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組織風土改革日報№.6_嗤うユングとコーチング

①前回のあらすじ

2021年4月から自律分散型組織の企画運営リーダーとしてアサインされた私(キタ/北)
怒涛の如く書き上げた自律分散型組織についての資料を手に、部内の管理職へ説明したところ、製造課長から『ムリだと思う。』の一言。
本当にそうなのだろうか。
確かめるべく現場マネジャーやプレイヤーとのセッションを重ね、製造現場は関門型組織(造語)となっている事が見えてきた。
この気付きは大きいぞ。
さて、この事実をどう共感に変えていこうか。

~登場人物~
キタ(北):私
林さん:私の上司(課長)
山下さん:同チームメンバー

②嗤うユング

さぁ、前回の気付きを、どの様な形でまとめようか。

と考える最中の4月中頃、私は一時期職場から離脱していた。
胆石症の手術のため、主戦場を、製造現場から病院に変えていたのである。

3~4年ほど前から、脂っこいものを食べた後に、「いい歳こいて食い過ぎや!代償はでかいで!どや!!どやーー!」と言わんばかりに、右脇辺りがズキーー⚡ズキーー⚡

洒落にならない差し込み痛に、時折襲われる体になっていた。

最近は一週間に一回のペースで、発作が起きる様になってしまっていたので、もーあかん!!と決心し、手術に踏み切った。

腹腔鏡下胆のう摘出術。

なんだか文字にすると大袈裟な感じはするが、鳩尾(みぞおち)と脇に0.5㎜、へそに2㎜程の切れ目を入れ胆嚢を切除する。との事だった。

ゴードンという名前の、やせ型で可愛いおじいちゃん。そんな感覚。

半日で帰れる。なんて情報もあったが、入院は1週間ほどを提案された。

書くと長くなるので割愛するが、手術は無事成功し、4月後半に退院。私は見事に差し込み痛を克服した。
(副作用として若干お腹は緩くなったが、それはまぁいい。なにせ元々緩いのだ。)

とにかく、

生きてて良かった

術後の痛みはソコソコ堪えた。痛くない、なんて前評判を呪った。

術後間もない夜中に一人、病院のベッドでもんどりうっていたその時、私の頭の中で、カール・ユングが、嗤いながら語り掛けてきた。

いいかキタ!これが『ミッドライフ・クライシス』やで!ヌハハハハー!

キャリコンの養成講座で学んだ、今頭の中で嗤っている方じゃない、ちゃんとした彼(ユング)が言うには、人生の中頃、30代後半~50代辺りは、以下の様な経験を迎え、自己性が揺らぎやすくなり、人生への問い直しが起こりやすい状態になるとの事。

・体や記憶の衰え。
・体調の変化。
・近しい存在の生や死。
・周囲の変化への焦り。
・これまでの人生で、得てきたものの定着化への焦り。
etc・・・

悔しいが、見事に私も当てはまった。
私の頭の中で高笑いをしているチョビヒゲのおっさんに、舌打ちをして返した。

薬を飲んで、少し痛みから解放された頃、私はふつふつと内省を始めた。

且つて彼が、師のフロイトと袂を分かった様に、
私も若々しく活動的で、高慢だった自分と、訣別する時なのかもしれない。

『何かを後進に伝えていく時期。。。なのか。』

これはアイデアだった。
衰えは、死に向かっているという実感だけでなく、今ここにいる私への、熟成された新品のアイデアも、もたらした。

頭の中で、私が勝手に意地悪く創り上げた嗤うユングが、
『つまらんのぅ・・・』と言ってスゥッと消え去った。

ユングはとても素晴らしい人物だと思う。
意地悪の象徴として現れたのは、恐らく、ミッドライフ・クライシスという現象を、私は人生にとって意地悪なものと捉えていたのだろう。

本質は、そこまで悪いものではない。

さて、自分には何があるだろう。


③本当にタイミング良いですね。

「おかえりー。大変やったね。」

久振りに出社すると、林さんが、あっけらかんと出迎えてくれた。

「ご迷惑をお掛けしました。暫く通院とかで何日か休みますが。。。」
『はいはい。いっぱい休んでください。』

私が失った臓器1個分の重さよりも、はるかに軽いフットワークだ。

『ところでキタくん。』
「はい。何でしょう??」
『ちょっと相談あんねんけど。』

何だろう。

『キタくんはコーチングの資格持ってんの?』
「民間資格持ってますよ。」
『そうかぁ。キャリコンサルタントって国家資格やんなぁ。面談に使えんの?』
「ゴリッゴリに使えますね。面談の為の資格だと思って頂ければ。」
『あぁそうかぁ。コーチング講習やってよ。うちの部門で。』

はいーーー!!それ私も考えてましたーーーー!!!

『何ニヤニヤしてんの?』
「なんでもないです。本当にタイミング良いですね。」
『?そうなん? まぁちょっと検討してみて下さい。宜しく~。』

是非もない。

先日意地悪ユングに嗤われながら、もんどりうっている中、考えていた事。

私は後進に何を伝えていけるか。

まさに、コーチングやキャリアカウンセリングのノウハウなんじゃないか?と考えていたのだ。

林さんからすると、組織マネジャーとして、部下が掲げた今期目標に、場の提供を案じてくれたのかもしれない。

コーチング講師として、生きてみるか✨

そして、コーチング講習の企画書を作成し始めた。
色んな組織へ展開して頂けるように、私はコーチングに多くの意味付けをした。

・組織風土変革の推進
・自律分散型組織の導入
・対話による創造性向上
・ハラスメント防止
・エンゲージメント
・1on1の効果性を高める。

いくらでも出てきた。

そして、本音が美しくて痛い事を、皆さんにも知ってもらう機会として有用性がある事も、感じていた。

コーチングをキーワードに、今の職務や私の存在価値が、吸い寄せられて重合化していく感じが、気持ちよかった。

この時の私は、山下さん曰わく、手が8本あるんじゃないか?というくらい資料作りが早かったそうだ。

日報⑦へ続く

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