記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

映画「勝手にしやがれ」

 1960年公開の本作。主演のジャン=ポール・ベルモンドへの哀悼を込めて4Kレストア版が公開されたので、観に行ってきました。事前にFilmarksやTwitterで見どころを調べたのですが、「勝手にしすぎ」という感想に笑ってしまいました。ジャンプカットという斬新な技法が取り入れられていて、技術面でも高い評価を得ているようです。

 60年代の作品といえば、登場人物の行動が突飛な印象があります。価値観の違いなのか、当時の映画に求められていたものがそうだったのか、感情移入して観るというより全体の雰囲気を楽しむ作品が多いように思います。「勝手にしやがれ」も例に漏れず、そういった類の作品でした。

 主人公のミシェルはパトリシアに「最低だ」と言って倒れますが、散々言われている通り最低なのはミシェルの方です。ただ、パトリシアに相手にされず鏡に向かって「俺に向いていない女だ」と呟いてみたり、そういう身勝手で自信満々な態度は嫌いじゃありません。常に湧いて溢れる自信を抱えて生きている人を見ていると、自分とは正反対で面白いです。
お洒落な言い回しが多い本作の中で、パトリシアが度々口にする「悩んでいる。なにに対してか分からないから悩んでいる。」という言葉が特に印象的でした。私も生きている中でそういう状況に多々直面します。ぼんやりとした悩みを抱え、漠然とした不安に襲われた夜は数え切れません。

 今回の公開を記念して、パトリシアが劇中で身につけていたものと同じデザインのTシャツが販売されています。

特別心に残った作品というわけではないのですが、この服を着て新聞を売るパトリシアの姿がかわいかったので購入するか検討しています。「分かる人には分かる」というのが魅力的です。

 不朽の名作を映画館で鑑賞するたびに、贅沢で幸せな機会だと嬉しくなります。配信で気軽に触れられるようになった今だからこそ、一本の作品にお金を払い、観るにふさわしい環境で享受していきたいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?