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鉄オタ 国境を超える            ②タイ国鉄北線の夜行列車        ~バンコク行き14列車編~

バンコク行き14列車

山に登れば野犬に嚙まれそうになり、ソンテオ(乗り合いタクシー)に乗れば事故に遭い・・・
そんな思い出深いチェンマイともお別れ。
17時00分、バンコク行き14列車でチェンマイを旅立つ。バンコク到着予定は明朝6時15分。約13時間の旅だ。
今回はどうせならと1等寝台に乗車する。1等は個室の2段寝台で、洗面台も鍵も付いているという豪華さ。ただ1人で予約すると見知らぬ誰かと一緒になる可能性があるのでご注意を。

チェンマイ駅に停車中の14列車

1等車はつらいよ

左側に寄った通路、枕木の向きに沿ったベッドが並ぶ個室は、以前乗車したJRのB寝台が思い出される。一部屋丸ごとを独り占めにして列車で旅できる幸せ。夜行列車ならではの醍醐味。

1等車の通路にて
右側に個室が並ぶ

部屋に入ると、既に上段が下ろされて寝台の形になっている。
まだ寝る時間ではないので、通りかかったスタッフに上段を跳ね上げて座席の形にしてくれないかと頼むが・・・
”Sitting there!!”
たしかに余計なことを頼んだのは悪かったが、そんなに命令口調でなくとも・・・まるで鬼教官だ。
仕方ないので下段に身を屈めながら旅を続ける。

寝台の状態の下段は座るには少し狭い


本当ならこの状態が良かったが…
背もたれの部分を跳ね上げて上段寝台にする

背を丸めているのに疲れを感じ始めた頃、クンターン駅に到着。
クンターン駅はタイ国鉄の中で最も標高が高い場所に位置する。
列車は峠越えのために連結してきた補助の機関車を切り離す。そのためしばし停車するようだ。せっかくの機会なので、"撮り鉄"しに下りてみる。

1等車のドアは開いていないので後ろへ
2等寝台はまだ座席のまま
クンターン駅に到着
トレッキングコースがあるらしく、観光客も多い
停車中の14列車
前から2両目が1等車、その後ろが2等車
機関車のすぐ後ろは荷物車
補助の機関車を連結
タイの駅はどこでも犬がいる

クンターン駅からトンネルを抜けるともう暗くなっていた。
ちょうどデザートにでもと頼んだ”カーオ・ニァオ・マムアン”(マンゴーと蒸したもち米にココナッツミルクをかけたもの)が運ばれてくる。食堂車がないことは知っていたが、どうせ車内販売が来るだろうと油断していた。誰も売りに来ない。仕方ないので、マンゴーと乗車前に購入したトムヤムクンチップスとを夕食とする。
(乗車時にスタッフが注文を取りに来るが、カップ麺なども頼むことができる)

この日の夕食
ちなみに左のちびまる子ちゃんが描かれたお茶は甘い

夕飯を食べ終わればやることもないので、シャワーへ。1等車は2等車とは異なり、温水シャワーらしい(給湯器はPanasonic製)。ただせっかくきれいな洋式トイレを水浸しにするのも気が引けるし、せっかく”シャワー鉄”に目覚めたので、行きと同じように2等車まで出かけて行く。

こんな感じのシャワーへ
1等車は綺麗でお湯が出る(洋式トイレとセットだが)

思いもよらない出来事ばかりの1日だったせいか、横になるとすぐに眠ってしまった。

響き渡る車掌の"getting up"!

うっすら目を開けると少し空が青みがかっている。まだ太陽は顔を見せていないようだ。時計を見ると午前5時30分。終点まではあと1時間ほど。もう一眠りするかと体を横たえたその時、
扉を強く叩く音ともに
"Getting Up!!"
という怒鳴り声。
何事かと思って扉を開けると、昨日の鬼教官だ。
どうやら寝台を解体するから起きろということらしい。

もう少しで終点に着くとはいえ、これではまるで刑務所か軍隊のようだ。などと考えつつ部屋の外に出て作業が終わるのを待つ。隣の部屋から出てきた欧米人も眠たそうに目をこすっている。スタッフたちはそんな乗客に目をくれることもなく手慣れた様子で寝台を解体していく。

日が昇るにつれ、中心部のビル街の姿がはっきりと見え始める。踏切で待つ車やバイクの数も徐々に増えてきた。バンコクに朝が来た。同時に夜行列車での旅もそろそろ終わりだ。
定刻より10分ほどの遅れでホアランポーン駅3番線に到着。長いプラットホームには大きな荷物を抱えたバックパッカーや橙色の糞掃衣をまとった僧侶、ヒジャブを身に着けた女性など様々な人が降りてくる。隣には東北線を上ってきた夜行列車も到着。朝のターミナル駅は活気に溢れている。
駅近くの屋台街も賑やかになる頃だろう。せっかくなので朝飯を食べに行こう。今日も新たな一日が始まった。

ホアランポーン駅に到着
リネン類を片付ける様子も夜行列車ならでは
荷物車にはバイクも積んでいたようだ
大きなアーチの屋根が特徴的なホアランポーン駅
各方面から夜行列車が到着する様子はいかにもターミナル駅といった雰囲気

最後までご覧いただきありがとうございました。

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