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🟧障害者総合福祉推進事業🟧情報公表未報告減算への対応❗️障害福祉サービス事業者の財務状況の把握に関する調査研究 R6/5/8投稿

https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2024/04/koukai_240426_03.pdf


令和5年度障害者総合福祉推進事業「障害福祉サービス事業者の財務状況の把握に関する調査研究」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)の報告書が公開されています。


令和6年度報酬改定により情報公表未報告減算が新設されました。

公表が義務付けられている範囲には、事業所等の財務状況(財務諸表等による直近年度の決算資料)、つまり、

・事業活動計算書(損益計算書)

・資金収支計算書(キャッシュフロー計算書)

・貸借対照表(バランスシート)

就労支援事業ではさらに、

・事業活動計算書

・就労支援事業別事業活動明細書

が含まれています。


とは言え、半数超の事業所がまだ公開できていない状況です。

これまでの研究により


●「障害福祉サービス等情報公表システム」においては、財務諸表など経営実態情報の登録のしくみはあるものの、登録割合は低い状況であり、また、サービス単位の情報の登録はほとんどないことから、登録情報のみからサービス単位で実態把握を行うことは難しい。

●障害福祉サービス等の複数サービスを実施している事業者が多いが、アンケート調査によれば、事業者内の会計においてサービス単位で収支データを把握することが難しいという事業者も多い。

●障害福祉サービス等事業は公営(直営)も多いが、普通会計で処理されている場合が多く、サービス単位での収支データ把握は難しい。

●アンケート調査によれば、何らかの区分会計を行っている事業者では、人件費などの費用は会計区分間に配分されているが、費用の配分方法は事業者によってさまざまである。また、繰入金処理など区分会計間の収支調整も、事業者によって考え方が異なっている。

●障害福祉サービス等を実施する事業者の法人種別は多様であり、準拠する会計基準もさまざまである。

各会計基準とも特色があり、個々の科目のみならず、構造の面も異なっていることから、収支情報等の把握にあたっては、会計基準の違い等もふまえつつ、適切な様式を検討する必要がある。

●収益・費用の報告を事業者に求めるにあたり、法人単位の会計で会計データをあまり細かく仕訳していない場合、特に経費項目で負担が大きい事業者も少なくない。こうした負担も想定したうえで、報告様式、支援ツール等を用意する必要がある。

●法人単位、事業所単位の収支から、サービス単位の収支を抽出するには、按分計算のための指標が必要となる。職員数、利用者数、建物面積等が按分指標となるが、これらの指標データについても適切に把握する必要がある。

●収支情報や按分指標の情報については、事業者によっては回答にさまざまな計算や、元データの集計等が必要になる場合があり、回答負担も大きくなる。また、情報の整合性(合計値の一致等)を確保することも難しくなる場合がある。こうした負担を軽減することが必要である。


と様々な課題が見えてきています。

実際、自治体直営事業所でも難しいのいう意見もあったようです。


そして今回の調査報告では次のように『データベース構築に関する考察及び方向性』が整理されました。


①財務・経営情報データベースが扱う登録の範囲について

☑財務・経営情報データベースへの情報登録を求める対象は、すべての障害福祉サービス等事業者(障害福祉サービス等事業を実施する事業者)とする。

☑小規模事業者(障害福祉サービス等事業の給付額が少額の事業者)も原則対象とする。

☑障害福祉サービス等事業を直営で実施している地方自治体も原則対象とする。

☑財務・経営情報データベースへの情報登録を求める範囲は、事業者全体の損益データおよび事業者が実施する障害福祉サービス等事業の個々の「サービス単位」の損益データ(事業所ごとに、他の事業の会計と区分されたデータ)とする。

☑「サービス単位」の登録が困難な場合は、例外的に事業者全体のデータのみでも可とする。

就労支援事業の情報登録は不要とする。

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(所感)基本は全事業所単位で登録が必要ということですが、例外的な取り扱いをする場合の要件が気になりますね。

就労支援事業の情報登録がないのは助かる事業所も多いかもしれません(A型はスコアである程度公開してますし)。


②財務・経営情報データベースの情報登録サイクルについて

☑財務・経営情報データベースへの情報登録は、各事業者が年1回、それぞれの決算期間終了後4か月以内に実施する。(年間の特定時期での一律登録ではなく、事業者の決算期間に応じた随時登録)

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(所感)ワムネットへの登録は5/1~7/末なので、それとは別に期限が設けられるということで、申請漏れがでないように注意が必要です。


③財務・経営情報データベースの登録情報について

☑財務・経営情報データベースへの情報登録にあたり、事業を実施する法人種別をふまえた4つの登録フレーム(社会福祉法人会計基準 、 病院会計準則 、NPO法人会計基準、企業会計等を想定した汎用的なフレーム )を用意し、各事業者がそれぞれ適切なフレームで情報登録を行う。

☑財務・経営情報データベースへの貸借対照表情報(法人単位)の登録を想定する。

☑財務・経営情報データベースへの給与情報の登録を想定する(職種別の給与と人数の情報)。

給与情報の登録は法人単位で行う。事業者の全職員について職種別にまとめた給与と人数の情報を登録するものとし、職員給与に関する個別情報の登録は求めない。

☑損益データの按分処理に用いる情報に関し、財務・経営情報データベースへの登録は求めないものとし、必要な情報はシステム側で収集する。

☑費用データは税込方式/税抜方式のいずれも登録可とし、どちらの方式を採用しているかをチェックする項目を設ける。


(所感)兼務する職員が多い場合、事務負担が大きいので給与情報が法人単位というのは良いと思います。ただし、原則は事業所単位ということのようではあります。役員や本部会計なんかの取り扱いもどうするか決めないと混乱の原因になりそう。

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④財務・経営情報データベースの情報開示について

☑財務・経営情報データベースに登録された情報の開示は、属性等により集計した分析結果のデータのみを対象とする(個別の事業者の財務・経営情報は非公表)。

☑財務・経営情報データベースの運用面で、研究など公共性の高い用途における個別データの開示制度について検討を行う。

☑開示する情報については、個々の情報の適正性や、構成が全体として十分かつ適切かどうか等に関し、定期的な確認・見直しを行う。


(所感)障がい福祉サービス以外の複数事業を運営しているなどした場合、かなり拒否反応がありそうだったので、これは「やらない、できない」理由つぶしという観点では有効だと思います。


⑤既存のシステム・データベースとの連携について

☑財務・経営情報データベースの運用にあたり、既存のシステム・データベースとの連携として、「障害福祉サービスデータベース」の給付費支払情報等のデータ連携を想定する。

☑事業者負担の軽減や、情報の効果的な活用に向けた基盤強化に向け、関連するシステム・データベース間での情報連携を積極的に進めていくことが望まれる。


(所感)行政データは、2023年から障害福祉サービスデータベースへの移行が始まっているとのことで、そことの連携ということのようです。これらの情報が有効に活用されることを願いたいですね。


かなり長い投稿になってしまいましたが、事業者としての対応が求められるところですので、ご参考くださいませ。

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