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中卒、大学生になるーアカデミアへの「不法滞在」を目指してー

僕は2011年3月、ちょうど東日本大震災の前後に高校を辞めた。
都内にある偏差値40程度の私立高校で、推薦入試で金を積めば誰でも入れる学校だった。
内申点が21程度しかなく、テスト勉強も"した記憶がない"自分にとっては、
適当な作文と面接だけで不毛な受験戦争を乗り切れるということで願ったり叶ったりだった。

高校在学時代、体育祭での一コマ

しかし、度重なる停学や教師とのトラブル、同級生達の頭の空っぽさ(自分も空っぽだったのだが)、卒業しても何も得られない絶望感、そのクソみたいな道を押し付けてくる親への抵抗。
色々な要因があったのだが、
退学を決定的にしたのは出席日数が足りなくて留年が確定したという結構普通でダサい理由だ。

それから時は経ち2024年。
僕は東京通信大学という大学に合格した。
合格、と言っても通信制大学なので入試はない。
今回は面接もなく、オンラインで完結した。
高校を出ていないので入学資格はなかったのだが、
特修生制度という規定の単位を取得することで高卒と同等の資格を認める、という制度を利用して、
2023年6月から12月の期間で23単位を取得していたのだ。

僕は幸か不幸か、学歴コンプレックスをほぼ全く感じないで今まで生きてこられた。
そもそもヤンキーしか周りにいないので大卒者の絶対数が少ない。(いたとしても所謂Fラン)
ゾス系とはいえ、スーツを着て働く仕事もできた。
アイドル現場で東大卒の人と話しても会話は成立する。
仕事で早稲田卒の歳上のフリーターを部下に持ったこともあったが、特にお互い偏見もなく気持ちよく接することができた。
年齢も29歳だし家庭もあるので、大卒の冠をつけて再就職、みたいな状況でもない。
今流行りのリスキリングにも興味はない。

そんな僕が、何故今更になって大学へ行くのか。

大学へ行く理由

ひとつは単純に知的好奇心の探究のためだ。
2023年3月か4月頃に僕の会社は資金がショートし、それだけが原因ではないが僕もうつ病で動けなくなった。
SNSも消して社会から自己を隔絶する中で、本だけは気が狂ったように読んでいた。
ビジネス書は辛くて読めなかったので、哲学や思想、学問周りの本が中心になった。
その中で、自分の知的好奇心をもっと引き伸ばしたいし、自分の知性がきちんと正当な学問の中でも通用するのかを試したいという気持ちが湧き、
大学入学を決めたのだ。

僕は身の回りの偏差値40〜50台コミュニティにおいては多分圧倒的に頭が良い。
だけど、それだけでは井の中の蛙だし、
せいぜいキャバクラで自分の経営哲学をひけらかす小金持ちの"自称・地頭がいい"おっさんに成り下がるのが関の山だ。
そんな普通の道を歩んではいけない、という謎の使命感があったし、今もある。
あと普通に働いてないだけだとつらいので何かビジネス以外の活動の軸を見つけたかったという「逃げ」の側面もあった。

なぜ東京通信大学なのか

学費が一番安いっぽいのと、家事育児を引き受けている関係で通信制以外は無理だったから。
あと略すと「東大」にできるから。

実際に特修生で単位取得した感想

余裕。数学が思ってたより面白い。

大学に行ってどうするのか?

未定。4年後のことはわからん。
が、敢えて無理矢理捻り出してみると、
アカデミアへの「不法滞在」を目指したいとはうっすら思っている。

かつて、経済学者成田悠輔氏と哲学者東浩紀氏の対談において、
話題がアカデミアや特定の業界の利害関係に若手が絡め取られていく現象に及んだことがあった。
ある意味で東浩紀はその最たる被害者で、
成田悠輔は博士課程から渡米したことでその被害を最小限に減らしたように見える。

で、その際に成田悠輔が
「最初から(業界と)無関係な人が出てこないといけない」
というようなことを言っていたのが強く印象に残っている。
どういうことか。
彼はとある登壇スピーチにおいて、自らの発言スタイルを外国人に喩え、こう語っている。

僕自身が好き勝手に何かを言えるのも、自分が日本人でありながら、日本の外にも片足突っ込んでいるので、半分日本人ではない。ということが、良くも悪くも好きなことを言える後ろ盾になってしまっているのかなという気がします。

「タブーをタブーと捉えない発言や行動をどう行っていくか」
成田悠輔氏が“言ってはいけないこと”にあえて切り込む理由

このスピーチにおいて「異国性」と彼が表現する性質は、この後に彼自身の手によって揚棄されるのだが、
その他にも彼の発言を追っている筆者としては、「異国性」はかなり有効な打ち手であり、
ある意味で彼のこのような発言は僕のような「異国の人」に向けた挑発である、と捉えた。

挑発されたら乗る、来いと言われたら行くのがヤンキーだ。
ということで、学問的には完全に「異国の人」である僕は成田悠輔の安易なアジテーションに乗せられ、
「アカデミアへの不法滞在」を目指してみることにしたい。

具体的に何ができるかとか、何がしたいかとかはない。
そもそも大学とか大学院がどういうところなのかもよくわかっていない。
大学教授が研究もしているということも最近初めて知った。
ただ、とりあえず目の前の山を登るように、目の前の知的好奇心を探究する、
という生き方もアリだと思う。

細かいことはよくわからないし、後々なんか言われるのも嫌なのでコミットはしない。
4年後普通に大学を辞めてキャバクラで自分の経営哲学をひけらかす小金持ちの"自称・地頭がいい"おっさんになっていたら是非笑い飛ばして頂きたい。

そんな感じで、4月からアラサー大学生(アラ大)です。
宜しくお願い致します。

最後まで読んで頂きありがとうございました。


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