見出し画像

装丁おぼえがき(2023年)


はじめに

今年頒布した同人誌2冊と無配の装丁に関するおぼえがきです。
紙とかフォントとかデザインの話とか。データ作成には、主にIndesignとクリップスタジオを使用しています。
二次創作(男女CP)の要素を含みますのでご注意ください。


『クラスメイトクライシス』

【仕様】
A6/56p
表紙:エンボス布目 135kg
本文:美弾紙ノヴェルズ
遊び紙:色上質紙  中厚口(70kg) 桃
加工:角丸加工5mm

【印刷】BRO'S様

5月のスパコミで頒布しました。
3月からゆるっと作り始めて、ゆるっと過ごしすぎて結局ギリギリになってしまいましたが、なんとか間に合ってよかったです。
ブロスさんの締切、本当にありがたいです……!


仕様について

また文庫本サイズを作りたいな〜となんとなく考えていたので、サイズはすぐに決まりました。

表紙用紙は面白い手触りがいいなと思い、布っぽい紙を選んでみました。親しみやすい感じというか、内容(学校もの)に合う雰囲気になったかなと思います。
結構柔らかいのですが、ページ数が少ないのでちょうどいいくらい。
濃い色のベタ塗り部分は布目感が目立って可愛いです。特に色抜けはなく、PPをかけていませんが半年経ってもインク剥げは感じません。

名前のとおり、エンボスの布っぽい感じ

本文用紙は標準の美弾紙ノヴェルズ。インクのテカリが目立たず、ほどよい黄味で読みやすいです。

締切に余裕があれば箔押しなどをしたかったのですが、本当に時間がなかったので、せめて何か……!ということで角丸加工を選んでみました。(追加納期なしなのがありがたすぎる……)サイズ感と合わせて、可愛らしい雰囲気になったので満足です。


デザインについて

表紙・裏表紙

内容に合わせて、原作で出てきた小物(裁縫道具、手紙、包丁、食器)を中心に、登場人物の年齢に合うようなかわいい感じのものをいろいろ並べています。

最初に、フリー素材をいくつかお借りし、3色に塗り分けたりちょっと線に切れ目を入れたりしたあと、等間隔に並べて1つのパターンを作りました↓

全く出てこないけどぬいぐるみを入れたかった かわいい

パターンを全面に貼り付け(クリスタで画像素材レイヤーに変換→オブジェクトツール選択→タイリングにチェック)、角度調整をして、一部小物を消してタイトル英字を入れたり色を抜いたりギンガムチェックをひいたりして、背景は完成です。
タイトル部分の帯は、締まりが欲しかったので濃い色を敷きました。

タイトルフォントはまるこいあす、CP名はJean Jingga スラント、裏表紙英字はフロップデザインRegular、背景の白抜き英字はインビジブルゴシックB。
インビジブルゴシックは今回の小物素材になじんで、良い感じに抜け感を作ってくれたような気がします。

本文フォントはリュウミンPr 6N、ノンブルがOptimaです。深く考える時間がなく、基本的に前回の設定を流用しました。でも迷ったときはとりあえずこれでOKかなという気がしています。
本文フォントサイズは12.5Qで少し大きめかもしれないけど、個人的には読みやすくてよかったです。すぐ目がしぱしぱするので……。

初版で一部文字色を濃いグレーにしてしまったので、本当に反省……。パッと見た感じは分からないのですが、なんとなく字が細い気がしてよく見ると細かいドットが見えました。再販分は全て黒文字に直しています。本当にすみません……。


『Ordinary』

【仕様】
B6/162p
カバー:パチカ130kg(裏側にマットPP)
表紙:コートカード紙180kg
本文:コミック紙クリーム
遊び紙:パールキルトペーパー ホワイト
加工:加熱型押し加工

【印刷】プリントオン様

仕様について

パチカカバー+加熱型押し加工は、同人誌を作り始めた頃からずっと憧れていました。ついに作ることができて本当に嬉しい……!
主にお値段的な問題で躊躇していたのですが、初期からの作品もいろいろまとめた再録集なので自分の中でも記念の一冊になりそうだと考えて、せっかくならと挑戦することにしました。

しかしパチカ、とても傷つきやすいです。紙が柔らかいので、少し引っ掻いただけでも跡になってしまいますし、ずっと触っているとぼそぼそと毛羽立ってしまいます。

自分用のです

……という注意点はあるのですが、それを差し引いても、ふかふかとした感触が可愛らしく、加熱型押し加工と合わせると表現の可能性が広がるので、とっても素敵な用紙です。使ってよかった。

遊び紙はパールキルトペーパーです。
きらきらゴージャスで圧倒的なプリンセス感……!フェアの特典なのですが、これを無料で付けていただいていいんですか?と思ってしまうくらいの存在感。本当に可愛いです。

高級ハイライトのような美しさ……

本文用紙は、初めてコミック紙にしてみました。カバー付きなので厚みを出したかったのと、B6という(今まで出した本より)大きめのサイズなので軽くしたかった、という理由からです。
結果、大正解でした。ほんのり黄味強めのクリームで文字は読みやすいし、ノドの開きやめくりやすさも問題ないです。そしてトナー感のなさがすごい……!オンデマンドとは思えないくらいでびっくりしました。厚みが欲しい時はまた使おう。
書籍用紙より劣化が早いのかなという懸念はあるのですが、それは今後観察していきたいと思います。

綺麗な印刷!

加熱型押し加工については、本になるまで透け感がどうなのか分からなかったので難しかったです。表紙の色が暗く濃すぎたので、もしまた機会があればリベンジしたい。

加工部分 表紙がほんのり透けて見えます

でも、ラスボス感が覆い隠されているというか、ちょっと意味深な感じにも見えるので、これはこれでいいかなとも思います。
参考までに、加工部分と手持ちの用紙を重ねたものをいくつか載せてみます。

ミランダばらも意外としっかり透けますね
全部かわいい


デザインについて

カバーのデータ。黒いのは加工部分

カバーは全面金糸の刺繍のようなイメージで、王女の日常をテーマに作りました。
表紙は、ドレスの中のチュールやレース+ラスボスの不穏感……をイメージしてこうなりました↓

表紙(カバー下)

色が薄いと加工部分から何も透けないかなと思っていたのですが、ちょっと濃すぎた!笑
完成イメージは下の画像くらいの色味だったので、クラスメイトクライシスの表紙くらいのピンクでもよかったのかも。

イメージ画像

折り返しのデザインは悩みました。集大成感がある一冊だったので、これもいつかはと思っていた既刊一覧を並べるというのをやってみました。ちょっと恥ずかしいですが、いろいろ作ったな〜という満足感が生まれてよかったです。

フォントは、タイトルがLustria、目次が夜永オールド明朝、本文とノンブルがリュウミンPr 6N。タイトルと目次はお上品な感じにしたかったのと、本文はニュートラルな印象を目指してのチョイスです。どれもお気に入りです。
B6ということで本文フォントサイズを大きめにしました。13Qでちょうど良い感じ。


『dear sister』

【仕様】
100mm×148mm
用紙:ディープマット ミストグレー 135kg

【印刷】プリンパ様

Ordinaryと同時に無料配布したポストカードです。
右から読むと姉から妹へ(バドエン)、左から読むと妹から姉へ(ハピエン)な文章です。全体的なバランス含め、かなり好きな感じに作れてとても嬉しい!

用紙はかなり迷ったのですが、不穏な雰囲気と読みやすさを両立できそうなディープマットミストグレーにしました。135gはポストカードにしては薄いですが、本に挟んでも邪魔になりにくいのでちょうどいいです。

まだたくさんあるので、次回以降のイベントでも是非是非もらってください。(本当に)


さいごに

創作ペースはのんびりですが、今年も本を出せて嬉しかったし楽しかったです。
来年のスパコミにも出る予定なので頑張ります。今度こそ早めに着手……!

それでは、最後まで読んでくださりありがとうございました。