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人生と旅に求めてることがちょっとわかってきた(雑記)

 今月、平日のどこかで沖縄でも行こうかしら。スカイスキャナーをすいすいっとなぞっていると、沖縄行きの飛行機が安くて、惹かれる。行きてえー。あったかいところ、行きてえー。海、見てえー。おいしいもの食べて、ほっこりして、ホテルで爆睡して、朝食バイキングを堪能して、琉球王朝に思いを馳せて、なんか民芸品とか、面白い調味料とかさ、お土産買って帰りたい。

 沖縄には一度だけ行ったことがある。大学四年生の夏休みに、中学時代の友達と二人で四泊五日の旅に行ったときだから、もう十年前である。友達と、帰り際に、険悪になってしまったという苦い思い出つき。ちょっと、あんまりポジティブじゃないことを話す。
 旅の、二日目くらいまでは楽しかった。だけど、何日か一緒に過ごすうちに、慣れないレンタカーの運転にも、その車の中で友達が流すどこぞの国の騒がしいレゲエ音楽にも、紫外線が強いことを気にして昼間に外に出たがらない彼女も、米兵のいるクラブに行きたがることも、タクシーでも居酒屋でも海でもやたらと男性に声をかけられる美人な友達にも、そんなことが今までの人生で一度もない自分との圧倒的なコントラストにも、うんざりしてしまったのだ。
 そして、彼女も私にうんざりしていることにも気づいていて、さらにうんざりした。古い市場や地元のスーパーや泡盛がたくさん置いてある地元っぽい居酒屋に行きたがり、やたらとシーサーだのやちむんだのを作りたがる。運転が下手で、せっかく沖縄に来たのに新規の人間との交流に怯えて避けて、予約時間への遅刻ばかりを気にする私である。そういうところは、いまだに私だって私自身にうんざりする。

 彼女はなんにも悪くない。そして、私も別に悪くない。道理はわかっているからこそ、当時はしんどかった。自分の好きな音楽を愛でる彼女も、紫外線対策を怠らない姿勢も、悪くない。私は昼間の首里城に行きたかった。私は怖いから、米兵の方や男性がいるクラブには行きたくなかった(そして、行かなかった)。今思えば、一夜だけでもクラブにつきあってみればよかったろうか?いや、行きたくなかった。彼女に寄ってくる男性たちも、怖いな、嫌だなと感じた。私が苦手なだけなのである。男性たちも、別に悪くないのである。悪い人もいるんだろうけどさ。

 私たちは合わなかった。歩み寄らなかったし、決して曲げなかった。お互いが旅に求めるものも、友達とも、何もかも違いすぎたのだ。十年経ってやっと腑に落ちた。ずっと、反省と憤りとモヤモヤが残っていたけど、まああれはあれでいい経験だった。
 (その彼女とはその年中に「あの時、お互いが求めるものが違いすぎたよねー」と、反省しあえた。彼女とそれ以降旅をしたことは、もちろんない。後にも先にも、その他の友達と旅先で険悪になったことはこれ以外のケースでは、ない。)

 自分の心に合うことばかり選んでしていると、成長できないでしょうか。向上心のないやつは、バカかもしれません。
 が、私は私の心の置き場所がちょっと最近わかってきた。私は気の合う人といたいし、自然に触れたいし、一人にもなりたいし、落ち着きたいし、ちゃんと休みたい。不特定多数の人とわちゃわちゃするのは苦手で、本音を打ち明けるまで時間がかかり、疑い深くて、慎重で保守的である。楽しいことは好き。でも、私にとって楽しいことって、「時間を忘れるくらい、安心して夢中になれること」なんだな。

 と……そんな感じで、居心地のよさも、ときに違和感や悪さを感じながら歩む、そんな新しい歳にしたいものです。

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