「お風呂に水を溜める」という備え
私が子供の頃には
台風になるとよく停電した。
夜に停電すると
母や祖母がロウソクを出してきて
食卓に小さなあかりを灯してくれた。
暴風雨で雨戸がバタンバタン、
ぴゅうううう〜という
強い風の音とともに
ザン、ザン、ザザザザーっという、
雨が「ひとまとまり」になって
窓を襲ってくるような音。
「台風の目」の辺りになると
一瞬雨風が鎮まるあの感じ。
ロウソクの灯り一つだけの
暗闇の中で、
祖母から聞いた、
祖母の姉が殺されたという話は
子供からすれば恐ろしすぎた。
祖母の姉は、
お正月の用意で
あずきを買いに行く途中
通り魔に殺されてしまったそうだ。
それでまだ幼い子供もいる姉のところへ
姉の代わりに
祖母が17歳の時に
嫁いで来たのだという。
台風の暗闇の中でする話か!
怖すぎるだろ!
と思うが
今では考えられないことが
普通に起きていたんだなとも思う。
好きでもない義理のお兄さんに嫁ぐ
ということも
17歳で嫁に来るということも。
話は戻って。
アメリカでは
日本の台風の季節になると
トルネードがきたりする。
トルネードの通り道になると
家の屋根は吹き飛ばされ、木々は倒れ、
大変な有り様になってしまう。
「誰々の家が、飛ばされたらしいよ」
なんて、
翌日に人から聞いたりすると
めちゃくちゃ怖かった。
いつ自分のアパートが
吹き飛ばされるのか
心配で、心配で。
夜は子供達の眠るそばで、
竜巻の渦が見えてこないかどうか
窓の外を注意深く目を凝らして見て
眠れずに過ごしたこともある。
携帯のアラートが鳴り止まない時には
屋根が吹き飛ばされてもいいように
一階のバスルームの風呂桶に
防災グッズと毛布を持ち込んで
子供たちと
身を潜めたりもした。
また、
子供の頃は
断水もよくあった。
「何時から断水するから、お風呂に水を溜めておいて」
と母からよく言われたものである。
そのことが頭の片隅にあったせいか、
最近、
地震に備えてお風呂に水を張って
おくようにしている。
お風呂を洗って
すぐまた水を張る。
そこでふと疑問に思って
ネット検索をしてみた。
お湯を張るのと
水を張って追い焚きするのと
どちらが経済的なのだ?と。
そしたら、
水を張って追い焚きする方が
ガス代が安いらしい。
一回あたり15.6円という
わずかなものらしいけれど。
チリも積もれば、である。
それでも
そんな新しい発見がなんだか嬉しくて
防災のためにもなるし
節約にもなるのならと
せっせと※お風呂に水を張る。
地震が来ないことに越したことはないが
備えておくことは必要だ。
今、知人のところでは
近くのドラッグストアで
水が売り切れになっているという。
うちの場合、
普段から水のストックは
部屋で邪魔になるくらいしているので
急いで買いに行く必要はないのだが
こういう売り切れとかが起こると
またコロナの時みたいな不穏な空気が
流れて不安が増す。
トイレットペーパーやら水やら
普段から買いすぎていて、
夫によく
「買いすぎだよ」
と怒られてしまうのだけど
大震災やコロナの時のことを考えると
やはり普段から買いすぎてしまうのだ。
※
普段からお風呂に水を張っておくということについて。
小さなお子様がいらっしゃるご家庭では
事故の元ですとご忠告を受けました。
なるほどその通りだと思います。
考えが及ばず、失礼いたしました。
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