小匙の書室43 復刊
復刊、って響きはいいですよね。
あの作品を読みたい!
と思っていたのにいざ買おうとしたら絶版で、泣く泣く古本屋を巡るかオンラインで購入するしかない……。
あまつさえ、入手困難ゆえに高額になっている作品も大量にあります。
欲しい。欲しいけど、買えない。買えないということが悔しくて、さらに欲しくなる。その繰り返し。負のループです。
ところが!!
復刊となれば──なんということでしょう✨
定価で購入できるようになるどころか、復刊によってその作品を知った人の手にも渡り、時を超えて新たに作品が広まっていくのです。
さて今回ご紹介する作品について、ミステリ界隈の方がこの記事をご覧になっているのなら、察しているかもしれません。
はい、そうです。
飛鳥部勝則先生による、『ゴシック復興三部作』のことです‼️
こちらの復刊企画で購入し、そして先日、私の元に届きました!
実は堕天使拷問刑は復刊が発表されるより以前にSNSのタイムラインで知っていて、読んでみたいなあと思っていただけに、この企画の発表には瞠目していました。
それまで飛鳥部先生の作品は市場に流通していることが少なく、堕天使拷問刑にいたっては、古本価格で三万円を超えるほどのプレミアが付いていたのです(ヒョエー)。
しかししかし今回!
それを定価で買えてしまうのですから、復刊に携わった芳林堂書店様と書泉書店様には感謝感謝です。
年が明けたら読んでいきます──。
以下、各作品を簡単にご紹介。
気になったら、一緒に最初の一歩を踏み出してみませんか。
堕天使拷問刑
まずこの表紙はどんなことを表しているのだろうって、気になりますよね。私が最初に『堕天使』が気になったのも、それが理由でした。
上部にある月、セーラー服の少女、その指先から滴る血液(?)。あらすじを読むとパッと浮かぶのは「かぐや姫」ですが、さあそれは果たして当たりか外れか。
どちらにせよ、『本格ホラーミステリ』は私のミステリ好きとしての読欲を掻き立ててくれます。
ページを捲れば二段組み!!
いや〜濃厚な体験ができそうだ。
黒と愛
まずこの表紙のインパクトが強い!!
夜中に出会したくない装画ランキングに入りそうですね。それでもって帯にもあらすじにもある『あなたは、鋏が好きですか』は背筋を冷たい手で撫でるよう……。
ゴシック、という雰囲気がこの中で最も感じられます。
ここにもまた怪しげ/妖しげな少女『黒』が現れており、いやはやひたひたと暗闇を歩むような気配を感じます。
こちらも二段組み。
奇傾城、というのも気になりますねえ。
鏡陥穽
「70点ならいらない、100点の長編ホラーを」
という依頼を元に書かれた本作。
普段あまりホラーを読むことがなく、またホラー小説で思いっきりゾクゾクした作品は指折り数える程度しか出逢えておらず、それゆえに期待が高まっています。
鏡って、いっちばん怖いじゃないですか。
私が初めて幽霊を恐れるようになったのも鏡が原因なので、どんな物語に足を踏み入れてしまうのだろうとドキドキしています。
こちらもまたまた二段組み。
※ちなみに一度ページを捲ってみたのですが、鏡の不気味さがすぐに迫ってきてました。
ここまで飛鳥部先生の復興三部作についてお話ししてきましたが、「じゃあ、著者のデビュー作はどんな風なのだろう……」と思った私。
調べた結果、『殉教カテリナ車輪』で第9回鮎川哲也賞を受賞されていると知りました。
気になる……が、これもまた流通していない!
と思った矢先!!!
『殉教カテリナ車輪』も復刊!!!
熱い、熱すぎます。
しかも文庫本での発売ですから、より広く読者の元へ届けられるってことじゃあないですか。
そしてこれは本作のコンセプトを読んで初めて知ったのですが、飛鳥部先生は自身で絵もお描きになるんですね。『殉教カテリナ車輪』では飛鳥部先生の描いた絵を元にしたミステリが綴られており、つまり、絵と文で一つの作品ということになるのです!
デビュー当時に既にそのような作品が世に生み落とされていたとは。
これは今から楽しみですね。
復刊とは素晴らしいものです。
今回は飛鳥部先生のいわばお祭り状態が発生していましたが、まだまだ復刊を望む作品は私の中にあります。
出版社の皆様、どうかSNSなんかで復刊を望まれている作品がないか、探していただきたいです。
ここまでお読みくださりありがとうございました。
皆さんも、復刊を望む作品はありますか📚
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?