者は①勝ち馬に乗り、優勢とされる候補に投票するか、②自身が支持したい候補の当選なしと判断して棄権するか、になるではないか。
ロシアでは選挙にまつわる小話がある。曰く、ロシアの民主主義は西側とは違い“公明正大かつ科学的”だ。その理由は、「西側では開票するまで当落が分からないが、ロシアでは投票前から当選者が分かっている」。
マスコミは日本の選挙をロシア的にしたいのか。
しかもその予測が見事に大はずれ。維新の3倍増は当たったが、立憲民主党の大躍進予測は大外れ。同党(麻生太郎氏によると実質は立憲共産党)の枝野代表の政権奪取への勢いをマスコミは総力で支援したが、有権者を幻惑するには至らなかった。この後、マスコミの予測が野党候補陣営を油断させる陰謀だったとの俗論が出されるだろうが、批判者はそうした言い訳ではなく、「事前の予測発表を止めよ」と民主主義擁護の本質を突くべきだ。
なお、投票日当日にも尖閣諸島海域で中国政府艦船の遊弋が続いていた。これにどう対処するのか。明確に行動姿勢を示す政党はあるのか。中国は公然と民主主義や人権への破壊工作をしている。西側先進国で腰が引けているのは日本だけだ。そうした無策無責任の政党や政治家に任せておけない。そうして見比べてみたら、投票に値する候補がいなかった。これが低投票率の主な理由だ。とボクには見えるが、マスコミは決してそういう分析をしないだろう。
ボクの所属する選挙区では7人の候補者が出た。前回小選挙区を制した人は、中国からの賄賂受領容疑で公判中。勝てる見込みなしと判断したらしく立候補しなかった。それで俄然、多数がチャンスありと手を挙げたわけだ。
だれに投票すべきか。どうしても勝たせたくない者から削除するのがボクの手法。選考基準の第一を国家財政への責任度とした。政府財政がきっちりしてなければ独立国としての存立はできない。今が未曽有の国家的危機だとしてバラマキばかりを口にする者は、小学生並みの経済観念にも欠ける。地震、リーマン…国家的危機として煽る材料はいつでも挙げることができるものだ。
また自立した中間層が社会の中心を構成すべきであり、自助、共助、公助の順であるべきだ。間違っても国家が国民の衣食住を丸抱えして、家畜のように飼い慣らす社会は願い下げである。
以上の観点から、まずふるいにかける。
A候補:年収1千万円以下は非課税。
B候補:ベーシックインカムを導入し、消費税を下げる。
D候補:超積極財政で消費税、所得税0円。
F候補:コロナこそが国難で、その他の政策は付け足し。
これで4人が脱落してしまった。残るは3人。それで選挙公報をつぶさに読んでみた。
目についたのは、C候補:地元出身。E候補:親の介護体験あり。G候補:江戸っ子気質の街に。これらって政策なの? 区議会議員候補であれば、ありかもしれないが。
専制国家の威嚇から民主主義や政治的神権を守るとか、領土・領海を守るといった国会議員としての任務に関する記述は公約中では一言も見つけられなかった。わずかにC候補が、ドローン、AI、サイバー等の分野で中国の跋扈を許すなと匂わしていた。文字通りの消極的選択になってしまった。