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子供に優しい世界へ

お子様をお連れのお客様へのお願いです。
買い物中はお子様の手を離さないようお願いします。
お子様が商品を触りますと、商品が痛む場合がございます。
ご理解いただけますと幸いです。

これは、私の住んでいる町のスーパーに掲示されていたものだ。このあたりは待機児童も少なく、子育てしやすいエリアということで、小さな子どものいる家庭が多い。町中で、公園で、スーパーで、あらゆるところで親子の姿が見られる。

私は普段は生協などで食品を購入することが多いので、子供を連れてこのスーパーに来ることはめったにない。しかし、そんな私ですらこの張り紙には寂しい気持ちにさせられた。もっと頻繁に、子供を連れて来ざるをえない状況の親がこれを見たら、と思うと、もっと悲しい気持ちになった。

スーパー側の言い分はもちろん分かる。子どもが商品を触ってしまい、売れない状況になった経験が多くあるのかもしれない。しかしそれでも、伝え方にはもう少し配慮があってもいいと思った。

幼児を連れて買い物に行くのは至難の技だ。商品を触ってはいけないことは重々わかっている。しかし「触りたい!」という気持ちになってしまった子供はそれを止めると泣き叫ぶ。そして、泣き叫ぶと周りからは白い目で見られる。ほとんどの親はそんな中買い物には行きたくないと思う。それでも、生協は高くて買えないとか、近くに頼れる人がいなくて自分で買い物に行かざるをえないとか、事情があって来ているはずだ。そんな風に、形見が狭い思いをしながら買い物に来た時、この張り紙を見たら、きっと暗い気持ちになってしまうだろう。

スーパー側はこの張り紙によって、子供をコントロールできると思ったのだろうか?それとも、遠回しに「ちゃんと言うことを聞けない子供がいる人は買い物に来ないで」と伝えたいのだろうか。

もし前者なら子育ての想像が足りない。子育て経験者のパートさんなどによく聞いてみるといい。もし後者で、子連れ分の売り上げは減ってもいいということなのであれば、いっそ以下のようなメッセージを出した方がいいのではないか。

我々のグループ会社で食料品の配達サービスがございます。
お子様のいらっしゃる家庭には配送料の割引もございますのでご検討ください。

いずれにせよ、そのスーパーに行くしかない子連れのお客さんは、そのような張り紙をされても行かざるをえない。それであれば、暗に「子供の面倒くらいちゃんと見て買い物しろ」というメッセージではなく、代替サービスを案内するなりした方がいいのではないかと思った。

スーパーの方々にもこういった張り紙を出さなければいけないほどの事情があったことは重々理解している。ただ、それでも子育て中の親が肩身が狭くなるような書き方ではなく、違う書き方を模索して欲しかった。

子育て中の人が、子どもがいることで悲しい思いをしなくていいように、周りのみんなで解決する方法を模索できるような、そんな世界になってほしいなと切に願っている。

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