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げんまん

子どものうたに出てくる

「やくそく げんまん」

誰もが知っているそのことば

「ゆびきりげんまん うそついたら はりせんぼん のます」

ゆびきりとは指切り

約束の証しに小指の第一関節を切って渡すこと

げんまんは拳万

約束破ったら拳で1万回殴ること

そして針を千本呑ますこと

まるで呪いのおまじないのようなそのことば

意味も知らずに僕たちはずっと繰り返してきた

そもそもが遊女とお客の変わらぬ愛の誓いのことば

それを子どもが謡うなんて

一夜の契り

それほどまでに契りとは重いのだと

結ばれた「やくそく」を破るときにはその苦痛を甘受する覚悟を決めろと

子どもの頃からこのおまじないを

醤油の匂いと同じくらい身体に染み込ませた僕たちは

見えない結界の内側に生きている

そのことをふと思う

なんでもない今日の夕暮れ



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