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669 Kポップと徴兵制

世界を席巻する勢いのKポップ。その中心ともいえるBTSが大人気のさ中、グループ活動を中止すると発表したので驚いたファンが多かったはず。その理由が「兵士になって国を守るため」。
韓国では、18歳から28歳までの健康な男性は18‐21か月の兵役に就かなければならない。
ただし、「大衆文化などの分野で大きく貢献した者」は“28歳まで”を“30歳まで”に2年延長できるとの特例法が2020年12月に議会を通過している。ここでの大衆文化とはまさにKポップを意味しており、特例法は“BTS法”と呼ばれている。経済シンクタンクは「BTSが韓国経済に毎年36億ドルを貢献している」と分析しており、彼らが兵役で活動できない期間中の「国家的損失」が大きすぎるとの政治家の判断だ。
しかし彼らとて毎年歳をとる。最年長で、特例法制定時に28歳目前であったリーダーのジンは、2年後の今年12月に30歳になる。
彼とメンバーのために特例法をさらに改正するべしとの声もある。
さすがにそれには、「不公平」との反対世論が強い。国論を二分しかねない。
それらを踏まえての今回の結論。徴兵に応じても2年もたたずに帰還するのだから、それから再結集すればまた稼げるとの判断だ。
 
「大人の知恵」なのだが、それが欠けているのがわが日本の政治家と大人たち。
北朝鮮は狂気のように連日のミサイル発射。それに核爆弾を搭載して、民主主義陣営の国に打ち込む準備であることは疑いようがない。ウクライナでは民主主義国の抵抗で侵略が失敗に終わりつつあるロシア。若者が徴兵を怖れて国外脱出するなど、プーチンの“聖戦”に国民が離反しているのは明らか。ウクライナの側では、国外在住国民が帰国して兵士に志願している。国を守る気概にあふれた兵士と、何のために戦うのかの意義を見出せない寄せ集め兵士とでは、まるで勢いが違う。
コテンパンに負かされ、大量の死傷者を置きざりにしての敗走では、「核の威嚇」も実施に移せるはずがない。ボクは直感でそう判断するが、アメリカなどの戦争研究者の多くもそう分析している。
 
ところがわが日本では「戦う姿勢を見せなければ攻め込まれることはないのだから軍備を持つべきではないし、徴兵制などもってのほか」との意見がいまだに大手を振っている。「侵略に抗するという国民の意思を明確に示すことで専制主義国に侵略を思いとどまらせるのが、結果的に国民の生命を守る最良の手段であり、徴兵制実施はその有力手段である」との正論は発することすら許されないムードが支配している。
日韓はとても仲良くできる状況にはないが、平和愛好か戦争希求かの究極の区分では、ともに前者に属する。だって民主主義国なのだから。しかるに国防意識や体制における違い、特に徴兵制についての国民意識はなぜかくも違うのか。

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