小匙の書室88 愛蔵版っていいよね
《愛蔵版》っていいですよね。
ずっと好きだった作品が豪華な装丁で再登場し、それが書棚へ収まったときの快感といったらもう。
万感の思いが込み上げてたまらないってものですよ。
※あと私はどちらかというと単行本派なので、それまで文庫でしかなかった作品が単行本になるのは、とても嬉しいイベントなのです。
最近だと、米澤穂信先生による〈古典部シリーズ〉が愛蔵版として発売されまして、
※シリーズ3冊目は3月発売。
学生時代、日常の謎をすべて『氷菓』〈アニメ版〉に捧げ、そこから原作を読みに読みまくった私には垂涎の一冊。
シリーズIにはアニメオリジナル『持つべきものは』が短編として書き下ろされ、投稿版「氷菓」刊行に際して別の謎と差し替えられた『クリスマスは箱の中』も収録。
シリーズIIには創作秘話や、なんと私の大好きな《クドリャフカの順番》の自筆資料が掲載せれているのです!!
特別な価格で特別に蘇るからこそ成せることでしょう。もっともっとクドリャフカが好きになりました。
ちなみにシリーズ3には最新短編の『虎と蟹、あるいは折木奉太郎の殺人』(『米澤穂信と古典部』収録)、『三つの秘密、あるいは星ヶ谷杯準備滞ってるんだけど何かあったの会議』(『小説 野生時代 vol.224』収録)が掲載されています。読めるのが今から楽しみですね〜。
で、このシリーズIIにみられる自筆資料といった付録のついた愛蔵版は他にもあって、
綾辻行人先生の『十角館の殺人 限定愛蔵版』には「私の『十角館』」として豪華執筆陣によるエッセイが別冊として併録されています。
メンバーは⇩こちら⇩。
ものっすごい豪華……。
3月には実写化がHuluで配信されますから、それに合わせて再読しようかなと考えています。
ちなみに、
『暗黒館の殺人 限定愛蔵版』もあって……現在購入が不可能である故、いずれ復刻版が出ないかなと願っています。
まあ、商品のサイズがレンガ並みに厚いので本棚を圧迫してしまうのでしょうが……。
あ、そうそう。
レンガ並み、といえば。
京極夏彦先生による〈百鬼夜行シリーズ〉も、一部が愛蔵版として刊行されています。
記憶に新しいのは『絡新婦の理』ですね。また最新作である『鵼の碑』がノベルスと単行本で刊行され、書店でそのレンガぶりを眺めては購入するかどうか悩みました。
さて、ここまでミステリの愛蔵版を語ってきましたが、もちろん文藝作品にもそれはあります。
その中でも私が一番嬉しかったのが、
小坂流加先生『余命10年 memorial edition』です。
2022年に実写映画化され大きな感動を読んだ本作。
私はそれよりも以前に文庫本で読んで、「映像化されたらいいな」と思っていただけに、めちゃくちゃ嬉しいお知らせだったのですが、それに止まらず愛蔵版として単行本が刊行されるとも知って、これ以上ないくらいに舞い上がっていました。
『memorial edition』は『余命10年』が単行本として刊行された当初のデザインを受け継いでおり、愛蔵版として完璧といえるのです。
本棚に並んだ背表紙を眺めては口許を綻ばせています。
そして、映画化に合わせて愛蔵版となった作品は他にもありまして。
昨年映画化された、汐見夏衛先生『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』もそうなのです。
こちらもまた文庫で読んで号泣して……という思い入れのある作品。
映画は未鑑賞ですが、福山雅治さんの『想望』はいっとき何度もリピートして聴いていました。
単行本には後日談が書き下ろされており、こうした、本編のその先を読めるというのはファンとしては嬉しくなりますよね。
また、同じくスターツ出版からは、
小鳥居ほたる先生『記憶喪失の君と、君だけを忘れてしまった僕。』も単行本化されています。
こちらは読書を趣味にし始めて間もない頃に読んだ作品で、「あの頃は感動できる小説を探していたなあ……」という懐かしさが込み上げてきます。
『記憶喪失の君と〜』はシリーズ化されており、2、3と続いています。
好きな作品であれば、ちょっとくらい価格が高くても買いたくなる。
なにせお宝ですからね。
だから、
「あの作品が愛蔵版として発売されないかなあ……」
と思うこともあるのです。
すっかり読書の趣味が“読む”だけでなく、“所有する”流れも私の中に出来上がってきています。
ここまでお読みくださりありがとうございました📚
皆様は愛蔵版をどう思いますか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?