中西前経団連会長は、辞任後1月余りの逝去

 中西宏明前経団連会長が亡くなった。先月、任期途中でリンパ腫の治療を理由に退任したばかりだ。同じ、血液のがんの治療を行っている身には、悲しい出来事となった。まだ75歳だった。

 2019年にリンパ腫と診断されたそうだから、診断からは3年程度が経過していたことになる。入院中も病院から業務上の指示を行っていたとのこと。私のように治療に専念させていただいた者には、頭が下がる。

 経済団体連合会(経団連)は、総合経済団体として、企業と企業を支える個人や地域の活力を引き出し、日本経済の自律的な発展と国民生活の向上に寄与することにある。このために、経済界が直面する内外の広範な重要課題について、経済界の意見を取りまとめ、着実かつ迅速な実現を働きかけている。いわば、経済界の圧力団体だ。

 ホームページによれば、日本の代表的な企業1,461社、製造業やサービス業等の主要な業種別全国団体109団体、地方別経済団体47団体などから構成されている(2021年4月1日現在)。日本の経済団体のなかで最大のものである。中西氏はその代表として2018年に就任してから、大学生の就職活動の日程を定めた「採用指針」の廃止のや原子力発電所の再稼働に取り組んだとされる。

 とりわけ、「採用指針」の廃止は、それまで紳士協定とされていきた採用面接のや内定の時期の取決めを大きく緩和し、新卒の学生の就職活動の幅を大きく広げる結果となった。企業も通年採用に移行しつつある。人事面で大きな影響を与えた改革であった。

 その手腕は高く評価され、期待されていたのだが、リンパ腫の影響で就任から3年の短い会長職となり、辞任後まもなくこの世を去ってしまった。高年齢のこともあったが、リンパ腫に抗することはできなかった。

 多発性骨髄腫の治療を始めて、著名人のがん罹患者が多いことに気づかされた。また、サバイバーの方々にも勇気づけられてきた。一方で、まだまだ活躍してほしい方々が、道半ばで逝去していくニュースは、やはり悲しく自身も力を失ってしまう。どうか、一人でも多くの方々が「がん」から生還し、少し不自由だが普通の生活に戻れることを祈るばかりだ。

 

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