vol.018 記憶と視覚
小学5年生の頃だったと思う。色鉛筆や絵の具で道端に咲く草花をスケッチすることがマイブームだった。学校での休憩時間などにも校庭の隅に咲く草花を摘んできては、机に絵の具のパレットを広げて夢中で描いたりしていた。ある日、次のクラスの始まりを知らせるチャイムが鳴ると、絵を描いていた私の前に先生が現れ「次は体育の時間だけれど、あなたはそれを続けても良いですよ」と言ってくれた。あの時は、「え、良いの? やったー!」ぐらいにしか思わなかったけれど、今思い返せば随分と柔軟で自由な先生だったな