なにかと話題の医療用大麻って？
最近よく耳にする様になった医療大麻という単語。医療マリファナというそのままの言い方もある様です。
実は大麻草には60種類以上の成分が分離されており、有名なものだと
・テトラヒドカンナビノール(THC)
・カンナビノール(CBN)
・カンナビクロメン(CBC)
・カンナビジオール(CBD)
・カンナビエルソイン(CBE)
・カンナビゲロール(CBG)
・カンナビディバリン(CBDV)
などがあります。これらの総称をカンナビノイドといい、特にTHC、CBN、CBDはカンナビノイドの三大主成分とされている様です。
体の中で生成されているエンドカンナビノイド
さらに人間の体内で自然に生成されるエンドカンナビノイドなるものがあるそうです。これは1990年代に発見されたばかりで今でも研究が進んでいます。このエンドカンナビノイドが人間の中枢神経系で様々な神経伝達調整を行っています。
エンドカンナビノイドは脳全体にも作用しており、記憶・認知、運動制御、鎮痛、食欲調節、報酬系の制御などに効果があると言われており、さらに病理的作用だとてんかん発作時に神経保護的役割を果たすことが知られております。
医療大麻の作用は？
医療大麻とは大麻に含有されるテトラヒドカンナビノール(THC)やその他のカンナビノイド、あるいはそれらに類似した構造を持つ合成カンナビノイドを利用した製薬療法の事です。
鎮痛作用、沈静作用、催眠作用、食欲増進作用、抗癌作用、眼圧の緩和、嘔吐の抑制などがあり、上記の体が生成しているエンドカンナビノイドの作用を代替することができると言われています。
今医療大麻が注目されている理由としては、
・身体的害（副作用）が少なく第一選択薬として望ましい
・製造、栽培が容易かつ安価
・法的規制の問題を除けば、本質的には製造・入手が容易かつ安価
・多くの品種が存在しており、成分（THC、CBDなど）のバランスが多様
・嗜好植物としての大麻には多くの品種が存在しており、薬効成分（THC、CBDなど）のバランスが多様なため、患者の個人差・病状の差に適合した品種を見つけることができる
・化学薬品ではない
・既存の治療薬の効果が薄かったり、副作用が強い患者に対して別の選択肢となりうる
・いまだ有効な治療薬が存在しない疾患、難病に対して効果が認められることがある
などがあります。
さらに大麻はHIV、アルツハイマー、うつ病、強迫性障害、不眠症、てんかん、気管支喘息、帯状疱疹、多発性硬化症、筋移植性側索硬化症、クローン病、パーキンソン病など、約250種類の疾患に効果があるとする論文があります。各症状についての効果は自分もそれぞれ書いてまとめていこうと思っております。
日本の現在の医療大麻事情は？
日本では現状の大麻取締法により医療大麻の使用はできず、医療目的での所持も取締りの対象となり7年以上10年以下の懲役刑となります。
しかし、CBDは取締対象外であり茎や種子から抽出されたCBDを使用した健康食品は流通しており、研究も進んでいます。
世界の現在の医療大麻事情は？
・韓国 難治性、希少疾患の人々の声を受け入れ一部の大麻医薬品を合法化した。
・アメリカ 州によって法律が違うが全50州中30州で使用できる。中にはTHCを含まない物であればという区切りのある州もあり、医療大麻薬局などもある。
・カナダ 医療大麻のライセンスを発行しているが、運営がうまく機能しておらず、ライセンス取得者が少数で、ライセンス発行の遅延や品質の良い大麻の供給がされていない。
・オランダ コーヒーショップで処方箋やライセンスに関係なく大麻を購入できる。2006年から成分構成の違う160種類以上の効力の強い大麻を専門の薬局にて安価で販売されている。政府が提供する大麻にはガンマ線照射が義務づけられており、細菌のコロニー数がコーヒーショップで売られている大麻よりも圧倒的に少ない。
・オーストリア 2008年にオーストリア議会は医療目的と研究のための大麻栽培を認可した。
・スペイン 1990年代後半から2000年代前半にかけて医療大麻の非犯罪化と合法化運動が行われ、2001年に医療大麻が合法化された。
・ドイツ 2017年に医療大麻を合法化した。
・イギリス 一部の医療大麻薬品の研究の本拠地であり、2018年にはさらに医薬品の規制を緩和し処方箋医薬品となった。
・フランス 2014年に大麻由来の医薬品を解禁した。
・スイス CBDを主とした栽培、販売をする会社があり、現在規制されている大麻を薬局で購入できるよう検討されている。
・タイ THCの含有量が1%未満のヘンプを医療目的で栽培することを認める法案が通過し、2018年に施行された。
・オーストラリア 2016年、麻薬法を改正し、医療大麻が合法化された。
