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義姉んちは井戸端

 毎年お正月に、隣県の義姉の家に年始のご挨拶にでかける。っていうか、宴会をしに。定番の料理を持参する。義姉の子どもたちが孫を連れて集まるのだが、そこに参加させてもらう。
 とっても楽しい。

 義姉の子どもたちは、長男・長女・次男の三人。
あるとき、次男が結婚を決めた。どんな相手か、義姉夫妻が本人と会ったが、細かい情報はなかった。その年のお正月は、次男は不在だった。

 女たちの詮索が始まった。女たちとは、義姉、長男の妻、長女、そして私。義姉家のリビングは間違いなく井戸端である。
「彼女(次男の婚約者)は珍しい姓だよね、お嬢さまかな」
「そうだよね、伝統のありそうな…」
「なんかその地区の名士っぽいね」
ネット検索が入る。
「おお、バス会社の経営だって~」
「え~すごい、庄屋さんとかかと思った」
姓しかわからないのに、仕事までわかるか?  (笑)
「それにしても彼女、院卒で企業弁護士…賢いね~」
「次男、よくつかまえたね」
「食いっぱぐれなさそう」
「大丈夫かなあ、ひもになったりして…」
(笑)
「きょうだいいるのかなあ」
長女、次男にLINEして調査。
「真ん中だそうだよ」
「だんごの真ん中かあ、奔放に育ったのかな、わがままかな」
「次男が積極的だったんだよね、まちがいなく尻に敷かれるね~」
以下省略。延々と話は続いた。
 話に参加していたはずの長男、長女の夫、だんだん目が点になり、ついて行けずに離脱。
 聞いていただけの私の夫がぼそり「女のウワサ話はコワい」

 それから6~7年……今や、お正月の宴会に、夫の言うコワい人が一人増えたことを、私は知っている。


 

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