見出し画像

720刑務所コンサルタント アメリカのはやりビジネス

 世の中にはいろいろなビジネスがあります。アメリカのテレビドラマの中で紹介された「刑務所コンサルタント」。ご存じの方もいるでしょうが、ドラマの模様を紹介しましょう。
 まず前置きですが、日本の刑務所はどの程度環劣悪なのか。
 
「刑務所の受刑者に対する職員の暴力行為は、なぜ繰り返されるのか。法務当局は、経緯を徹底的に検証し、厳正に対処しなければならない。・・・どのような事情があっても受刑者を虐待する行為は許されない。人権意識を欠いていたと言わざるを得ない・・・」。名古屋刑務所内で刑務官22人が男性受刑者8人に対し、顔や手をたたいたり、アルコールスプレーを顔に噴射したりする暴行を繰り返していたことが判明した事件を受けての新聞の社説です(読売2022年12月18日)。
 刑務官は国家公務員。国法およびその下位法令である法務省の規則にしたがって受刑者に接するように義務づけられています。それに反した行動があったことで問題になっているのでしょう。
 刑務官たちはそうした行為を否定していません。「受刑者が指示に従わなかった」ため手を出したと主張しています。
 ではなぜ受刑者が指示に従わなかったのか。理由は大きく二つに分けられます。
A:刑務官の指示がデタラメであった。刑務官の統率能力が足りなかった。言葉が正しく伝わらなかった。
B:受刑者になめる風潮があった。指示違反への罰則適用が厳正でなかった。指示に従順だとリンチに遭う可能性があった。
 さてどっちだったのか。
 
 日本の刑務所での処遇はどのようなものなのか。堀江貴文さんが刑務所内から実況著述した『刑務所なう』があります。当人の性格を反映しているのか、そんじょそこらのブラック企業とは比較にならない“好待遇”の印象でした。労働基準法がしっかり守られているとのことです。彼は受刑中の自由時間に所内事情の実況本の原稿を書き、手紙に混ぜて出版社に定期郵送することで印税稼ぎもできていました。経済犯罪者が罪を償う期間中に稼いでいることに違和感がありました。
 
 日本の受刑者は4万人弱です。世界の総数は1,100万人ですから決して刑務所大国ではありませんね。むしろ刑務諸小国かも。大国としてはアメリカ220万人、中国170万人、ブラジル67万人、ロシア60万人とのこと。もっともこれらが正しい数値かどうかは別の検証が必要かもしれません。例えば中国新疆地区で洗脳施設に収容されている数百万人のウイグル人の実態は受刑者ではないかなど。
 
ここでドラマでの刑務所コンサルタントです。ドラマでは男性弁護士が濡れ衣で有罪判決を受け、6時間後に刑務所に収監される場面です。4年の刑期、模範囚であれば2年で仮釈放なのですが、その期間を無事に過ごす述(すべ)を教えるのです。
●所内では他の受刑者の目を見るな。因縁をつけられて暴力を振るわれる。
●気どった歩き方をするな。性行為の対象として狙われる。輪姦されたらおしまいだ。
●食事は食器を抱え込んで食べろ。横からガラス片などを混ぜ込まれる恐れがある。
●仲間を作って群れろ。一人だと集団暴力に抵抗できない。
●ツテがあるなら今すぐ電話して、荒れていない刑務所への移送工作をしろ。
●脱走を考えるな。目立たず耐えれば4年などあっという間だ。
●得心したら復唱しろ。では釈放まで無事でいることを祈る。グッドラック。
 
 コンサルタントへの報酬がいくらだったのか。ドラマでは収監の直前に有罪証拠が工作されたものであったことが証明され、裁判官が自ら判決を破棄して無罪になり、刑務所行きを逃れるからです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?