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「冤罪もの」からの逃亡者として生きてきた

子どもの頃から「濡れ衣を着せられる」というストーリーがとにかく苦手だ。

毎週観ていたドラえもんでも、のび太が身に覚えのないことで責められるようなシチュエーションがあると心臓がドキドキして直視できなかった。
サザエさんなんて、かなりの頻度でカツオが証拠もなく犯人扱いをされるのでもう恐ろしかった。

そういう時はテレビを観ているフリをしつつ目を半開きにし、耳をさりげなくモミモミすることで視覚と聴覚を遮って乗り切るのがお約束だった。
(なぜかテレビを消したら負けだと思っていた)

よく読んでいた金田一少年の事件簿でも、『金田一少年の殺人』(金田一が殺人事件の犯人として捕まり、逃走しながら真犯人を推理するストーリー)だけはすごい速さでページをめくって事なきを得た。

大人になったら克服できるのかな、と思ったけど全然ダメ。
むしろ年々苦手になっている。


冤罪や濡れ衣とまではいかなくとも、本人は特に悪くないのに周りから責められる、というシチュエーションって割とありがちだ。

その手のシーンを回避したいがあまり、私はドラマや映画をあまり観なくなってしまった。
いつそういう場面が出てくるかと思うと油断ならず、全然楽しめないからだ。

もし、冤罪ものとして有名である「それでもボクはやってない」や「ゴールデンスランバー」などを観たりした日には、目を半開きにしすぎてコンタクトがずれ、耳を揉みすぎて鼓膜がおかしくなるかもしれない。

そのためドラマを観たい時は、例えば「孤独のグルメ」あたりのなるべく何も起きなそうなものを選ぶようにしている。

ネット上ではよく「共感性羞恥」という言葉が使われる。
あまりカジュアルにその手の自己診断はしたくないのだが、まぁきっとそれに該当するのだろうと思う。
しかし私の場合、いたたまれない•心が痛いという症状は「冤罪•濡れ衣」にのみ発動する。

冒頭で述べたドラえもんでものび太の自業自得で怒られたり恥をかいている場合は何とも思わないし、サザエさんでもカツオがガチで犯人だったときは波平に詰められるのもやむなしだ。

う〜ん…
この気もちはなんだろう この気もちはなんだろう〜 (春に(独唱))

本当に、この気もちはなんだろう。何でこんなに苦手なんだろう。
同じような仲間はいるだろうか。いたらぜひ教えてほしいところだ。

(ガチで全くの余談ですが、「この気もちはなんだろう」というコントをしているザ•マミィの酒井さん(帽子の方)、どすこいこと山口俊投手(巨人)に似ていますね。彼が出演しているテレビを見て「あれ?どすこいテレビ出てる!」と数回は勘違いしました。)


未だに自分の心理はよくわからないが、多分私はこれからもきっと「冤罪もの」から逃げ続ける。 
そう、逃亡者なのだ。

↑ちなみに映画「逃亡者」は冤罪ものの代表作である。(オチ)

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