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"アート思考"の限界

近年「アート思考」についてのビジネス書が話題になっているのをよく見ます。少しAmazonで検索しただけでもこんなにたくさん出てきます。

私が違和感を感じるのは、「ビジネス書」のカテゴリでこれらが受容され実践されようとしていることです。

いわゆるビジネス書というのは、ビジネスの世界での成功、資本主義社会での成功を共通の理想として持つ人達が読む本なのだと思います。つまり、読者の期待としては、これらの本を読んで会社のなかで出世したい、ステータスを得たいという思惑があるのではないでしょうか。

ただ、私の考える「アート」はいわゆるビジネスの世界や資本主義を相対化させるものです。その作品に対峙することで、今自分の生きている社会の矛盾を強く意識する、別の考え方もあるのだと気づく、そういった類のものです。そのため「明確な目的を持ってアートを利用する」というのは自己矛盾を孕んでいるような気がするのです。

もしビジネスの文脈でアートが受容されるのであれば、今の仕事に新しい視点を加えるというレベルではなく、「今、給料のためにやっているこの仕事って本当に世の中のためになっているの?」「この仕事を追求していくことでよりよい未来は実現できるの?」といった問いに人々を導いてほしいと思います。

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