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Lightroomを快適に使えるPCのレシピ

筆者は毎年5~8万枚の写真データを産み出してしまう重度のシャッター中毒患者である。一昨年にOM-D E-M1 Mark2を手に入れてからは更に悪化している。が、今回はカメラ自体の話ではない。

大量の写真データを管理し、その現像処理を行うためにAdobeのLightroom Classicを愛用している。初代の発売日から使っているヘビーユーザーだ。

そんな私がつい先日、5年ぶりにパソコンを新調した。
一般的に言うハイエンドなパソコンだ。
(ここで言う「一般的なハイエンド」とはマニアが言う「普通の性能」であるが、ここでそれを議論するのは避けておこう)

今まで使っていたPCの構成はおおよそこんな感じだ。

CPU:Intel Core i7 4790K
メモリ:16GB
GPU:Geforce GTX 760

もちろんOSはWindows10。OS用のCドライブとLightroomのカタログ類を置くドライブをSSD(SATA 6Gbps)にし、写真データ自体はHDDに保存する形にしていた。

まず、Lightroomの動作を快適にするためには12GB以上のメモリを搭載しろとAdobeさんは言っている。これは2018年2月のアップデートで適用された"バッチ処理の向上"に関する部分で、以下の操作で影響があるらしい。

・[グリッド]表示でのインポート時における読み込みの高速化
・インポートとプレビュー画像生成の高速化
・[ルーペ]表示における画像切り替えの高速化
・[現像]モジュールにおけるレンダリング結果表示の高速化
・HDRマージ、パノラママージ処理の高速化
・エクスポートの高速化

https://blogs.adobe.com/japan/photo-announcing-february-update-lightroom-classic/

日常の操作感で特に影響するのは上の4項目だろう。
メモリを12GBというのは中途半端だし、他の用途も考えると実際には16GBを搭載したパソコンを選ぶのが良いと思う。

次にCPU……ではなく、ストレージの話をしよう。
ストレージというのはハードディスク(以下、HDD)やSSDなど、写真を保存する場所だ。実はこれがLightroomの動作に大きく影響する。

結論から言ってしまうとLightroomカタログをSSDに保存して使うことで大きく体感速度が変わる。写真のデータではなく、LightroomのカタログデータをSSDに保存するのだ。
おそらく、カタログデータ本体よりも保存先に生成されるプレビュー画像などの大量のファイルが影響するのではないかと思う。Lightroomは画像を読み込んだ時などに表示に適したサイズのプレビューデータを生成する。小さな大量のファイルの読み書きはHDDよりSSDの方が圧倒的に速い。
そのため、カタログデータをSSDに保存すると快適になるのである。

もちろん、写真データもSSDに置くことでより高速になるのだが、実際に試してみても思ったより快適さが向上しない。RAWファイルのサイズは一般的に10MB~50MB程度とプレビュー画像ファイルに比べて非常に大きい(プレビュー画像は数百キロバイトだ。その差は100倍にもなる)。
しかし、HDDはある程度の大きさのあるファイルを読み出すのはそれほど苦手ではない。正確にはデータが連続して並んでいるものを読み出すのは比較的得意である。そのため、RAWファイルについてはプレビュー画像よりも差がつきにくいのかもしれない。
そしてLightroomはRAWファイルを毎回読みにいくわけではなく、前述のプレビュー画像を表示していることが比較的多い。

推測の部分も多いが、このような理由もあってLightroomカタログをSSDに置く方が画像自体をSSDに置くよりも動作が快適になるようだ。

そろそろCPUの話をしましょう。
これは今回新しいパソコンを導入したことで改めて比較することが出来ました。

今まで使っていたPCに搭載していたCPUはIntel Core i7 4790Kで、当時としては結構な性能のものだ。4コア/8スレッドのCPUである。そして今回比較対象になるのはAMD Ryzen 3900X、12コア/24スレッドの高性能なCPUだ。
著名なベンチマークテストの結果を参照したところ、この2つのCPUを比較するとコア数が3倍になったのに伴い、全体の性能も3倍程度になる。

さて、3倍の性能のCPUでLightroomの快適度は3倍になるのか。
結論としてはそれほどの変化を感じられない。

実はLightroom、ライブラリモジュールや現像モジュールで何らかの操作をする場合、基本的にはシングルコアの性能を要求するような動きをする。このあたりの話はPCに詳しい人向けなので少々難しいかもしれないが、コアがたくさん詰まっている高価なCPUを買っても操作感は向上しにくく、Core i5などミドルクラスのCPUでもわりと快適だったりする可能性が高い。

操作感の向上には高クロックでシングルコア性能が高いCPUが効く。

では、高価で多コアなCPUはLightroomでは意味がないのか。
Lightroomでその性能を発揮するシーンは読み込み時のプレビュー画像生成と、最後のJPEG出力の時だ。そういったバッチ処理的なことに関してはとても速い。Lightroomはバッチ処理に対してはCPUを上手に使えるようで、JPEG出力の際などにはRyzen3900Xの12コアをしっかりと使い切っていた。出力にかかる時間も1/3近くまで短縮されている。

プレビュー生成やJPEGへの現像処理などでの待ち時間を削減するには、マルチスレッド性能が高いCPUはとても効く。


最後はGPUだ。
GPUは新し目のものならエントリークラスでも構わない。以上。

なんならCPU内蔵タイプのGPUでも十分なぐらいだし、お高いGPUを搭載したからと言って快適になるというものでもない。標準的な性能のGPUであれば大丈夫なようだ。
なお、DirectX12に対応しているのが条件になるようなので、あまりに古いものはNGです。

まとめ。

・メモリは16GB以上
・Lightroomカタログの保存先をSSDにする
・CPUは高クロックのものだと快適
・コアがたくさんなCPUだとJPEG出力が超速い
・GPUは古くなけりゃいい

これが私の経験から得たLightroomを快適に使うためのパソコンの条件である。

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