マーケティング部のエンジニア業務とは
僕はとあるウェブサービスを運営する事業会社で、マーケティング部のエンジニアをしています。
そこでよく質問されることがあります。
『マーケティング部のエンジニアって何してるの?』
これが答えられずに困る場面は採用面談・面接でした。
マーケティング部のエンジニアチームでリーダーの立場であったこともあり、エンジニア採用も担当していました。その中で、マーケティング部のエンジニアに募集してくださった方と面談をすると、以下のようなギャップがあることに気がつきました。
求めていた人
・エンジニアリングスキル必須
・マーケターの知識や経験はなくてもOKで興味があるだけでもウェルカム
マーケティングオートメーションの開発経験があるエンジニアであれば最高
実際に応募してきた人
・プログラミングもできるマーケターになりたい(エンジニア経験ないけどね)
・マーケティング部のエンジニアってなんだ…?よくわからないけど面白そうだし話を聞いてみよう(本職エンジニア)
あくまで、僕たちが求めていた人材はエンジニアであり、マーケターではないということ。
募集要項にも明記していたものの、応募者の中にはプランニングや分析業務に加えて、自分で立案した施策を自分でプロダクト開発もしたい(エンジニアの経験ないけどね)という方が一定数おられました。
たしかにマーケティング経験があるに越したことはないのですが、どちらかといえばエンジニアスキルがマスト要件でした。
そうした誤解が生まれる原因は募集要項の「マーケエンジニア」という記述でした。エンジニアであることを明確にするために「マーケティング部 エンジニア」とリライトすることで対応しました。
また、マーケティング領域のエンジニアリングは世の中的にはメジャーではなく、本業エンジニアの方々でも具体的になにをやっているか想像がつかない実態があります。
そのため『マーケティング部のエンジニアって何してるの?』という疑問が出てくるのだと思います。
これに対しては、例えばテックブログやイベント開催などで対外的に布教活動をすることで認知を広げていけないかと考えています。
この記事では、そんな布教活動の一環としてマーケティング部のエンジニアとはどんなことをやっているかの認知を広げていくために、どんな業務をしているか具体的に紹介していきたいと思います。
マーケティング部のエンジニアとは?
一言でいえば
『マーケティング施策の推進・進化をエンジニアリングで課題解決する』
と表現してました。また、同時にそれがミッションでもありました。
具体的にはこんな業務をしていました。
メール・プッシュ配信基盤の開発
新しい販促系メルマガ、プッシュ通知の自動化
クーポンのターゲティングと付与の自動化
クーポン、ポイントの期限訴求通知の開発
A/Bテストの仕込みと効果計測のための開発
ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)の繋ぎこみ
キャンペーンLPとその機能の開発
データ分析環境の整備
マーケターへのエンジニアリングサポート
いわばマーケティングオートメーションの開発が主な業務で、販促系メルマガ、クーポン配布、キャンペーンなど、いかにもマーケティングで定番の施策がラインアップされています。
マーケターがプランニングし、マーケターと一緒に要件を詰めていきながらプロダクト開発を行い、結果、売上貢献していくのが主な業務になります。
例えばメール・プッシュ配信基盤を実現するために、マーケターとコミュニケーションしながら要件を固めていきます。それをシステムに落とし込んで実現していくことが業務になります。ざっくりですが、以下のようなアーキテクチャを設計し開発していくイメージになります。
このあたりについて詳しく知りたい方は、以下のマーケティングオートメーションの本がおすすめです。
やったことがKPIに直結し効果を実感しやすい
施策ごとに改善するべきKPIが定義されています。例えば、メールであれば開封率やCTR、CV、売上などです。
統計的な有意差がでたタイミングで結果を振り返ります。大抵は変化なしの場合が多い印象でしたが上がった時はうれしいです。
マーケティング部は特に数値責任をもっている部署でもあり、数字に触れる機会がめちゃめちゃあります。自分が関わった施策で効果がでたときは嬉しかったです。
当然、効果がなかったり悪化したりする場合はもとに戻したり、次のアクション検討に行動を移すため、データドリブンなPDCAを回したりすることになります。
膨大なデータを活用したパーソナライズ化
一度に数十万〜数百万規模の配信を行うのですが、全員に同じ情報を送るのではなく、一人一人の好みにあった情報がおくれるように、ユーザーをターゲティングできる仕組みにしていました。
パーソナライズ化することで、CTR、CVRが大きく向上し、ビジネス的な貢献はもちろん、ユーザーにとって最適な情報を送れていることも実感できます。
一度に大量ユーザーへ配信することの精神的プレッシャー
ユーザーをターゲティングする条件が複雑すぎて誤った条件が設定され、本来配信されてはいけないユーザーに配信される事故がありました。
また、システム的な不具合により配信されなかったり2重送信されてしまったりする事故も起こったりしました。
毎日、数十万〜数百万のユーザーに配信され、配信されたらもう後戻りはできないため、失敗が許されない状況でした。そのため、精神的なプレッシャーは大きいと思います。
これに関しては、事故が起きないようにシステム的に仕組み化することで解決していくアプローチをとることで、事故が起きにくいようにすることが重要だったとおもます。
アーキテクチャ的な課題
一度に大量のユーザーへアプローチするため多くのサーバーリソースを必要とするのですが、その機能がプロダクトのサーバーに同居していました。結果、以下の負が生じていました。
ユーザー数増加、機能追加に伴うサーバー負荷の増大
プロダクトのサーバーに負荷をかけると、最悪プロダクトごとサーバーダウンのリスク
マシン処理性能を上げるには、高額なスケールアップが伴う
新しい施策(メール、プッシュ)の機能追加が限界に達している
パフォーマンスを考慮した開発コストが高い
これに対しては、プロダクトから機能を切り離しサーバーレスで構築するようにしました。
プロダクトから切り離しサーバーダウンのリスク回避
オートスケールによりユーザーが増えてもパフォーマンス維持
ランニングコストの最適化。必要な時に必要な分だけコストをかけられる
最後に
マーケティング領域のエンジニアについて紹介しましたが、あまりうまくまとめられてない気がしています。
もし、もっと詳しく知りたい方や興味があれば、以下サイトを運営していますので、Contactページからお問い合わせいただければと思います。
https://tokukichi.com/
#エンジニア #マーケティング