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いろんな介護施設を紹介しています

本日は、「養護老人ホーム」を紹介します。

養護老人ホームが「特別」になると、特別養護老人ホーム(特養)??ってなってしまうため、少しわかりにくい施設です。

古くは関係している施設ですが、今では利用目的・方法が全く違いますので、
特別+養護老人ホーム=特養は、一旦忘れましょう。

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1)歴史

養護老人ホームは、
公的緊急収容施設 ⇒ 救護施設 ⇒ 
保護施設、⇒ 養老施設 ⇒ 
養護老人ホームへ呼び名が変わってきました。

その時代、時代で、福祉に関する法律が整備され、それに合わせて施設も変化してきた
歴史があります。

大切なのは呼び名ではなく、そのベースにある考え方で、「生活が困窮している高齢者を保護する」という社会福祉の理念が根底にあります。

2)措置入所=行政権限として行政が決める

養護老人ホームに入居するためには、はじめに「市区町村の審査」をうけなければいけません。
市区町村が調査した上で、市町村が必要性を判断して、入居の可否が決まる流れになっています。

介護保険の理念である「自己選択と自己決定」が及ばないことが他の施設との大きな
違いになります。
ここはとても特徴的です。

3)措置(そち)から契約へ

この「措置から契約へ」は、とても重要な
変更なので紹介します。

2000年に介護保険制度がスタートしました。
この制度から、利用者(本人)がサービス
提供事業者と「契約」して、自分で選択・
決定できるようになったんです。

「えっ!?今ごろ?」って思いますよね。
でもこれまでは行政が決める「措置」だったんです。
それが日本の福祉の姿だったんです。

養護老人ホームは、その名残が残っている
数少ない施設なんですね。
(措置に関する条文は、老人福祉法に規定されています)

第十一条
市町村は、必要に応じて、次の措置を採らなければならない。
六十五歳以上の者であつて、環境上の理由及び経済的理由(政令で定めるものに限る。) により居宅において養護を受けることが困難なものを当該市町村の設置する養護老人ホームに入所させ、又は当該市町村以外の者の設置する養護老人ホームに入所を委託すること

老人福祉法 第11条

4)社会復帰(自立)を目指す施設

身体的・精神的・環境的・経済的、さまざまな理由で、自宅で生活することができない
高齢者を受け入れて、「社会復帰」を目指す入所施設なんです。

そのため、終の棲家として長期間の入所は
原則できません。
これは、リハビリして「自宅復帰」を目指す老健に似ていますね。

5)介護施設ではない

困窮している高齢者を受け入れる場所で、
介護に困っている高齢者を受け入れる場所ではありません。

ここには、介護士ではなく「支援員」が働いています。

食事、健康管理、相談などのサービスはありますが、基本的には、食事介助、排泄介助、入浴介助などの介護サービスを受けられません。

特別養護老人ホームには介護士が働いていますので、「介護」という面で、この2つの
施設は違う役割なのが分かりますね。

注)2015年に介護保険法の改正
養護老人ホームでも「外部の介護事業者」が提供する介護サービスは利用できるようになりました


6)費用

月額0~15万円くらい。
困窮している高齢者が対象ですので、補助・助成があり、費用は負担できる範囲になっていることが多いです。

費用が払えないから退所になる民間の施設とは違いますね。

7)まとめ

養護老人ホームは、「高齢者の最後の砦」と言われています。
孤立してホームレスにならないように、この場所でしっかり支えて、再び社会へ戻すことが、この施設の役割です。

そのため、介護を受けたいからという理由で入所はできません。
そして、自分で施設へ申し込みをするのではなく、居住する市町村の老人福祉課などに
相談した上で、行政が決めるという「措置」となっています。

「家族で介護できないから、施設を検討しようかと・・・」の場合には、
今日紹介した養護老人ホームではなく、
「特別」養護老人ホームに申し込むことになります。

市町村のホームページを見ると、条件がしっかり記載されています。



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