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定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—

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『定本版 李箱全集』を日本で出版すべく、その重要過程である定本作業を記録するマガジン。
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2023年12月の記事一覧

定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第二十七回〉

定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第二十七回〉

 今日は韓国で初めて一人外食をしようと思って意気込んでいた。昼から17時過ぎまでカフェで研究を進めて、その後電車に乗って狙っていた古びた飲食店でチヂミを食べようと計画していた。カフェで注文したのは飲み物で、それは食事じゃないから一人外食にはカウントしていない。

 今日はバイトも図書館も休みなので、しっかり休めばいいのにと自分でも思うが作業を進めていた。もう、1日休みを作ることができなくなっている

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定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第二十六回〉

定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第二十六回〉

 前回はスケジュールについて話したので、スケジュールへの考えを記しておこうと思ったけど、疲れすぎているため不可能。
 とりあえず今日の作業進捗のみ記録することにした。眠い。

 韓国の気温は氷点下10度。夜9時をまわると体感温度氷点下20度になるとニュース記事で見かけた。玄関の扉を開けると、昨晩降ったであろう雪が少し積もっていて、路面凍結しているのがわかる。しかし道路を走る車は減速していない。私は

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定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第二十五回〉

定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第二十五回〉

モウリ、一ヶ月でバイトを即日退社。

 いよいよ精神と身体の両方から壊れ始めた。その原因の大きな一つにバイトがあると自覚していたのでキッパリ辞めた。

 寿司屋さんのホールでバイトしていた。賄いは美味しいし、余ったら持って帰れるので食費は確実に浮いていた。給料もまあ悪くない。けれどそれでは補えないほど精神疲労が凄まじい職場だった。

 新人研修もないし、バイト二日目でホールを一人で任された。何回か

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定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第二十四回〉

定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第二十四回〉

 その日は思ったより早く来た。

 今日も今日とて国立中央図書館に向かう。昨日の夜中、東京から必要な資料データが送られてきたことにより、私は今日大幅に作業を進められる状態になった。頑張りどきだ。乗り換えの教大駅で、ヘッドホンをしている私の肩を叩いて「この電車、カンナムに行くやつでしょ?」と聞かれた。ヘッドホンをしている人に話しかけようと思うのって、なかなかの強心臓である。そして私が答えようとすると

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定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第二十三回〉

定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第二十三回〉

 少し前のことだが、今回は12月2日について記録していこう。

 前の日は原因不明の凄まじい疲労で、昼の11時半まで眠りこけた。それから一週間の作り置きだけ料理して、慌てて雑な化粧をし、部屋を飛び出した。今日は李箱文学会の研究発表会に参席する。いつもは化粧しないけどたまに雑化粧をして出かける。

 開催場所は李箱が幼少期に過ごしたという生家。14時から開催で、13時50分に到着した。以前行ったあの

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定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第二十ニ回〉

定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第二十ニ回〉

 ここ最近は晴れていたけど、今日は曇り。
 曇りは良い天気だなと思う。自分の身体が世界にじわっと自然に馴染む天気なので好き。それか大荒れの天気が良い。

 最近は私生活がたいへん。朝に家を出発して、図書館へ。夕方からバイトに行って帰ってくるだけでも力を全部使い果たしてしまう。図書館での作業はそんなに進んでいないので、こんなにも疲れてしまう原因は今の職場がら合っていないからだろう。これについて書き始

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定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第二十一回〉

定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第二十一回〉

 12月になった。韓国は氷点下8度が頻出する季節になりました。
 なぜかバイトは一週間くらい休みになっているっぽいので、毎日図書館に通い計測作業をすすめていた。定本作業が本格的に始まっての第一作目《異常ナ可逆反應》。ついにテキストデータ作成が終わりに近づいている。

 その計測作業の手順をここで記述するのはあまりに面倒くさい上、流石の流石にニッチな話すぎるのでやめた。でも大まかには記述してみようと

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定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第二十回〉

定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第二十回〉

 今は、日本にいる東京が東京文化財研究所という場所に出向き、複写、計測を行い、韓国にいる私が影印版で計測作業を行い、テキストデータをひたすら作り続けている。

 時間がないので毎日研究ばかりしていたいが、生きていけないからバイトもしている。人間社会で生きているので、働かないと生きていけない。

 国立中央図書館の開館時間は9時だが、私は9時頃か10時に起きてしまうのでいつも遅刻している。8時半にア

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