フォームがプログラム作成に重要な理由 「仕事」を使って解説
こんにちは、佐々木です。
東京でS&Cコーチとして、スポーツに限らず、日常生活を含めたパフォーマンスを高めるためのトレーニング指導をしています。
今日はフォームって大事だけどなんで?をテーマに、フォームが大切な理由を物理の「仕事」を解説しながらお話しします。
やっぱリフォームは大事
「怪我をしないためにもフォームって大事だよね」みたいなことはよく言われます。その通り。怪我をしないためにもフォームは大事です。
もう1つ「効果的なプログラムを作るため」という理由ががあります。
効果的なプログラムを作る上で大切なことは、テスティングをして数値に基づいてプログラムを作ることです。
トレーニングの教科書を読むと「1RMの○%で○回○セットやれば筋肥大の効果がある」みたいに書いてありますよね?これまで研究者の方々がいろんな実験をして「〇〇の効果を出すためには◯◯をすれば良い」ってことを明らかにしてくれています(あざす)。
僕らはそれを生かさなきゃいけない。
多くの研究が「1RMの◯%で」という条件を設定して実験を行なっているので、その研究を生かそうと思ったら1RM(1回で挙げられる最大の重さは何キロか)を知らなきゃいけません。
ここで大事なことがやっぱりフォームです。フォームが変われば1回挙げられる重さが変わるからです。その理由を「仕事」を使って説明します。
物理の仕事って?
「仕事」って知ってますか?職業の仕事ではなく、物理の仕事です。物理の世界で仕事をするということは、力を加えて物を移動することを言います。
スーパーからお米の袋を持って家まで帰ってきたら、僕はお米を家まで移動した分、仕事をした。
そのお米を1階から2階に運んだら、お米を1階から2階に移動した分、僕は仕事をした。
お米を運ぶとき、僕は物理的な仕事をしています。
デットリフトをするとき、重りを上まで持ち上げます。物(重り)を上げる(移動している)ので、仕事をしています。
仕事をした量を仕事量っていいます。
仕事量は「力 × 移動距離」で計算されます。
例えば、
10という力で物を1m移動したら仕事は10。10という力で物を2m移動したら仕事は20です(単位とか細いことはとりあえず無視)
で、これをトレーニングに当てはめてみます。
デットリフトを100kg、1m持ち上げたら仕事量は100です。
デットリフトを200kg、0.5m持ち上げたら仕事量は100です。
移動距離が半分になると扱える重さは倍になります(あくまで計算上ね)
つまり、移動距離が変わると持てる重さは変わっちゃいます。
ベンチプレスでブリッジ使えば重い重さは使えるし、スクワットでしゃがむのを浅くすれば重たい重さは扱える。
理由は重りの移動距離が短くなるから。
整理すると
移動距離を短くすれば重い重りが使える
移動距離を長くすれば重い重りは使えない
となります。
しゃがむ深さは大事だよね、っていう話
話を最初に戻します。
効果的なプログラムを作るときに大事なことは、1RMを知ること、つまり1回に何キロ挙げられるかを知ることって言いました。
多くの人がスクワットとかベンチでテスティングすると思うんです。で、そのテスティングの数値を使ってプログラムを作るんです。その方が効果が高いってわかってるから。
けどね、フォームが変われば使える重さって変わるんです。スクワットでしゃがむ深さがテストの時と普段のトレーニングの時で変わっちゃったら、扱える重さが変わっちゃう。となると、作ったプログラムができない、ってことが起きます。
テスティングのときに浅いスクワットをしていて、トレーニングで深いスクワットをしたら、1RMの◯%の重さに設定したのにこれじゃトレーニングできないじゃん。ってなる。
スクワットでどの深さまでしゃがむかって結構大事なんです。
特に指導する側は、数値を当てはめるときに深さを変えたらどんな影響があるかを知っておかなきゃいけない。
距離が変われば使える重さが変わります。だからフォームは大事です。
ちなみに、経験でいうとテスティングの時にほんのちょっと深さを変えるだけで上がるか上がらないか変わります。
ちょっとの違いが成功か失敗かを分けます。それが選手のモチベーションにも影響します。
頑張ってトレーニングしたのに重量上がってなかったらテンション下がるじゃないですか。
たかがフォーム、されどフォームです。
理屈を知っていて、意図的に浅いフォームでスクワットをしているのか(別に深けりゃいいとは言ってないヨ)ただなんとなくそうなっちゃったなーで見過ごすのかは大きな違いです。
仕事を知っているといろんな場面で生かすことができるので、「力×距離」をいろんな種目に当てはめてみると発見があるかもなのでぜひ試してみてください!
では。
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