389コロナ陰性証明その1
アメリカに赴任滞在中の娘家族が恒例の一時帰国をしていた。2か月の予定期間を終え、いよいよ明日は出発という日に羽田空港にPCR検査を受けに行った。某医科大学の直営分院的なクリニックで、海外渡航者に必要な「陰性証明書」発行のためのPCR検査をもっぱらとしているようだ。検査は有料3万8千円とバカ高い。ボクは家族全員での料金で、それでもぼったくりだと思ったのだが、それは誤解でなんと一人の料金。4人家族ではこの4倍だという。
有害伝染病を国内で蔓延させないのが感染症対策の基本。コロナでは特に各国が神経質になっている。高熱などのコロナ典型症状がある者は到着した海外空港からそのまま追い返され、帰国便に乗せられても文句を言えない。無症状の入国者への一定期間のホテル等への隔離的監視と外出禁止措置も課されている。これらに加え、コロナのワクチン接種証明やPCR検査での陰性証明をも求められる。娘家族もアメリカへの帰国に際し、この陰性証明が必要だった。こうした規制をするのは、あくまでも入国受入側の国である。したがって羽田の某大学クリニック作成の説明書には「当センターの陰性証明が各国へ入国を保証するものではない」との注意書きがある。
PCR検査の検体は受検者の唾液。各自でセンター職員が目を光らせる前で検体容器に唾を吐き出すのだという。他人の唾液との混合やすり替えを防止するためだろう。じろじろ見られてのかなり恥ずかしい唾吐出し行為ではあるが、検体提供そのものは基本的に1分内で終わる。
検体提出のための送迎はボクがした。その後の専用機械での分析と証明書作成に数時間かかるので、受け取りには婿殿が代表で再訪する段取りだった。そこで事件が起きた。
気楽な気持ちで受け取りに行ったのだが、センターで告げられたのは、
①4人のうち3人は陰性だが、子どもの一人が陽性であったこと
②この陽性の子は陰性証明が発行されないから、出国できないこと
③10日間の自宅閉じこもり期間を経てなにも症状が出なければ、さらに引き続いての2週間の観察期間が、多分保健所から課されること
④それでもなんら症状が出なければ、保健所の許可を得て、再度のPCR検査による陰性証明を得て出国が可能になること
⑤同居の家族(これにはボクたち祖父母も含まれる)は当然に濃厚接触者であるから、保健所の指示で上記の①から④の措置になると思われること
いきなりこう宣告されたら、わが家の婿殿でなくても動転するだろう。家族のだれ一人コロナらしき症状はみられない。元気いっぱいなのだ。しかも陽性は家族の中でただ一人。ヒッツキモッツキ遊びまわっている兄妹なのに検査結果が陰と陽に別れているのが解せない。PCR検査での誤判断である偽陽性、偽陽性はいくらも報道されている。再検査すべきではないのか。
いろいろ言ったのだが、検査センターの医師はいっさい問答無用。追い打ちのように「検査結果は保健所と航空会社に通知したから、明日搭乗しようなどと変な考えを起こさないこと。今後は保健所の監視下に入る。3日ほどしたら保健所から正式な行動自粛指示があるはずだ。それまでおとなしく自粛するのが賢明だ。あなたも濃厚接触者なのだから空港内にいられたら困る。即座に退去せよ」と交渉を打ちきられた。
納得できず、直接保健所と話し合うので連絡先はどこかと尋ねたが、最寄りの蒲田保健所を通して担当保健所に連絡が行っている最中だから、今は話が通じないだろう。三日もすれば保健所から連絡が行くから、それまで家で自粛して心証を悪くしないことだと言ったのだそうだ。
この顛末がどうなったか。予想を三択から選んでください。顛末は1週間後に続編で書くことにする。
A:娘家族全員がわが家で自粛生活をしている。
B:濃厚接触者との誤解を解き、陰性だった者が先に帰国した。
C:家族全員が予定通りに帰国した。
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