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SQUA的連載コラム

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沖縄で暮らすひとびとの、日々のものがたりと、思うこと。
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2021年2月の記事一覧

vol.019 いとこ

東京で暮らす姉には息子がいて、私の娘と同級生。早生まれだから、娘より少し幼く感じるところもあるけれどお互いに一人っ子でマイペース。幼い頃は会えば喧嘩ばかりして姉も私もグッタリしていたが、大きくなるにつれ、喧嘩もするけれど楽しそうにじゃれ合って遊ぶようになり、春休みや夏休みを利用してお互いの家を訪問しあっている。 東京では大きな映画館や美術館へ行ったり、植物園やお寺の境内や国立天文台の敷地内をお散歩したり、菜の花の咲く野川沿いを歩き桜の花が咲く公園で遊んだりする。 一方、八

vol.008 あの夢の、その先

林の中に独り。 さまよい歩き続けていると、突然景色が開けた。目の前には澄んだ湖が広がり、その中央にちいさな地蔵が佇む。湖の向こうには壮大な山が望み、その木々1本1本がキラキラと陽を揺らしている。 その光景を最後に目が覚めた。 琉球舞踊家の福島千枝さんが、14歳の頃だ。 そのあまりの美しさと臨場感がずっと頭を離れず、ついには夢占い師に鑑定を依頼する。するとこの様な答えが返ってきた。 「湖はあなたの心。お地蔵さんが中央にいるという事は、あなたが救いを求めている事を表します

tram po line 013

Naha , Okinawa 2021 【大城 亘 プロフィール】 写真家。沖縄県糸満市出身。東京代官山スタジオ勤務後、写真家大森克己氏に師事。2006年独立。2011年より故郷沖縄に拠点を移し、様々な媒体で活動中。

vol.018 記憶と視覚

小学5年生の頃だったと思う。色鉛筆や絵の具で道端に咲く草花をスケッチすることがマイブームだった。学校での休憩時間などにも校庭の隅に咲く草花を摘んできては、机に絵の具のパレットを広げて夢中で描いたりしていた。ある日、次のクラスの始まりを知らせるチャイムが鳴ると、絵を描いていた私の前に先生が現れ「次は体育の時間だけれど、あなたはそれを続けても良いですよ」と言ってくれた。あの時は、「え、良いの? やったー!」ぐらいにしか思わなかったけれど、今思い返せば随分と柔軟で自由な先生だったな

vol.005 『もようがえ』

深夜にひっそり、なるべく音を立てないように、クイーンベッドを解体して、隣の部屋へひとりで移動する。 音が立たないわけない行為だが、快感を得るためには時や状況は選ばない。 隣に運ばれたベッドを再び組み立て、作業で酷使された体を、見事に設えられたベッドに委ねた時の僕の気持ちになっていただきたい。 模様替えの話である。 模様替えが好きだ。 一口に模様替えが好きと言っても、最終的にそれによって何を得たいのかで意味合いが変わってくるが、何れにせよ、突き動かしているものは、快感