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組織風土改革日報№.15_2022年は新たな出会いと共に

①前回のあらすじ

2021年4月から自律分散型組織の企画運営リーダーとしてアサインされた私(キタ)。
第18回の国家試験を経て、晴れてキャリアコンサルタント資格保有者となった事で、部内へのキャリア支援機能を保有するというミッションが、一気に現実化する事となった。
さあ、これから存分に、悩めるサラリーマンのバックアップやりますよ!と意気込んだ瞬間、林さんから異動のお達しが。。。

~登場人物~
鳥山さん:キタの上司(部長)
林さん:キタの上司(課長)
山下さん:キタの同僚
辰巳さん:他拠点の女性マネージャー(プロコーチ)
本田さん:本社人材開発部のコーチング講師


②2021年は情動と共に

林さんからの衝撃の発言から間もなく、鳥山部長から招集メールがあった。
部長からの会議招集連絡。
規模の大きい組織において、肩書として一般社員である私からすると、ほぼ初めての経験だった。

定刻より少し前に、山下さんと共に、指定された会議室のドアを開けると、鳥山部長がHDMIのコードを右手に持ち上げ、ノートPCをプロジェクタと接続している所であった。

首だけをコチラ側に捩じり、ややお馴染み化したジョークを交え、言う。
『お、きたね。キタ君。座って下さい。』

日頃部長と呼ばれる、その立場上偉いおじさんに促され、大きくコノ字型に配置された会議室のデスクを、鳥山さんと概ね向かい合う様に着席した。

改めて鳥山さんを伺う。
白髪で、耳にかからない程度のショートヘア。少し下には、立派過ぎない眉毛を経て、やや尻の下がった、優しそうな印象を持つ目が特徴的だ。右手にはHDMIコード。
何だか、いつもは目立たないが、夜になると鞭を振り回す、変わった性癖のおじさんを彷彿とさせる。
もちろん、これは私の妄想である。

HDMIコードをモソモソと、漸くPCに接続すると、鳥山さんがエクセルに落とし込んだアイデアが、プロジェクタを通じて、壁面いっぱいに投影された。

『1月から、キタ君や山下君を初め、スペシャリスト達を、部の直下にあたる組織に配置したいんですよ。』

「えぇ、異動の話は林さんからお聴きしています。」

『だよね。チョットだけその意図を伝えますね。』

そう言って、30分程ジックリとお話し頂いた。
チョットという文脈は人によって実に様々である。

鳥山さんの意図としては、
さらにSDGsを活性化させる取り組みの、付加価値を高める。という狙いがある様に感じた。

その背景として、
・現在スペシャリストが、便宜上既存組織に配置されている事で、職務内容にそぐわない、業務管理方法が一部適用されている。
(動き辛さの解消)
・スペシャリスト達の交流を通じて、さらに価値高い業務に取り組める様にする。
(クリエイティビティ)
こういった物事に対しての計らいであろう。

私と山下さんには、組織風土変革の役割を担う中で、従業員の働き甲斐と効果性を高めてほしい、といった想いを感じた。

「なるほど。お話、伝わりました。一つ気になっている事を伺いたいのですが、宜しいでしょうか?」

『はいはい、何でしょう?』

「我々の職務は、基本変わらないという理解で宜しいでしょうか?」

『うーん。。。』

ん?何かありそうだな?
と感じていると、思わぬ言葉が返ってきた。

『さらにキタ君がパフォーマンスを発揮する為に、必要な肩書はありますか?』

おぉ。。。
現在の肩書は、自律分散型組織の事務局である。
ただし、本当にやりたい事は、従業員のキャリア支援。
チャンスかもしれない。。。

「はい。私はキャリアコンサルタントという国家資格を保有するに至りました。従業員の健康と情熱を、個別具体的にバックアップしていきたいと考えていますので、キャリア支援という役割が明文化されると、色々と企画の打ち出しやすさはあるかと思います。」

『いいですねぇ。それいきましょうよ。』

えーーー!いいの!?
意外にも、アレコレと怪訝に、何やるかを聴取される事もなく、二つ返事承認された。

『人事課にもいるよね。下井さん。話した事ある?』

「はい。林さんから伺いまして、下井さんと接続は完了しております。キャリア支援窓口の設立も、電子掲示板にて、従業員の皆様に案内は完了しております。」

『話が早いねぇ。私は従業員がお互いに尊敬しあって、働ける職場にしたいんですよ。私のイメージと合致してるよね。キャリア支援。いいねぇ。』

そこから、鳥山さんの感覚でいう、チョットの時間、アドラーの個人心理学で盛り上がる。
鳥山さんも私と同じ、一定アドリストのマインドが備わっていた。
・お互いが尊重し合い、感謝であふれる組織を求める。
・人それぞれに、自分の求める社会貢献の形があり、働く動機がある。
・従業員全員に、社会で活躍できる教育を。

原因論ではなく、目的論を基軸に、なんとまぁ、人間味に溢れた理想郷なのだろう。
彼の脳内では、既に会社は、個人が活躍するプラットフォームなのだ。

終了時刻まで、ざっくばらんにお互いの想いを語りあい、最後に私はこの理想郷を目指すリーダーに、正直に想いを告げた。

「鳥山さんのアイデアは、私の信念と大きく一致しています。心からお支えしたいと、今感じています。」

『有難い言葉だねぇ。宜しくお願いします。』

そう言って、会議はお開きとなった。
山下さんも、色々と感じる事はあったようだ。暫く2人で、沸き立つ感情を含め、新組織でのやりたい事などを話し合いながら、まずはしっかりとコーチングの普及を進めていく事を確認し合った。

そうやって2021年は、その情動と共に幕を閉じていった。

③2022年は新たな出会いと共に

娘のつかまり立ちに、連日の大歓喜と共に過ごした年末年始を経て、新たな部署へ異動が完了した、2022年1月。

とはいえ、座席や職務に大きな変化もなく、ただただ社内への私の書面上の肩書の変更が、改めて全従業員に通達された。

・キタ 製造部生産技術課〇係 → 製造部企画管理係
課という組織体制から離れ、少しだけ階層のフラット化に成功👍。

私の上司となる係長は、、、

林さんだった。

『これまでの課ももちろん見るんやけどな。この係も兼任する事にしたわ。』

「異動なんて大袈裟に言うから~。いや、でも、また一緒に働けて嬉しいですよ。」

『驚かすつもりはあったんやけどな。宜しくなぁ。前にも増して、暴れてくれたらえぇよ。』

相変わらず軽い。これが林というおじさんの、最大の魅力だと私は感じた。

なお、新たな組織は私を含め6名。
・安全衛生
・環境変動対応
・従業員教育
・現場改善
それぞれ1人づつ、特化型職務メンバーが在籍する、この組織。

私は『自律分散型組織事務局』『組織風土変革』『キャリア支援』という肩書が付与された。

山下さんは『自律分散型組織事務局』『組織風土変革』『コロナ対応』
引き続き私とペアだが、後ろの文脈は分かれた。

期中異動の為、活動内容は期首に取ったテーマを遂行するのみであり、本来的な変化は、2022年の4月から反映されるあろう。

新年早々から、コーチング講座や、最近立ち上げたSDGsワークショップといった、企画系の取り組み勤しんだ。

そんな中、1月の終わり頃に、同県内の同系列拠点(車で20分ほどの距離)で活動される、女性係長の方から1通のメールが届く。
辰巳とある。初めて拝見する苗字であった。

というか、女性で係長の方、居たんだ。。。
うちの部は一人も居ないけど。。。すげぇな。。。と思ったり。

まずはメールを読んでみよう。

『初めまして。辰巳と申します。キタさんは社内でコーチング講習を開催されていると、本社人材開発部の本田さんからお聞きし、連絡させて頂きました。私の拠点でも、コーチングを活用できないか思案中です。一度お話させて頂けませんか?』

辰巳さん。初めましてペコリと、メールに挨拶をする。
(余談だが、この電話やメールにペコリとしてしまう所作は、20代の頃、アパレル販売を経験して以降、ずっと抜けない癖なのである。)

「キタと申します。本田さんからのご紹介ですね!是非お話しましょう!因みにコーチングのご経験は如何でしょう?」

暫くして返信があった。
『スクールを修了しています。』

おぉ。

つまり、、、

プロコーチや!!

ついに出会った。
欲しくて欲しくてたまらなかった、近場に居る対人支援のプロ!!

逃がすまい!と、慌てて打ち合わせをセッティングする私は差し詰め、家族のから揚げをせしめようと必死になる、末っ子の様だった。


日報№.16へ、無事続く。

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