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459中国vs.中国

昨日11月7日の新聞(産経)に、二つの記事が並列報道されていた。
まず記事1。【北京=三塚聖平】の署名で、見出しが≪中国が「台湾独立分子」制裁。行政院長ら生涯、刑事責任を追及≫。
冒頭のパラグラフは以下になっている。
― 中国政府は6日までに、台湾の行政院長(首相に相当)らに制裁措置をとると発表した。「台湾独立分子」と認定した台湾側の人物に対し、生涯にわたり刑事責任を追及すると強調。米欧が台湾接近を進めていることを受け、台湾の蔡英文政権への圧力を増している。 ―

次が記事2。【台北=矢板明夫】の署名で、見出しが≪台湾は反発、対抗措置示唆。「知名度上がった」と皮肉も≫。
こちらの冒頭パラグラフは以下になっている。
― 中国当局が「台湾独立分子」として台湾の蘇貞昌行政院長、游錫堃立法部長、呉剣燮外交部長の3人に対し、中国訪問を禁じるなどの制裁措置を発表したことに、台湾では強い反発が起きている。3人は6日までに「圧力に屈しない」などと表明。台湾では対中政策を主管する大陸委員会は「対抗措置を取る」可能性を示唆した。 ―

 読者としてはどう反応すべきか。台湾は中国の一部の考える人は記事1を支持する可能性が高く、台湾は独立国とする人は記事2に同調するのではないか。
 これらの記事では、当事者を「中国」と「台湾」と表記している。これにはいろいろな政治外交的な経緯があるのかもしれないが、少なくとも日本の読者向けではない。というのは、北京側の正式名称は「中華人民共和国」で、台北側は「中華民国」。略すればどちらも「中国」になる。お約束ごととして「中国」とは中華人民共和国のことだと理解することによって、大陸の中華人民共和国が台湾の中華民国に脅しをかけているのだと内容が分かる。もし中国を中華民国の略称だとしたら、まったく意味不明の文章になる。いっそのこと、チャイナ、タイワンとカタカナ表記にしてはどうかと考える。米国ではなくアメリカ、英国ではなくイギリス、露国ではなくロシアとする要領で。
 
 次に台湾は北京政府の領土なのか。北京はそう主張し、台北は違うと反論する。先日、ジャーナリストの櫻井よしこさんが語っていた。「私は台湾を独立国だと思っているのですね。ですからそのように発言したら、テレビ局の人から『それを言ってはいけない決まりになっているのです』と注意されました。納得できないですけど、放映されないのでは困りますから、言い換えましたのですね」と語っていた。
 ある地域が独立国なのかどうかを決める最大要因は、その土地の住民の意思ではるはず。台湾の人がどう考えているのか、住民投票をしてみればいいのではないか。イギリスではEUに残留するかどうかで国民投票をした。同じことを台湾でやってはいけない理由などないはずだ。岸田総理は対中国でも恐れずに「言うべきことは言う」主義だそうだから、選挙の公正を期すために、わが国は率先して選挙管理団を派遣する用意があると表明すべきだろう。
台湾人の民意を重んじることで合意して、その結果尊重することで、うらみっこなしにするのだ。民主主義信奉者としてはそう考えるのだが、これも表明してはいけない禁句なのだろうか。そうだとすればその禁止の根拠法はなに?

 北京の主張は台湾が「かつての清帝国の領土だった」ということのようだ。その論法で行けば、「かつての時代」をどこに置くか、また領土の定義をどうするかで、いかような理屈も可能になる。現に中国内に出回り、啓発用に使用されている古地図があるそうで、そこではインドシナ半島からミャンマー、インド洋に及ぶ地域、中央アジアの広大な領域、ぐるりと回ってモンゴルから現在はロシア領になっている沿海州などがごっそり含まれ、現在の領域の2倍以上になる。さらにわが国の沖縄県も琉球省として版図に加えられている。理由はそれら地域がかつて支配下にあったと信じるから。
「あなたの国は中華人民共和国であり、建国はつい先だっての1949年とか言っていませんでしたか」と聞いてみればよいと思う。「今の政権のことではない。この地域に覇を唱えた過去の栄光の政権の領域を自分たちが相続する権利があるのだ」との回答であれば、それこそ人類滅亡の戦争を覚悟しなければならないだろう。
北隣のモンゴル共和国は800年ほど遡ることで、チンギスハンの時代のユーラシア大領域の回復要求が成り立つことになる。その中には今の中華人民共和国の主要部がそっくり組み込まれるから、同国はほぼ存在を否定されることになる。このように各国が自分に都合がいい歴史を引っ張り出して、領土の正当性を主張し始めればどうなるか。人類滅亡がその結果であることは、小学生でも分かる道理だ。
 国民あっての国家のはずだ。一国を形成するか、それとも他の国の一地域でいたいか。こういうことは代議制では総意が見えない。住民投票の出番であろうと主張する根拠である。

 話変わって、わが国でも「沖縄独立運動」なるものがあるらしい。台湾で独立の是非を問う住民投票が行われることを希望するが、その際には、わが国でも沖縄県民の独立是非住民投票をやってみればよいと思う。こちらは実施するまでもなく、結論は明白だが、将来の安全保障の対策になる。北京政府が台湾への侵攻を仕掛けるときには、併せて沖縄にも軍を進め、「沖縄人民政府ができ、その要請で進駐する」ことが予測される。今のうちに住民投票で、沖縄県民には日本からの離脱を願う気持ちがないことを確認しておくことが重要だと思うからだ。

 本題の台湾での住民投票ではどういう結果になるか。予測はできるが、言うと大炎上になるかしら?

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