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社労士ってなんぞ?

社会保険労務士とは

こんにちは。
ご覧いただきありがとうございます。
社労士法人勤務しています、デコピン@しゃろーしです。

世の中には社会保険労務士という職業が存在しています。
社労士や労務士と略されることもありますが実際はどのような事をする仕事なのか、ご存じない方が多いと思います。

凄く乱暴に説明すると、労働法と社会保険諸法令に絡む手続きを他人の代わりに行ってお金を請求できる職業です。

社会保険労務士として仕事をするためには年1回実施される試験の合格+2年間の実務経験、又は国の研修を受けて有資格者となり、
全国社会保険労務士会連合会に名簿を備える必要があります。

名乗るまでに非常に長ったらしい職業ですね。

社労士の制度自体はまだまだ出来て50年ほどで弁護士や税理士などの所謂、8士業と呼ばれる独占業務を持つ国家資格の中では比較的新しい資格です。
新しいが故に社労士の人数としては約4万4千人と税理士の約8万人に比べてほぼ半数となっています。

ちなみに弁護士はゼロワン地域の解消を目的に旧司法試験が廃止され、法科大学院経由で司法試験を受けることができるようになったため現在は4万2千人と昔に比べてかなり人数が増えています。
弁護士とほぼ同数の人数がいるにもかかわらず、弁護士と比べて圧倒的に知られていないという知名度には恵まれない悲しい職業、
それが社労士です(笑)

社労士の知名度が低いことについてはいくつか要因が考えられますが、私見として大きく分けると以下の3つだと思います。

・BtoBのため一般消費者の目に留まる機会が少ない。
・会計・税務に比べて労務に関心のある経営者が少ない。
・なにをしてくれる職業なのかピンとこない。

一般消費者が知らない。

社労士は典型的なBusiness to Businessのお仕事です。
障害年金などを取り扱う一部の方を除けば、社労士の取引先はほぼ企業となり、世間一般の人が社労士に仕事を頼むことはほぼありません。

B to C(Business to Consumer)であるTOYOTAの名前は誰でも知っているけれど、それを支えるアイシン精機や、ジェイテクトが何をしている会社か大半の方が知らないことと同じですね。

加えて人事や労務の分野は給与や個人情報などのセンシティブな部分が多く、それを扱う社労士は会社の中でもより限られた人しか関わりません。
これが社労士の事を世間一般が知らない大きな要因だと思います。

あれ?でもそれでいうと税理士もおんなじじゃね??

労務は税務より後回し

よく考えると、上で書いたことは税理士にも当てはまります。

個人で確定申告をするときに税理士に相談する人はいないだろうし、
基本的には税理士も経営者と仕事をするB to Bの職業です。
会計や税金部分もそんな多数の人に大っぴらにする分野でもないので、
社労士とそんなに条件は変わらないはずです。
ほぼ倍の人数がいるという数のチカラはあるものの、なんでこんなに知名度の差がついているのでしょうか。

実際に社労士法人で働き始めて思ったのですが、クライアントである経営者は資金繰りに重要な会計、税務には非常に熱心です。
特に国内企業の99%を占める中小企業においてお金の問題は極めて重要です。
スタートアップの際は払う税金を少しでも圧縮するために税理士を探すという思考にはなるものの、売り上げを少しでも増やすために人に投資しようと考える経営者はほぼいないのです。

でも、実は支出を減らす(税金を減らす)よりも収入を増やす(稼ぐ人を育てる)方が業績伸ばすのに有効ではないのかと常々思います。

経営資源の3つの要素は、「ヒト・モノ・カネ」(最近は情報)であるというのはあまりにも有名ですが、「カネ・ヒト・モノ」でも「モノ・カネ・ヒト」でもなく「ヒト・モノ・カネ」と必ず頭にヒトがくるのは経営の構成要素で一番大事なものは人であるということの表れだと思っています。
もっと初期段階から人事や労務の分野に関心を持って、社労士を活用してくれれば、業績が良くなるのにな~と思う今日この頃です。

結局のところ何してるの?

知名度が上がらない3つ目の理由は結局何をしてくれる職業なのかよくわからないところです。
弁護士は訴訟の際の代理人として、弁理士は知財関係、税理士は会計税務、司法書士は登記とぱっとイメージが湧きますが、社労士って?となるのは仕事のイメージが湧かないからでしょう。

イメージが湧かないのは、取扱う法律が弁護士の次に多く、仕事の範囲が非常に広いためです。
関わる行政機関も労働基準監督署、ハローワーク、労働局、年金事務所と多岐にわたります。
たまに税理士さんは窓口が税務署に一本化されていて良いな~と思います。
(あんまり知らない素人の想像でスイマセン。)

話が飛びますが、社労士試験もアホみたいに範囲が広いです。
労働基準法、安全衛生法、労災保険法、雇用保険法、労働保険徴収法、健康保険法、厚生年金保険法、国民年金法の基礎的な科目に加え、社会保険一般常識、労働保険一般常識の中には数十個の細かい法律が詰め合わされ、さらには政府が発行している白書(厚生労働白書、労働経済白書など)、各種統計調査、労務管理、果ては助成金など途方もない範囲から出題されます。
数えたことないけど30~40くらいの法律が範囲なんじゃないかな。
この膨大な試験範囲から社労士の守備範囲が広範囲であることがお分かりいただけるかと思います。

話は戻りまして実際のお仕事として実際は何をしているかというお話です。
業務内容をざっくり分けると1号、2号、3号業務と3つのお仕事に分類されます。

1号業務は主に手続きの代行業務です。
新しく入社した人の保険証の手続きや、育児休業の時の給付金の手続き、年金の裁定請求などを会社や個人に代わって行う業務です。

2号業務は帳簿の作成業務で労働者名簿、賃金台帳、出勤簿などの法定帳簿と呼ばれるものを企業に代わって作成します。
これに加えて会社のルールである就業規則も労働法を専門に扱う社労士が行うことが望ましいといえるでしょう。

3号業務は分かりやすく言うとコンサルティング業務です。
採用や人事制度についてのアドバイスをしたり、同業他社での人事戦略での成功事例を提案したり、助成金を活用したりと提案業務であれば何でもアリです。

1、2号業務は独占業務(社労士でないと報酬を得て行ってはいけない仕事)ですが、3号業務は誰が行ってもよいので、経営コンサルタントや助成金コンサルタントなど様々な名称のコンサルが仕事を取り合う戦国時代的な領域です。
ここ数年でHR関連のクラウドサービスが対応してきており1、2号業務に関しては大企業どころか中小企業に関しても内製化が進んでいくものだと思います。
コストや人事担当者の退職リスク等を考えると、ある程度アウトソーシングの需要は残ると思うので、完全になくなるわけではないですが何方かというと縮小傾向にある領域です。
対してコンサルティングの業務はこれから働き方改革により対応を迫られる会社が増え、また個人の働き方も多様化する中で労務管理がより複雑化していきますので、お仕事の依頼は増えるであろうという比較的明るい領域です。
他のコンサルティング業に比べて法的な根拠付けを行いながら、コンサルティングを行えるのは国家資格の強みだと思いますので、社労士見習いの私も日々、如何に3号業務に生かすかを意識しながらお仕事させていただいております。

すごくざっくりした社労士とは?
な話でしたが、次はアホみたいに範囲が広くて、キモイぐらいいやらしい社労士試験についてでも書いてみようかなと思います。
お読みいただきありがとうございました。






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