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SQUA的連載コラム

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沖縄で暮らすひとびとの、日々のものがたりと、思うこと。
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2020年12月の記事一覧

vol.006 プレートの中のゆいまーる

那覇の街を太陽が照らし始めて間もなく、シンと澄んだ与儀公園の空気を心地よく揺らし始めたのは、見慣れない弦楽器やパーカッション。そして、そのリズムに乗せて呼応する唄。 これは「カポエイラ」という武術だ。 演奏隊に囲まれ対峙する者同士が、楽器のリズムに乗りながら踊る様に、駆け引きの攻防を型で繰り広げる。 その演舞中に唄われるのはポルトガル語で、意味などは分からないのだが、遠い昔から知っていたかの様な原始的な音の響きに、自然と身体が動いた。 武術とは言え、年齢も性別も多様な

vol.015 「島と生きる」をおもしろく

毎年、春休みや夏休みに、小学生の娘と一緒に楽しめる写真のワークショップを企画・開催している。今年は、新型コロナウイルスの影響により、子どもたちへ向けてのワークショップ開催は見送った。 そんな中、石垣島に暮らす「八重山ヒト大学」の副学長をしているCちゃんから、「ヒト大の企画で、石垣島の街を歩いて、スマートフォンで撮影するフォトウォークを開催しようと思うので、一緒にやりましょう」と声をかけてもらったのが夏の始まりぐらいだった。正直、こんな時期に大丈夫かな? とお互いに不安もあっ

【犬、哲学をひろう】 04 / 写真

「沖縄だったら大城というカメラマンがいるからよろしくね。」 私はいま沖縄に住みながら東京にあるQANDOというクリエイティブエージェンシーに席を置いて仕事をしています。QANDOが写真スタジオ「代官山スタジオ」と同グループ会社というご縁もあり、大城さんはお会いしておくべき方だとずっと思っていました。(大城さんは代官山スタジオを経て写真家・大森克己さんに師事。その後独立されています) 哲学者:大城 亘(フォトグラファー) テーマ:はざま 『空を飛んでいるのではなく、地

tram po line 011

Naha , Okinawa 2017 【大城 亘 プロフィール】 写真家。沖縄県糸満市出身。東京代官山スタジオ勤務後、写真家大森克己氏に師事。2006年独立。2011年より故郷沖縄に拠点を移し、様々な媒体で活動中。

vol.014 近くて遠い島

夏に小浜島へ友人と娘と3人で出かけた時のこと。 竹富島のコンドイ浜からよく見える位置にある小浜島、その背景には深い緑の島、西表島が広がっている。夕日を眺める先にいつも見えるお隣の島。だからと言って、毎日の暮らしの中でちょくちょく遊びに行ける距離ではなく、私にとってそこは近くて遠い島だ。  石垣島からは高速船で約30分、人口約700人の小さな島、自転車で島を巡るには少し起伏があり、意気地ない私はいつも車を借りてしまう。  最初に向かったのは、マンタ公園。 目の前の海は、ヨ