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初めてのペット

最近、文学フリマで買ったエッセイの中に「ハムスターの回し車の音に悩まされた」という話を読んで、以前ハリネズミを飼っていた時のことを思い出した。

ハリネズミを飼い始めたのは大学2年生の頃で、Twitterとかで動画を見て急にハリネズミが飼いたい想いが強くなって、色々調べてからペットのコジマに行った。多分、当時は10000円くらいでハリネズミが売られていた気がする。
今まで魚やカブトムシなどを飼うことはあったが、小動物を飼うのは初めてだったので、ゲージなど色々揃えるのはワクワクしたのを覚えている。

その時、針の色合いを見て気に入った子を迎えることにした。
初めての小動物で名前を色々考えて、すぐには決まらず、「モカ」とか「ココア」見たいな名前にしたいなと考えながら家に帰ると、いつの間にか家族がハリネズミを「チャッピー」と呼んでいて、考えていた候補はなくなり、「チャッピー」に決まった。

ハリネズミは動画で見ると人懐こい子もいるが、うちのチャッピーは全然懐いてくれない子だった。
ただ、餌の時は小屋から出てきてその時は触らせてくれることはあったけど、基本的に「フシュフシュ」鳴きながら、針を立てて丸くなってしまう子だった。
噛まれたこともあった。ちょっと出血するくらいの勢いで噛まれた。

ご飯の時は出てくる


ハリネズミは夜行性なので、基本的に昼間は寝てるけど、夜になると読んだエッセイのハムスターのようにひたすら回し車を回していた。
ほんとに最初は狂ったように、ずっと回し車を回していて、自分の寝つきが悪くなった時期もあった。
飼いたいと言ったのは自分であったが、ちょっと音に耐えられなくなって、暖房や冷房などの温度管理的にもリビングがしやすいと家族に話してリビングにゲージを移動した。

触ろうとするだけで針立てられる

リビングに移動してからも夜中はずっと回し車を回していた。

最初は誰が面倒を見るんだと飼うことを反対していた両親だが、リビングに移動してからは俺より積極的に世話をしていて、いつの間にかゲージから出して部屋を散歩させたりしていた。

ゲージ付属の寝床では小さくなってしまい、父親が会社から塩ビ管を持ってきた


飼い始めて一年以上たったある日、チャッピーの顎が異様に膨らんでいるのに気がついた。
慌てて、病院に連れて行った。
病院で言われたのは「腫瘍ができてしまっている。悪性か良性かは手術して検査しないとわからない」と言われた。
とてもショックだったのを覚えている。いつも通り、回し車を回してご飯も食べていたのに…
手術は死んでしまう可能性もあると言われたが、手術しないと、だんだんご飯が食べれなくなるかもしれないと聞いて手術をすることに決めた。
手術自体は成功して腫瘍も良性で問題なく一安心した。
すぐに元気になり、いつものように回し車を回すまで回復した。

しかし、病気はそれだけで終わらず、子宮にも腫瘍ができてしまい、再び手術をして回復はしたものの、最後にはハリネズミがなってしまう後ろ足が動かなくなっていく病気にもなってしまった。
病院の先生には以前は5.6年が寿命だったが、ハリネズミがブームで遺伝子的に弱い子が多くなってきていると言われた。

だんだん寝てる時間も多くなり、回し車もやらなくなってきた。
ちょうど社会人になり、実家を出てチャッピーも連れて行ったが、回し車の音に悩まされることはないくらい、以前ほど動きがなくなって行った。

最後の方はご飯も食べることが難しくなり、怒って丸くなるといったこともできなくなり、朝起きていつものように様子を見た時には冷たくなってしまっていた。
覚悟はしていたが、初めてのこともあり、かなりショックだった。

ちゃんと業者に火葬してもらい、ずっとお世話になっていた先生に連絡したら、ご冥福のメールとカルテ用に撮った写真を送ってくれて、最後までお世話になった病院だった。
初めて病院に連れていくような生き物を飼ったので、とてもいい病院に出会えてよかったなと思った。

たまたま近所のペットのコジマに行ったら、ハリネズミが売っていて懐かしい気持ちになった。

チャッピー

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