見出し画像

お寺の香りや、匂いや臭い。

お寺の本堂はお線香を用いた燃香(ねんこう)を絶やしませんし、参拝などの際には焼香をしたりと、その他にも、特別なお作法の時に使う塗香などなど「香り」を大事にしております。
一日のお勤めを終えると、自分では気付かないのですが、かなり「お香」の香りを身にまとっています。
僕には関係の無い話ですが、髪の毛にもお香の香りは付くそうです、僕には関係ありませんが。

では、良い香りばかりかというと、たまに嫌な臭いというのもあります。
それは、和蝋燭。
もちろん、普通に使用しているときは、臭いなんてものはしません。
その暖かい灯りに大変に癒やされることであります。

画像1

和蝋燭(わろうそく Japanese candle)は、灯具である蝋燭の一種。 櫨(ハゼ)の実から搾り取った木蝋(もくろう Japan wax)を加熱して熔かしたものを、和紙および燈芯草の髄から作った芯(灯心)の周りに手でかけ、乾燥させてを繰り返して作る。完成した蝋燭は、断面が年輪状になる。和ろうそくの芯は洋ろうそくの綿芯に比べて太く見えるが、芯は筒状で、中は空洞になっている。ハゼの蝋のみで作った蝋燭が最も高級とされる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%92%8C%E8%9D%8B%E7%87%AD

しかし、築地本願寺ではたまに、使用済の和蝋燭を用いて「ある物」を作ります。そのある物を作る時が問題なのです。

築地本願寺の内陣(仏様のおられる金ピカのとこ)の灯りで輪灯などの主たる部分は菜種油に灯芯を浸して、それに火を灯しています。

浄土真宗では、燭台の他に「輪灯」と呼ばれる真鍮製の灯火具が用いられる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%81%AF%E6%98%8E

朝、まだ開門する前に、その灯芯に火を灯す際に、ライターでシュッと付けるような無粋な真似はいたしません。竹を切って、そこに芯を通した着火用の道具を自分たちで自作するのです(`・ω・´)ゞ
その「芯」もお手製です。
衣を洗いなどに出したときに包まれる「たとう紙」

画像2

これの古く、使わなくなったなったものを切り裂いて、捩ります。その捩ったものを、これまた使用済の和蝋燭の残り物、通称「残蝋(ざんろう)」を熱して溶かした液体に浸して、そのあと冷やして固めた物を芯とするのです。

その残蝋を溶かして液体にしている時が、かなり臭うのです(´・ω・`)
この作業は承仕(じょうし:僧侶のADみたいな感じ)さんの仕事ですが、参勤(さんきん:ディレクターみたいな感じ)さんたちに「臭うから、あっちでやってくれないか」とあちこちから言われ、境内の片隅で作っている時は哀愁を感じました。

なにはともあれ、お参りの方が臭うようなことはありませんが、築地本願寺の内陣の灯りは菜種油に灯芯を入れて灯す「本当の灯り」であることと、その着火のためには涙ぐましい努力が込められているということです。称念合掌

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?