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役者として生きる彼女

下書きに残っていた2018年のnoteを公開する。なぜ公開しなかったのかは思い出せないが、あのときの若さや考えが残っているのでそのまま編集せず公開する。
昔から人の考えに興味があって話を聞きにいっていたな。

「役者をやらないと死ねない」
そう思って上京してきたよっしー。彼女とは3年目の付き合いだ。今回はそんな彼女に話を聞いてきた。

S・・・私
よ・・・よっしー

役者として大事にしていることは決めつけないこと、迷い続けること。

S:役者として大事にしていることって何?

よ:「決めつけないこと」ですね。
本当にそうなのか?をずっと迷い続けること。

一つのセリフがあったとして言い方や仕草、声色、表情、呼吸が本当にそうなのか?を常に問い続けること。セリフにはない感情や、台本には載っていない背景や心情を想像し続ける。

ピークは初舞台

S:今回の舞台は主役?的なポジションやったけど出来はどうやったん?

よ:前回よりは良かったです!個人集客は今までで一番良かった!
ただ私の役者としてのピークは実は初舞台なんです。

当時、舞台界では超有名な原田さんっていう人が練習を見に来てくれたときがあったんです。 私はまだ役者始めて3カ月とかだったんですが、めったに褒めない原田さんが私を指して「あの子いいね」って。

そこから私は『原田さんが褒めた子』として紹介されるようになった。
そのときはそれで嬉しかったんです。

さらに初舞台が終わったあと、全員で集まって代表からのコメントもらうとき代表が泣いたんですよ、感動して。
私は初めてだったんで「代表はよく泣く人なんだな」って思っていたら、何年も代表といた周りの団員が「え!?代表が泣いてる!!え!」ってかなり驚いていたんです。笑

後々聞いてみたら代表が泣くなんて天地がひっくり返るぐらい珍しいみたいで。そのときが私のピークみたいです。

S:すごいな!初舞台でそこまで魅せれて!

よ:けど代表に言われるんです。「右肩下がりだな」って。やっと今回の舞台で少し回復したかなって感じです。

ひとつのことを我武者羅にし続けることの難しさ

S:初舞台のときがなんでよかったと自分では思う?

よ:とにかく我武者羅だったんです!もう目の前のことに一生懸命でした。大人になってしまったなって思います。今は自分をどう魅せるかを考えて演じてしまう。

我武者羅にし続けることができる人は本当にすごいと思いますね。

私の彼がプロボクサーなんですけど、子どものままなんです。純粋にボクシングでチャンピオンになることしか考えてない。
彼が言うんです。「俺、最近ボクシング好きなんだよね」って。

14年目ですよ!!?彼は14年目でも我武者羅なんです。

自分をなくすこと

S:役者で難しいなって思うのは?

よ:『自分をなくすこと』ですね。
どうしても自分は自分であるから、自分のクセが出てしまう。想像力があっても表現力が追い付かないんです。どちらも同じぐらい大事で、両方併せ持つ人が役者として素晴らしいんです。

前回の舞台で、金属バッド持って相手を殺そうする場面。あれは本当に苦労しました。足の先から頭の先まで震えて、震えて、自分の身体が自分のものではないような感覚。

そんなこと経験もしたことないから想像してもそれを演じることは難しい。だから、それをできる俳優さんはみんな尊敬してます。

S:俳優の人や表現者ってほかの人より深みがあると思う。裏の裏まで想像しないとあの深みは出ないとも思っていて。その人(役)に魂を入れ替えるというか。そして自分を見失わないのかな?とも思う。
役者じゃない私でさえ最近自分への自信が少なくなってきて自分が何かをわかってないけど。笑

自分の自信は他の人が形成したもの

よ:自信があるっていうのは結局周りの人たちのおかげなんですよね。
それを私は上京して思いました。今までの信頼とか強みとか一切なくなって
だんだん自信もなくなっていきました。結局、周りの人にいろいろ言ってもらえて
“それが自分”って信じていただけだったんです。

自分の自信はほかの人から形成されたものってことを気づかされました。

S:一理あるなぁ。
周りの人が信じてくれたり見守ってくれたりしたからあのときの私は自信があったんやわ。

今それがなくなって自信を失ってるけどそれが本来の私なんかもしれへんなぁ。
まぁけど、これからどうするかは自分次第やけど周りの人の影響は自分を形成する上で大きいよね。 

大事な人の数はもうキャパオーバー

よ:そうなんですよね。人生は人と人との繋がりだと思ってます。
私は媚び売って結びついたものに興味はないんです。もう大事な人はいっぱいいて、正直これ以上増えたらキャパオーバー。私はもうこれ以上大事な人を抱えきれないんです。これ以上増えたら全員大事にできない気がします。

S:そんなよっしーってめっちゃ素敵やわ。だから私も周りも余計応援したくなるんやろうな。

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役者も含め表現者の深みは計り知れない。私たちとは見ている深度が違うというか。奥の奥の奥まで追求しているような。

次はどんな舞台を彼女と劇団SINKは見せてくれるのだろう。
苦労話や想いを聞いた後に見る舞台はさらに心揺さぶられるのだろう。

他の人より舞台を楽しめそうだ。

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