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離岸流

千葉の内房に遊びに行った時の話です。

20歳そこそこだったと思います。

木更津の友達Y君に連れられて行った海は東京湾なのにとてもきれいでした。

僕ともう一人の友達N君と長四角の浮きマットを浮かべて岸から少し離れた所まで泳いでいきました。

その時Yくんは砂浜で寝そべってました。

しかし異変に気付きました。僕たちはどんどん岸から離れてるんです。

戻ろうとしても戻れてる気がしません。

すごい力で沖へ引っ張られていく感じなのです。

そこへなんと小学生くらいの男の子と女の子の兄妹も流されてました。

その子たちは恐怖におののいてました。

一応浮き輪は付けてます。しかしどんどん流されていくので僕らはその子達に「このマットにつかまって。手、離すなよ!」と大声で言いました。

僕ら4人は浮きマットを掴み必死に岸へ戻ろうとあがきました。

僕は砂浜にいるY君に、手を振って助けを求めました。

しかし、Y君は無反応です。声ももう届く距離ではありませんでした。

海面はうねってどうしようもできませんでした。

しかし、しばらくすると沖へ引っ張らてる感じが無くなり、岸にスムーズに近づく事ができました。

無事岸にたどり着きました。僕たちはもうヘトヘトでした。

Y君にヤバかったことを言って、手振ったの見えたか聞きました。

Yくんは「ああ、見えたよ。手振って遊んでるんかと思った」とキョトンとした顔つきで答えました。

海の怖さを身をもって実感しました。

僕らは離岸流に流されたんだと思います。ある程度行くと今度は岸に向かうそうですが、怖いものは怖いです。

FIN

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